この時期になると、書店や雑貨店に4月スタートの手帳がずらりと並ぶ。しかし、スケジュールはスマホでも管理できるし、「手帳ってなかなか続かないんだよな…」という会社員も少なくないはず。そこで、手帳続かない派の会社員がアナログ手帳と付き合う方法を、ほぼ日手帳の担当者に聞いてきた。
今回お話をうかがったのは、ほぼ日手帳チームの大和さん。ご自身の手帳を持参して、お話してくれた。
ほぼ日手帳とは……
ほぼ日手帳とは、ウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」から生まれた手帳。大きく分けると、A6サイズの「オリジナル」、A5サイズの「カズン」、スリムな週刊手帳の「weeks」、英語版の「Planner」、そして2018年版で登場した「ほぼ日5年手帳」がある。2005年版から2018年版までの14年間、全国のロフトで手帳ランキングNo.1という不動の人気で、SNSで「#ほぼ日手帳」と検索すると愛用者の使用例もたくさん出てくる。
デジタルが主流となりつつある中で、アナログ手帳の魅力とは?
──大和さんは、普段手帳をどのように使用していますか?
仕事のスケジュールは、会社全体でデジタル管理しているので、自分自身の確認のために使用しています。デジタルよりも過去にさかのぼりやすいので、スケジュール確認はもちろん、思い出やアイディアを残すノートとしても使っています。
例えば去年と一昨年は、100本ノックみたいなイメージで1日1企画を手帳に書くということもしていました。毎日書いていると、どうしても考えが浅い企画になってしまう日もあるのですが、日々考えているモヤモヤを形にすることで、「私ずっとこんなこと考えてたんだな」、「このことについて、この日はこう考えていたけど、今はさらにこう考えているな」と気づくこともたくさんあるので、これは"記しておくことの大切さ"だなと思います。
あとは、職場でもらった付箋やメモ用紙のメッセージなどを貼ったりもします。後で読み返した時に、「この時、こんなメッセージもらって嬉しかったな」とか「こんないたずら書きされたな~」とか、面白いですよ。
──アナログ手帳の魅力って何でしょうか?
デジタルでのスケジュール管理も便利だけれど、手書きの文字って、デジタルのテキストよりもいろんなことが伝わると思うんです。文字の太さとか使ったペンの種類とか自分が書いた文字の大きさや筆圧などで、その時の機嫌を思い出して、「この時、こんなことがあったな~」とか、実際に文字で書いていないことまで思い出したりもできますよね。これはアナログならではの魅力だと思います。
──手帳を活用するために、見やすさなど何か工夫していることはありますか?
手帳は自分が確認できればいいと思っているので、本当に特に工夫もしていないし、しっかりとしたルールも決めず、自分が使いやすいように使っています(笑)。しいて言えば、スケジュールは変更になる可能性があるのでシャーペンを使用することが多いですが、そのくらいです。
手帳が続かない人はどうすればいい?
──手帳って、続かない人も結構いると思うんです。スケジュール管理はデジタルでできるし、手帳も活用すればきっと便利だと思っていても、少しハードルが高く感じるという人にアドバイスはありますか?
確かに、「手帳が続かない」「うまく使いこなせない」という声も少なくないんです。そんな人は、「とにかく手帳をそばに置いておくこと」から始めてみてはいかがでしょうか。どんな職種の人でも、何かしら書いたりメモしたりする機会はあると思うんです。そんな時に、手帳が近くにあれば手帳に書きますよね。だから、常にそばに置いておきたいものを選んでみてください。
あとは、「ルールを設けないこと」。手帳を使いこなせないという声もあるけれど、手帳は必ず埋めなければいけないものではないし、使い方が決められたものでもないです。使いこなせないとか、続かないとか考えずに、気軽に使ってみてください。
──たしかに、大和さんの手帳にも白紙のページはありますね。
私の場合は仕事用に使っているので、休日についてはほとんど書かないです。仕事がある日に、本当に、ちょっと思いついたことを書いておくだけで、それが未来の自分を助けてくれることだってありますよ。
──未来の自分を助けるというのは?
やっぱり自分にとって1番の味方は自分だと思うんです。日記ほどではないけれど、日々ちょっとした考え方や感想などを書いておくことで、過去の自分の言葉に励まされることがあるんです。もちろん、仕事のアイディアという面でもそうですが、気持ちの面でもそうですね。
──最後に読者へメッセージをお願いします。
アナログ手帳が「側にいてくれると、なんかいいな」という存在になるといいですよね。やらなきゃいけないことでもないし、誰かに見せなくてもいいものなので、「毎日埋めよう」とか「使いこなそう」とか気負わずに使ってみてほしいです! 日付というヒントがあるので、天気ひとつメモしておくだけで、そこから話が広がっていくことだってあります。自分のペースで楽しみながら使ってみてください。
──ありがとうございました!
オマケ
手帳ではないが、こちらも大和さんが開発したその名も「ひきだしポーチ」。以前マイナビニュースでも紹介している商品なのだが、今回中身を見せてくれたので紹介しよう。
本当に引き出しをそのまま持ち歩いているように、ペンはもちろん、のりやマスキングテープなど、たくさんのものが入っていた! これを持ち歩けば「●●忘れた!」と焦ることもなさそうだ。
まとめ
何気ない一言が、未来の自分のヒントになるかもしれない。今回お話を伺って、アナログ手帳の最大の魅力はコレではないかと思った。
また、「手帳を買っても、最後まで使い切ったことがない」という理由で手帳を敬遠してしまっている人もきっといると思う。手帳の使い方なんて本当に人それぞれだけど、「きれいに使おう」とか、「毎日埋めよう」、「見やすい手帳を作ろう」というマイルールがプレッシャーになっているパターンも多いのではないだろうか。
しかし、「クリエイティブな仕事をしている人は、手帳の中身もクリエイティブなのでは!?」という勝手なイメージを持ちながら見せてもらった大和さんの手帳も、とても普通だった。「これでいいんだよな~」と、なんだかホッとするくらい。
大和さんのお話にもあった通り、「手帳の読者は自分」なので、誰かと比べるわけでもない。心地よい範囲のマイルールで気軽に使ってみると、いつの間にか大切な相棒になっているかもしれない。