北海道は4月5日、北海道における航空ネットワークの目指す姿とその実現に向けた方策を明らかにする「北海道航空ネットワークビジョン」を公開した。「地域と一体となった戦略的な空港間連携」「空港の機能強化と利便性向上」等、5つの視点から施策を展開し、新千歳や函館など、道内の空港の将来展望を示している。
「北海道航空ネットワークビジョン」は、将来にわたり北海道の航空ネットワークを持続的に発展させていくためには、航空会社や空港ビル会社、二次交通事業者、行政、経済団体、道民など多様な主体が将来像を共有し、これまで以上に連携・協働した取組を進めていく必要があることから定めたもの。「北海道交通政策総合指針」に基づき、2018年度から2030年度までが計画期間となる。
北海道における航空ネットワークの状況を振り返ると、旅客数は2016年度2,728万人と過去最高値となり、特に国際線で急激に増加している。航空路線は、国内線~LCCの新規就航など拡大傾向(収支の厳しい路線も存在)にあり、国際線~新千歳空港を中心に増加している。新千歳空港の発着枠拡大や一部外国航空会社の乗入制限の緩和により、今後も拡大が見込まれている。貨物取扱量も国際線の路線数増加に伴い取扱量が増加しており、特に魚介類や菓子類の伸びが著しい。また現在、7空港一括民間委託に向けた取組を推進しており、民間委託は2020年度を予定している。
今後の施策展開としては、「新たな人の流れをつくるネットワークの形成」「海外・道外へ向けた航空貨物輸送の拡大」「生活と医療を支える路線の維持・確保」「空港の機能強化と利便性向上」「地域と一体となった戦略的な空港間連携」の5つの視点を挙げている。LCCやチャーター便などの積極的な誘致や道内路線における休止路線の再開、道外と道内の地方空港を結ぶ路線の強化、CIQ(入国審査手続)体制の整備など国際化の推進、24時間運用の推進、滑走路の延長、複数空港一体での航空会社との交渉、複数空港の後背地における観光資源を組み合わせた新たな観光ルートの形成等、様々な施策を提示している。
これらの施策を通じて、国内線利用者数は2,671万人以上(2025年度)、国際線利用者数は380万人以上(2025年度)、離島路線利用者数は5万3,889人(2026年度)、国際貨物の年間取扱量2万t(2030年度)を目標に掲げている。
各空港の将来展望としては、新千歳は北の拠点空港(国際拠点空港化)を目指して(北海道経済と人々の交流を支える航空ネットワークの実現)、稚内は離島を含む宗谷地域の経済・生活を支える空港を目指して(道北地域経済と人々の交流を支える航空ネットワークの実現)、釧路は道東地域の拠点空港を目指して(道東地域の拠点空港として国の観光立国政策の推進に向け機能向上を図るとともに、地域の経済と人々の交流を支える航空ネットワークの実現)、函館は本州との結節点、新幹線、離島など様々な役割を担う道南地域の中核空港を目指して(道南地域の経済と人々の交流を支える航空ネットワークの実現)、それぞれ施策を実施。
また、旭川は道北地域の中核空港を目指して(道北地域の経済と人々の交流を支える航空ネットワークの実現)、帯広は道東地域と道央地域の結節点、交通の要衝を担う中核空港を目指して(経済と人々の交流を支える航空ネットワークの実現)、女満別はオホーツク地域の中核空港を目指して(オホーツク地域の経済と人々の交流を支える航空ネットワークの実現)、中標津は北方領土隣接地域における「人・モノ・情報」の交流拠点を目指して(地域資源の活用により人とモノの流れをつくる航空ネットワークの実現)、それぞれ施策を実施。
紋別は観光客を呼び込み経済を活性化させる空港を目指して(首都圏や札幌圏との交流人口を拡大する航空ネットワークの実現)、離島は特定有人国境離島地域の社会維持の要となる地域と共生した空港を目指して(住民の安全・安心の暮らしを守るとともに、地域産業の発展を支える航空ネットワークの実現)、丘珠は道内航空ネットワークの拠点空港を目指して(道内各地の経済・医療・防災を支える航空ネットワークの実現)、それぞれの施策を実施していく。