日常の支出を電子マネーで払うのは、今や当たり前の時代。更に便利な使い方ができるアプリが登場しています。それが友達との飲食代などを割り勘にするとき、相手の銀行口座を確認する必要もなく、手数料無料、24時間いつでもお金をやり取りできる個人間送金。

複数の事業者がサービスを提供していますが、一見、同じように見えても内容は各社様々。上手に使いこなすためにも、まずは仕組みをきちんと理解することから始めましょう。

銀行を介した送金との違いとは?

これまで友達同士など個人と個人がお金をやり取りする方法は、現金を手渡しするか銀行口座を介して振り込むというのが一般的な方法でした。個人間送金は銀行振込よりも便利なのでしょうか? まずは、銀行振込でお金をやり取りする場合のメリットとデメリットを整理してみます。

【銀行振込のメリット】
・ほとんどの人は銀行口座を持っているので口座情報がわかれば送金できる
・利用状況などによっては振込手数料を無料にすることもできる
・専用のアプリなどをインストールする必要はない

【銀行振込のデメリット】
・送金相手の口座番号を教えてもらう必要がある
・送金相手の金融機関によっては振込手数料がかかる
・営業時間外はリアルタイムで着金確認ができない

上記のデメリットをすべて解消することができるのが個人間送金です。

現時点では、勤務先やNISA(少額投資非課税制度)口座の継続や開設に提供しただけという人がほとんどかもしれません。しかし下図のように、様々な場面で提供が必要になってきています。

個人間送金といっても、サービスによって内容は違う

スマホのアプリでお金をやり取りする個人間送金の基本的な仕組みは、専用のアプリにオンラインバンキングやクレジットカードをリンクさせたり、現金をチャージして自分のアカウントに入金します。

割り勘をして自分が支払う場合は、そこから友人のアカウントに送金。逆に自分が幹事の場合は、友人から振り込まれたお金が自分のアカウントに入金し貯まっていきます。

送金はFacebookやLINEのID、メールアドレス、電話番号といったいつもの連絡先でできるため、銀行口座を教えてもらう必要はありませんし、24時間いつでもその場で入出金が確認できます。ただ注意したいのは、チャージや送金は無料ですが、自分の銀行口座への出金は所定の手数料がかかったり、出金そのものができないサービスもあるということです。

現在、サービスが行われている主なものをまとめたのが下表。主な違いは本人確認の有無、出金の可否と手数料、残高利用の手段です。

  • 個人間送金サービス比較表

サービスによって内容が違う理由は、事業のタイプによって受ける法規制が異なるから。『LINE Pay』『Yahoo!マネー』は資金決済法という法律に基づき資金移動業者として登録し、銀行以外でも少額(100万円以下)の送金が認められた事業者。だから送金する側も受け取る側も本人確認が必要ですが、100%資産保全義務があるなど各種の規制を受けています。

これに対し『Paymo』は収納代行業者で、簡単にいうと公共料金を支払うときのコンビニのようなもの。支払いを代行しているという位置づけで、個人間送金サービスを行っています。ですから本人確認は不要ですが、送金する際にはレシートが必要になります。

『Kyash』は前払式支払手段発行業者。漢字ばかりで難しく見えますが、要するにギフト券やプリペイドカードを発行してそこから送金サービスをしている事業者ということ。ですから本人確認は必要ありませんが、アカウントの残高は現金化できず自分の口座へ出金することもできません。

このようにサービスによって内容は異なりますし、今秋には銀行間の振り込みでも24時間、365日送金できるシステムが開始される予定。また、メガバンクや一部の銀行連合が個人間送金や新たな電子マネーサービスの展開も計画しています。始まったばかりの個人間送金ですから、今後さらなる進化が想定されます。当面は利用を開始するときはもちろん、使い始めてからもサービス内容を定期的にアップデートする必要がありそうです。

  • 鈴木弥生

鈴木弥生

編集プロダクションを経て、フリーランスの編集&ライターとして独立。女性誌の情報ページや百貨店情報誌の企画・構成・取材を中心に活動。マネー誌の編集に関わったことをきっかけに、現在はお金に関する雑誌、書籍、MOOKの編集・ライター業務に携わる。ファイナンシャルプランナー(AFP)。