進化著しいカプセルホテルの代表格として人気を博する「豪華カプセルホテル安心お宿」。これまで、東京都内のターミナル駅近くなどで5店舗を展開してきたが、東京以外としては初となる「豪華カプセルホテル安心お宿プレミア京都四条烏丸店」を4月18日に開業した。
女子会ルームは寝台車風
安心お宿といえば、デザイン性の高さや圧倒的な無料サービスの提供をはじめ、ビットコインやWeChatペイといった多彩な決済方法、スマートフォン・タブレットなどを活用したloTスマートカプセルホテルなどという特長がある。カプセルホテルの常識を覆す"進化系カプセルホテル"という位置づけだ。
ただし、これまで安心お宿は男性専用の施設。女性からも利用したいという声は多かったという。その声を受け、今回の京都四条烏丸店は同ブランド初となる女性専用エリアを設けた。女性限定の岩盤浴をはじめ、女性フロアのプレミアルームには、フェイススチーマーやレッグマッサージといった美容家電も設置、徹底した女性目線を追求している。
中でも驚愕なのは、グループで宿泊する女性ゲスト向けのドミトリー部屋「女子会ルーム」だ。4つのキャビンが向かい合って設置されている様は、まるで寝台車のよう。ドミトリー部屋も女子向けカプセルホテルとしては初となる。ゲスト各々のカプセルキャビンというプライベートスペースが常識だっただけに、注目のトライといえる。
ホタルに囲まれた露天風呂!?
京都四条烏丸店におけるカプセルホテル初の試みといえば、日本初の「AIコンシェルジュ」とオーダーメイドサプリメントサーバー「healthServer」(2階ラウンジに設置)も挙げられる。AIコンシェルジュはフロントに設置されており、初利用のゲスト向けに店舗の使用方法を分かりやすくガイドしてくれる。
カプセルホテルにとって温浴施設は要ともいえるが、京都四条烏丸店では更なる進化がみられる。「ホタルの湯」という名の通り、露天風呂ではホタルに囲まれたような照明の中で高濃度炭酸泉を楽しめるほか、ジェットバスの内風呂と高温ミストサウナに加え、安心お宿では初となる冷水浴も設置している。
安心お宿の十八番ともいえる無料サービスはなんと200以上。男女別の隠れ家ラウンジ(2階)では、無料の高級マッサージチェアをはじめ、種類豊富な漫画・雑誌、味噌汁&フリードリンクも提供。ゆったりとした時間を過ごすことができる。既存の設備が更にパワーアップした印象だ。
また、タイムチャージカフェ・ウブドでは朝食に注目。朝カレー&焼きたてパンが楽しめる。もちろん無料だ。夜のバータイムは「大人のドリンクバー」をぜひ試したい。こちらは有料であるが、ビールや純米酒などが飲み放題で1時間750円とはかなりお得感がある(宿泊者限定)。
眠りにこだわった先の"目覚ましライト"
肝心のキャビンは、横1m・高さ1m・奥行き2mのスクエア型で余裕がある(一部特別ルームもあり)。ブラウンを基調とした落ち着いた空間だ。寝具は純国産高級寝具を特注。快眠を約束する。枕元には、各機種対応のマルチ充電器をはじめ、HDMI出力もあるのでスマートフォンやPCに保存している動画も鑑賞可能だ。
もちろん、VOD(ビデオ・オン・デマンド)も無料で見放題。音漏れしないヘッドフォンも完備し、シアタールーム感覚で滞在を楽しめる。更に動画や映画を楽しみたいゲストには、大画面TVが設置されているシアタールームがオススメ。カプセル内でトイレや大浴場、パウダールームの混雑状況が画面上でチェックできるのもうれしい機能だ。
構造上どうしても問題になるのが"音"。携帯電話の通話はもちろんキーボード音まで、とにかく音は御法度となる。では、カプセルホテルで"目覚めのアラーム"はどうするのかという疑問が湧くだろう。こちらでは「ライト」で起こす。設定した時間になると、高照度のライトが光り、更に点滅までしてくれる。寝ぼけ眼で、一瞬カプセルホテルにいることを忘れてしまいそうだ。
もうひとつが"いびき"の音。耳栓、鼻腔テープといったいびき対応グッズを準備する施設は多いが、いまだ抜本的な解決はみられないカプセルホテル永遠のテーマともいえる。安心お宿の次なる一手はいびき対策か。カプセルホテル(簡易宿所)だからこそ可能なトライ&エラー。フレキシブルな業態だと改めて感じる。
地下鉄烏丸線四条駅徒歩2分という古都・京都の中心で、観光利用はもちろん、ビジネス利用にも対応してくれる。進化続けるカプセルホテルを、ぜひ実際に体感していただきたい。
筆者プロフィール: 瀧澤 信秋(たきざわ のぶあき)
ホテル評論家、旅行作家。オールアバウト公式ホテルガイド、ホテル情報専門メディアホテラーズ編集長、日本旅行作家協会正会員。ホテル評論家として宿泊者・利用者の立場から徹底した現場取材によりホテルや旅館を評論し、ホテルや旅に関するエッセイなども多数発表。テレビやラジオへの出演や雑誌などへの寄稿・連載など多数手がけている。2014年は365日365泊、全て異なるホテルを利用するという企画も実践。著書に『365日365ホテル 上』(マガジンハウス)、『ホテルに騙されるな! プロが教える絶対失敗しない選び方』(光文社新書)などがある。
「ホテル評論家 瀧澤信秋 オフィシャルサイト」