Microsoft Storeでアプリケーションを公開するのは、UWP(ユニバーサルWindowsプラットフォーム)ベースの開発を行うか、デスクトップアプリをAppXとしてパッケージングするデスクトップブリッジを使用しなければならない。
筆者は、UWPアプリケーションの利便性はデスクトップアプリよりも高いと考えており、意識的に使用しているものの、Windows 10のUWPアプリケーション市場はさほど拡大せず、利用者もそれほど多くないのが現状である。
この状況を打開するためにMicrosoftが注力しているのが、PWA(Progressive Web Apps)だ。これまでも何度か取り上げてきたように、PWAはWebページやWebアプリケーションとネイティブアプリの利点を融合させたものだ。
Microsoftは、2018年2月の時点でMicrosoft Edgeに限らず、Windows 10のデスクトップでも利用可能にすることを表明している。
Windows 10の次期大型アップデートとなる「バージョン1803(Redstone 4)」は、Service Workerやプッシュ通知といったPWA実行環境に欠かせない技術を実装し、PWA基盤として完成している。
また、先のブログ記事では、PWAを同ストアで配布可能にすることも合わせて明らかにした。執筆時点で同バージョン1803は未リリースのため、どのタイミングでPWAの展開を始めるかと様子を見ていたところ、すでに多くのPWAが同ストアに並んでいる。
筆者が確認した限りだが、2018年4月13日時点で「ASOS」「Build.com」「DayTrip」「Men's Wearhouse」「OfferFinder.net」「Skyscanner」「Space」「Student Doctor Network」「The Penny Hoarder」「ZipRecruiter」「myCARFAX」「oyster」と12種類のPWAが確認できた。これらはいずれもオフィシャルアプリケーションだが、「Uber PWA」「YouTube PWA」といったサードパーティ製非公式アプリケーションも登場している。
実際に試してみると、単なるWebラッパーに過ぎないものが多く、ガッカリされる方もいるだろう。だが、PWAは多くの可能性を秘めている。開発側から見ればマニフェストファイルを用意し、HTML側の簡単な改良で実現可能で、UWPアプリケーションと比べれば開発コストも抑えられる。利用者側は頻繁にアクセスするWebサイトをワンタップでアクセスできるため、ユーザー体験は大きく改善するだろう。
Microsoftが2018年5月7日(米国日時)から開催する開発者向けカンファレンス「Build 2018」のセッションリストは、4月23日に公開される予定だ。注目のセッションでは、Microsoft Azureやクラウドサービスが中心で、Windows 10に関連するセッションはFluent Designのみとなっている。
しかし、Microsoft Storeのコンテンツ不足を補うのであれば、容易にWebサイトをアプリケーション化できるPWAに関するセッションを用意するはずだ。今後の動向に注目したい。
阿久津良和(Cactus)