西武ホールディングスは9日、「(仮称)西武鉄道池袋ビル」の上棟式を執り行った。西武鉄道の池袋旧本社ビル敷地と西武池袋線の線路上空などを活用し、低層部分に商業施設を配した地下2階・地上20階のオフィスビルを建設。2019年春開業予定とされている。

  • 「(仮称)西武鉄道池袋ビル」の建物1階部分を西武池袋線の特急列車(レッドアロークラシック)が通過

「(仮称)西武鉄道池袋ビル」は西武池袋線池袋駅の南側に位置し、池袋線の線路をまたぐ地上20階の建物の鉄骨工事などが進む。線路上空の人工地盤は約半年かけて、池袋線の電車が運行されない終電後の時間帯を活用しながら工事が進められたという。同ビルが竣工する2019年春、西武ホールディングス、プリンスホテル、西武プロパティーズの3社が移転する予定(一部機能は現在の本社所在地にて継続予定)となっている。

ビル外観はデザインと機能性を兼ね備えたブレース架構(柱と梁の構面内に斜材を入れる構法)により、鉄道のダイヤグラム、あるいは森の木々をイメージさせるデザインに。ブレースによる外殻構造とすることで、1フロア約640坪の整形無柱空間が可能となり、広く快適なオフィス空間を提供する。総貸室面積は池袋エリアでトップクラスとのこと。免震構造を採用し、BCPにも配慮して防災性の向上を図るほか、防災備蓄倉庫の設置、帰宅困難者への対応など地域への貢献にも努めるとしている。

  • 「(仮称)西武鉄道池袋ビル」は地下2階・地上20階、延床面積5万平方メートルのオフィスビルとして2019年春に開業予定

  • 上棟式では西武ホールディングス代表取締役社長、後藤高志氏らが参列

  • 「鋲打の儀」に続いて、鉄骨梁をクレーンで最上階まで吊り上げる「吊り上げの儀」も

上棟式では西武ホールディングス代表取締役社長の後藤高志氏、西武鉄道代表取締役社長の若林久氏らが参列し、鉄骨梁に金鋲・銀鋲を入れる「鋲打の儀」、鉄骨梁をクレーンで最上階まで吊り上げる「吊り上げの儀」などが執り行われた。上棟式の後、取材に応じた後藤氏は、「池袋は西武鉄道最大のターミナル駅であり、副都心としても今後の発展が大いに期待できる場所。このビルは来年3月に竣工予定で、西武ホールディングスをはじめ西武グループの中枢各社が移ってきます。エリアの発展と西武グループの利用価値向上に貢献する、非常に戦略的なビルとなります」と語った。

「(仮称)西武鉄道池袋ビル」は豊島区の「池袋駅東西連絡通路(東西デッキ)整備基本構想」において、先行して整備を推進する南デッキと将来的に接続予定とされている。ビルと東西デッキの接続が実現すれば、池袋駅から南池袋方面の歩行者ネットワークが強化され、このエリアのにぎわいを創出する役割を担うことになり、後藤氏も「このエリアを中心に人の流れが活性化するのではないか」と期待を寄せる。なお、ビル低層部分の商業施設に関して、後藤氏はまだ決定段階ではないとした上で、「さまざまな企業から『テナントとして入居したい』とお話をいただいています」とコメントした。