新宿ミライナにてマイナビニュースが主催する「マイナビニュース トークラウンジ」が4月9日に開催された。各分野のプロフェッショナルと一緒に働き方を考える本イベント。今回はマンガ家・イラストレーターの小山健さんが登壇し、自身の経験をもとに、独自の視点で会社員とフリーランスの違いや働くことの意味を語った。
劣等生だった専門学校時代とつまらなかった仕事
『マンガ家・イラストレーターの小山健さんに聞く「絶対にがんばらない働き方」って? 』と題した本イベント。最初に語られたのは、小山さんがフリーランスのマンガ家・イラストレーターとなったきっかけだ。
小学校のころから目立ちたがり屋で、奇抜な行動でクラスの女の子の目を引こうとしていたという小山さん。そのころから兄の影響で絵を嗜んでおり、友人と交換漫画を描いていたという。漫画を描くことでクラスのみんなが寄ってきてくれるという体験から「自分の行く道はコレだ! 」と感じ、絵の道を志したそうだ。
こうして小山さんは、イラストの専門学校に通うことになる。しかし「学生の頃は本当にボンクラで、友人同士で、社会に出たくないねなんて話していました(笑)」と当時を振り返る。
専門学校で高評価を得ることができず、卒業したは良いものの就職先に困った小山さん。何とか仕事を探そうと求人誌から応募したのが、印刷会社だった。そしてさしたる試験や面接もなくあっさりと入社、入稿データのチェックという業務に携わることになる。
「これが本当につまらなかったんですよ。学生時代に学んだ知識や技術を役立てる場面もなく、毎日死んだような目で仕事をしてました。職場で友だちもできず、人生ってこんなものなの? という疑問も湧いてきて、帰り道にある橋を大声をあげながら渡ったりしていました」(小山さん)。
フリーランスになって感じたことは「とにかく楽!」
転機が訪れたのは、20代半ばのころ。小山さんは少ない給与をやりくりしてMacを購入し、ブログをスタート。当初はアーティスティックなイラストをアップしていたが、閲覧数が伸び悩んだため、奥様の「さちこさん」を題材にした4コママンガを描きはじめる。これが次第に人気を呼び、ある日を境に仕事のメールがドバドバと届き始めたのだという。
とはいえ、そう簡単に会社はやめる決心はつかない。しばらくの間、印刷会社とマンガ家・イラストレーターという二足の草鞋を履いていたが、仕事のメールがそれなりに定期的に届く環境になり、小山さんはついにフリーランスへの転身を決意する。
「今の世の中にはこういう働き方もあるんだなと思いました。さちこは会社を辞めるのは絶対にダメだ!といってましたけどね(笑)。でも本当に会社の仕事が嫌だったんです。仕事が少ないときはアルバイトでもすればいいかなって」(小山さん)。
フリーランスになって一番に感じたことを聞くと、小山さんは「とにかく楽だなと。不安もありましたが、朝何時に起きてもいいし、締め切りさえ守ればいつ寝てもいいし。朝8時から夕方6時まで頑張っていたのは何だったんだと」と答える。
「どれだけやっても給料は同じという会社で働き方がずっと頭から離れなくて、頑張って仕事をする人の気持ちがわからなかった。しかしフリーランスは、自分が頑張った分が収入に反映されますので、やる気になれました。結果として、自分に合った仕事の仕方が見極められてよかったと思います」(小山さん)。
あえて会社員っぽい働き方を目指す
なお本イベントでは、来場者からの質問を匿名で集められるサービス「Sli.do」が利用されている。イベントが開始されるや否や、会場ではスマートフォンなどから多くの質問が投げかけられていた。
例えば、フリーランスになりたいという方から寄せられた「どのような人がフリーランスに向いていますか? 」という質問に対して、小山さんは「僕は進路で悩んだことがないんです。絵で生活ができればなと大人になってもずっと思っていました。そういう想いや能力があれば、フリーランスでもやっていけるのではないでしょうか」と回答。さらに、自身の現在の労働時間や働き方について、次のように述べる。
「普通の会社員の1年間の働きと比較すると、僕はたぶん3~4月分しか働いてないです。それでも徹夜などをすると色々な面でツケが回ってきてしまいますし、家にいると動画サービスを見続けてしまうので、最近は会社員っぽい働き方を目指しています。今は、出勤する気持ちで10時くらいにコワーキングスペースに向かい、18時くらいまで働いて家に帰り、娘を愛でるという生活スタイルです」(小山さん)。
マンガ家・イラストレーターとしてフリーランスで活躍している小山さんに焦点を当てた「マイナビニューストークラウンジ」。企業に就職している方とは異なる働き方や価値観は、ファンならずとも刺激となったことだろう。