1980年代中盤から1990年代にかけてリリースされたクルマは“YOUNGTIMER(ヤングタイマー)”と呼ばれ、ヨーロッパでは専門誌も多く発行されるなど、ひとつのカテゴリーとして人気を集めている。いわゆるクラシックカーやヴィンテージカーと呼ばれる領域にまでは至らないようなクルマだ。その中に、“NEO YOUNGTIMER(ネオヤングタイマー)”というジャンルが新たに根付こうとしている。
かつて憧れたあのクルマが目の前に!
このジャンルを提唱したのは、リクルートマーケティングパートナーズが企画制作する中古車情報メディア・カーセンサー。ヤングタイマーの中でも、エアコンやオーディオ機器などミニマルな装備や機能を備えたクルマをネオヤングタイマーと名付け、新しいカテゴリーとして関心を寄せている。
3月31日には、その存在を広めるべく「NEO YOUNGTIMER’S CARAVAN」というイベントも開催。神奈川県鎌倉市の七里ヶ浜が目の前に広がるPacific Drive Inと、その隣のパーキングを会場に、最高のロケーションでネオヤングタイマー独自の雰囲気を体感できる空間が1日限りで作り出された。
ひとくちに“中古車”といえども、その中にもグラデーションがあり、それぞれが異なる魅力を持っている。ヤングタイマーはクラシックカーなどに比べると部品も手に入りやすく、何よりキャラクターの立ったクルマが多数存在しているという点が大きな魅力だと言えるだろう。
お待ちかねの展示車両その1は、中古車ディーラー・FLEXランクル千葉北店がカスタムした「トヨタ ランドクルーザー60系」。ハイルーフをホワイトのロールーフに、ヘッドライトは丸目に換装し、毎年のように細かな仕様の変更やマイナーチェンジが施されていた同モデルをオリジナリティあふれるカスタムで仕上げている。
お次は、FLEX JEEP千葉北店から1994年式の「ジープ チェロキー」が登場。2代目となるXJ型のチェロキーは、先代のSJ型からエンジン以外のほとんどを新設計してモデルチェンジを行ったクロスオーバーSUVの元祖とも言えるモデルとなっている。アメ車離れしたルックスにホワイトリボンタイヤを履かせ、さらに上品な雰囲気に。
カーセンサー編集長のプライベートカーである3代目の「ジープ チェロキー」もラインナップ。丸みを帯びたデザインなど、先代との比較も楽しい。同車両はルーフランプを備えたレネゲードというグレードで、やや可愛らしくなった見た目とは裏腹に、これまでのモデル同様パワフルな走破性を誇る1台となっている。
FLEX Renoca世田谷店の展示車である「トヨタ ランドクルーザー プラド」は、女性アパレルブランド「Ungrid(アングリッド)」とコラボレーションしフロントフェイスをカスタム。丸目に落ち着きのあるベージュカラーをまとった、温かみのある表情が印象的な1台に。
こちらの「ローバー ミニ」は劇用車とのこと。世界中に根強いファンを持つミニは、1959年の誕生から2000年までの長きにわたり基本設計を変えずに生産され続けたことでも知られている。ハンドルを回して開閉する手動式の窓など、現代のクルマでは体感できないクラシカルさもまた味わい深い。
同じく劇用車の「フィアット パンダ」も、とことんシンプルなスタイル。イタリアを代表するカーデザイン界の巨匠・ジウジアーロによる、徹底したコストダウンが図られたこれぞミニマルというべきデザインは圧巻だ。直線と面で構成されたルックスは、単純なようでいて使いやすさとイタリア仕込みのスタイリッシュさをしっかりと両立しているさすがの完成度となっている。
グッドムードは車両の展示だけじゃない!
この日は車両展示のほかに、トークショーやスペシャルライブも開催。さまざまなアプローチでネオヤングタイマーの魅力を感じられるプログラムが用意されており、来場者の注目を集めていた。
お昼からは、スチャダラパーのMC・Boseさんと、タレントのMEGUMIさんをゲストに招いたトークショーがスタート。2人の愛車遍歴などを辿りつつ、ライフスタイルの中でのクルマのあり方などが語られた。
Boseさんは中古車マニアとしても知られており、カーセンサーにも連載を持っているほど。車内でもいつも音楽を聴いているそうで、音楽活動を行う上でもクルマはなくてはならない存在であると語った。MEGUMIさんは現在、ジープのグランドチェロキーをチョコレート色に塗り替えて乗っているとのこと。かつて乗っていたメルセデス・ベンツ500SLもホワイトから“明治のチョコレート色”に塗り替えていたらしく、クルマへのこだわりと愛が伝わってくるトークが繰り広げられた。
夕方からは、Awesome City Club(オーサムシティクラブ)のスペシャルライブも公開。どこか懐かしさがありながらも、新しい音楽性や世界観を持っている同グループの楽曲は、ネオヤングタイマーのコンセプトに通ずるところがあるということで今回の出演が決定したという。
はっぴいえんどやシュガーベイブに端を発するシティポップの香りを漂わせつつも、ブラックミュージックからのルーツも感じさせる独自のグルーヴを持った彼らのスタイルは、ネオ・シティポップとも形容される。ネオヤングタイマーに乗りながら聴くにはもってこいのサウンドに、来場者はみな酔いしれていた。
今回が初開催となった同イベントであるが、来場者からも好評の声が多数寄せられていた模様。このような催しが浸透していけば、世の中の“中古車”に対するイメージも変わっていくに違いない。ネオヤングタイマーという新しい概念の今後を見守りつつ、次回のイベント開催にも期待したい。