米Appleは4月5日 (現地時間)、映像編集ソフト「Final Cut Pro X」のバージョン10.4.1で「ProRes RAW」という新しいビデオフォーマットを導入することを発表した。また、高度なクローズドキャプショニング・ツールを追加する。「Final Cut Pro 10.4.1」(299.99ドル)は、「Motion 5.4.1」(49.99ドル)や「Compressor 4.4.1 」(49.99ドル)と共に4月9日にリリースされる。既存ユーザーのアップデートは無料。

ProRes RAWは、RAWのイメージ品質とワークフロー、そしてAppleが開発したポストプロダクション向けコーデックであるProResのパフォーマンスを活かせるフォーマットだ。カメラのセンサーが記録したRAW形式のデータをインポートして編集できるので、たとえばHDRコンテンツのワークフローに求められるハイライトやシャドウの柔軟な調整が可能になる。ProRes RAWファイルは、ProRes 4444 (ターゲットデータレート: 330Mbps)よりも小さなファイルにまとめることが可能。macOSがOSレベルで最適化されており、MacBook ProやiMacでは、レンダリングすることなく、4K ProRes RAWファイルをフル品質で表示できる。撮影機器では、「Sumo 19」や「Shogun Inferno」などAtmosのレコーダー、DJIのドローン「Inspire 2」やSuper 35mmカメラシステム「Zenmuse X7」がアップデートを通じてProRes RAWをサポートする。

  • Final Cut Pro XとAtmosのレコーダー

    RAWとProResの長所を活かせるProRes RAW

ビデオ共有サービスを通じてビデオを広く様々な人と共有できるようになってクローズドキャプションの重要性が高まっている。新しいクローズドキャプショニング・ツールを用いることで、ユーザーはサードパーティのソフトやサービスを使うことなく、Final Cut Pro上で直接クローズドキャプション・ファイルをプロジェクトに組み込んだり、または新しく作成できる。タイムラインにおいてビデオクリップまたはオーディオクリップにキャプションを付けられるので、編集してもリンクするクリップと共にキャプションも自動的に移動する。インスペクタを用いて、テキストや色、アライメント、配置などを調整でき、同じタイムラインで複数の言語のキャプションを作成することも可能だ。キャプションを付けたビデオは、YouTubeやVimeoなどで簡単に共有できる。クローズドキャプションやロールの割り当てで混乱しないように、共有ウィンドウで新しいロール・タブにタイトル、ビデオやオーディオのロールがまとめられている。

  • クローズドキャプションの扱いが簡単に

    タイムラインでクリップと共にキャプションも自動的に移動

Motion 5.4.1はProRes RAWに対応、Compressor 4.4.1はクローズドキャプショニングをサポートする。