家庭害虫の代表格といえばゴキブリ。けれども、「ゴキブリなんてどんな家にでも出るもの」という"日常的"な感覚と、「一度も見たことがない」という"非日常的"な認識とに、案外ハッキリと分かれるのではないでしょうか。
ある家にはしょっちゅう出るのに、別の家には何十年も出ない。この違いはいったいどうして生じるのでしょうか。
ゴキブリが出やすい家って、どんな家?
実はゴキブリが「出やすい」家には環境面での共通点があります。
- 集合住宅なら1階、ないしは一戸建て
- 木造、ないしは築年数の経った鉄筋コンクリート造
- 川、水路、暗渠が近い
- 帰宅してドアを開けると、いつも冷やっとするのではなく「モワッ」と温かい
- 飲食店が近い、ないしは同じ建物内にある
などなど。
また個々のライフスタイル面では、
- 昼間は外出がちで窓は閉め切り、換気しない
- ベランダやテラスに生ゴミ、カンビンゴミなどが多い。ゴミの捨て忘れが多い
- 洗濯頻度は数日置き~週1回程度と少なめ
- 洗い物は溜めがち
- ダンボール、新聞、雑誌類が多い
などといった、「水」「湿気」「気温」「エサ」「隠れ場所」を担保してくれる環境の家には出やすいようです。
みなさんのお宅はゴキブリに好まれているか、いないか、どちらですか? 何かしら思い当たるところがあるという方も多いのではないでしょうか。
ゴキブリが出没するポイントと時期
家の中でゴキブリが出没するポイントというのも、比較的共通しています。
- キッチンの冷蔵庫付近
- ゴミ箱内
- 玄関の下駄箱近辺、靴の中
- 洗面脱衣所の脱衣カゴの中
- 縛って束ねたダンボール箱のすき間
逃げ足の速いことでも知られるゴキブリでも、ときどき私たちに見つかってしまいます。おそらく彼らにとってのエサ場、憩いの場、通り道などが、その遭遇箇所なのではと推察されます。
後述しますが、「捕獲器(トラップ)」「毒餌剤」を効果的に仕込むポイントになりますので、これらの場所はしっかりと覚えておきましょう。
ちなみにゴキブリが出没しやすい季節、つまり「活動期」というのは、おおむね春から秋。気温の高い、でも高過ぎない時期になります。
10度以下の低温下で動かなくなるというのは、なんとなく理解できるのではないかと思いますが、35度を超える高温下でもゴキブリの活動は鈍り、気温40度を超えると死に至ってしまうほど、ゴキブリは意外と暑さに弱い生き物です。
そのため夏の猛暑時には、エアコンの効いた環境に潜んでいるようです。つまりは私たち人間にとっての快適な環境と、ゴキブリのそれとはかなり似通っているということ。それがゴキブリ退治を若干難しくさせています。
今すぐできるゴキブリ対策
さて、ともするとうっかり家の中で共生共存しかねないこのゴキブリを確実に「駆除」したい場合、どうすればいいのでしょう? 2つの条件別に具体的な方法をご紹介しましょう。
1. 家にこれまでゴキブリが出たことがない場合
おそらく現時点では、ゴキブリにとりわけ好まれる要素のない家です。ライフスタイルなどは現状を維持しつつ、「これから先も出ないようにする」対策を少し足しましょう。
"流しのゴキブリ"を水際で阻止する
自宅内には生息していないとしても、共同住宅などでは隣家で大発生している可能性などは常にあります。そういったゴキブリがフラッと我が家に入り込まないよう、ベランダなどの隣接部に屋外用の「捕獲器」や「毒餌剤」を仕込んでおきましょう。
ゴキブリ「忌避剤」を要所に備える
キッチンやリビングなど、とくにゴキブリに出てほしくない場所を中心に、ゴキブリの嫌がる匂いなどを継続的に放出する「忌避剤」や「殺虫剤」を備えておきましょう。
2. 家にゴキブリが出たことがある、あるいはよく出ている場合
1週間ほどの短期間に5匹以上目撃してしまっている場合には、すでに大変繁殖してしまっている可能性があります。なるべく早めに、つまり梅雨や夏という繁殖ハイシーズンに入る前に退治しないと、さらに増えてしまいかねないのです。
「くん煙剤」を使う
目の届かない場所にいるゴキブリまで一気呵成に退治するには、家庭用では「くん煙・くん蒸剤」がもっとも効果的です。
熱で殺虫成分を煙状にして拡散させる「くん煙剤」も、エアゾールの噴射力で霧状に拡散させる「くん蒸剤」も、あらゆるすき間まで部屋中に殺虫成分を蔓延させてこその効用。食べ物や食器や衣類などを前もって片付けたり、家具家電にカバーしたりなど、準備には手間がかかりますが、モノやゴミの整理自体がゴキブリ対策としても有効です。やると決めたら、なるべく早めに行いましょう。
「待ち伏せ」効果を足す
冷蔵庫と壁のすき間、ゴミ箱、脱衣所など、ゴキブリをすでに見たことのあるポイントというのは、ゴキブリの通り道や巣(鳥の巣のような形状であるわけではなく、なんとなくたくさん集まりやすい場所)に近いと考えられます。
そういったポイントを狙って「毒餌剤」「捕獲器」などを置くほか、エアゾールタイプの殺虫剤のうち、毒成分を事前に通り道などに噴霧しておいてゴキブリが通りがかるのを待ち伏せする効果のある製品もあります。
いくつか対策を紹介しましたが、住まいや家庭の事情の中で可能な範囲で組み合わせながら、ゴキブリ駆除をしていきましょう。
筆者プロフィール: 藤原千秋
主に住宅、家事、育児など住まい周りの記事を専門に執筆するライターとして18年目。リアルな暮らしに根ざした、地に足のついたスタンスで活動。現在は家事サービス、商品開発アドバイザリー等にも携わる。大手住宅メーカー営業職出身、高1、小6、小2の三女の母。『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)、『ズボラ主婦・フニワラさんの家事力アップでゆるゆるハッピー!!』(オレンジページ)など著監修書、マスコミ出演多数。