JR各社が実施した2018年3月17日のダイヤ改正は、さほど大規模なものではなく、全国的な話題となる事柄も少なかった。けれども、JR東日本の長距離列車戦略上では、見逃せない変化があった。
東京~銚子間の「しおさい」など、房総方面の各特急の普通車指定席増強が行われたのである。地味ではあるが、長期的な施策が着実に遂行されつつあると感じた変更である。
指定席が増えた分、自由席は減った。これはどういう目論みのもとに行われたことなのだろうか。
自由席主体だった房総特急
東京駅に発着し、千葉県下の総武本線、内房線、外房線各方面へ向かう特急は、国鉄時代の1972~1975年に運転を開始した。いずれも運転距離は120~130km程度であり、400~500km以上走るのが常識だった当時の特急の感覚からは大きく外れた短距離列車であった。そのため列車の性格としては急行に近く、食堂車がないのはもちろん、編成の大半が普通車自由席となった点でも、異色の存在であった。
房総方面行きの特急は、国鉄がJR東日本となっても同様の性格のまま続いた。2005年までには国鉄時代の車両は引退し、完全に新型車両へ置き換えられたが、列車自体は自由席主体の「気軽に乗れる特急」でありつづけた。