JR西日本は18日、鉄道輸送のさらなる安全性と安定性の向上をめざして2008年から開発を進めてきた「新保安システム」について、名称を「D-TAS」とし、5月20日から広島地区で使用開始すると発表した。

  • 山陽本線を走る227系の普通列車

「D-TAS」は「データベースを用いた列車管理システム」を意味する英語(Database oriented Train Administration System)の頭文字から命名。地上から車上に向けて情報を発信する従来のATSと異なり、車上に搭載したデータベースの情報をもとに、車上側で自律的に制御できる「車上主体のATS」であることが特徴となっている。

車上データベースには、信号機の位置や曲線・分岐器などの位置と制限速度の情報を登録。列車は車輪の回転数をもとに自らの列車位置を把握し、制限速度を超えた場合には従来のATSと同様に自動的にブレーキを動作させ、停止または減速させることができる。

工事などにともなう「計画徐行」にも対応。これまでは臨時にATS地上子を線路内に設置するなどして対応してきたが、「D-TAS」では計画徐行箇所をあらかじめ車上データベースに登録することで、徐行箇所まで自動的に減速させることが可能になる。

下関総合車両所広島支所所属の227系に搭載し、5月20日から山陽本線西広島~岩国間で使用開始。その後も地上装置の整備を進め、2019年春頃をめどに白市~西広島間に拡大導入する予定となっている。総投資額は約45億円を見込んでいる。