先日、あるクラウドサービスのサポート担当者と話したところ、時代を感じさせる1例があった。顧客から問い合わせのあった機能について米国に投げたところ、すでに改良中だったため翌日には「改善済み」とのレスポンスがあったという。
一般的なサポートセンターは製品に対するマニュアルを用意し、その内容によって顧客対応を試みるが、常に変化するクラウドサービスには通用しない。このような出来事をクライアント側でも感じたのがOneDriveだ。
Microsoftは2018年4月5日(米国時間)に、公式ブログで、Office 365へ新たに実装するセキュリティ対策機能を紹介した。
注目したいのがOneDriveの「Files Restore」である。これは誤ってファイルを削除した場合や、ランサムウェアなどの被害を受けてファイルを失ってしまった場合、過去30日間のデータを復元できるというものだ。
ランサムウェアによる攻撃を検出した場合、スマートフォンにインストールしたOneDrive経由で警告メッセージを発する仕組みも備える。PCとクラウドストレージ上のファイル差分をチェックし、そこにランサムウェアの行動と疑われる暗号化を検知した結果、メッセージを発信する仕組みだと推測する。
さらにファイルやフォルダーの共有時にパスワードを付与が可能になるなど、いくつかの改良が加わっているが、クライアント側でもかなり大きな変更が加えられている。筆者はメインの2-in-1 PCにWindows 10 Insider Preview(ファーストリング)をインストールしているが、外出先でLTE接続を試みたところ、OneDriveの同期を一時停止する旨の通知が現れた。
似た通知は以前から発せられていたが、以前は「同期を一時停止すると課金を抑制できる」といった内容だったはず。筆者が本機能に気付いたのはビルド17133だが、テクニカルライターの山田祥平氏によれば、数ビルド前(ビルド17127あたり?)から実装したようである。
これまでのOneDriveクライアントは、ネットワーク接続を検知するとMicrosoftアカウントやAzure ADアカウントによるサインイン処理を終えてから同期を試みるが、新しいクライアントではサインイン後に一時停止状態となる仕組みだ。
クライアントバージョンを確認すると、ビルド18.054.0314.0004。Insiderリングに属するため、[リリースノート]https://support.office.com/en-us/article/new-onedrive-sync-client-release-notes-845dcf18-f921-435e-bf28-4e24b95e5fc0)に目を通しても目新しい記述はない。Windows BlogのWindows Insider Programも同様だ。正確な情報を読者にお届けできないのは残念だが、少なくとも2018年春リリース予定の機能更新プログラムでは、本機能が利用可能になるだろう。
ちなみにネットワーク接続に従量制課金接続設定を付与すると、無線LANに対しても同じ行動になるため、ポケットWi-Fiやスマートフォンのテザリングを行っている場合も有用だ。
阿久津良和(Cactus)