eスポーツエコシステムを拡大するために3年で20億を投資
サードウェーブは4月3日に都内で製品発表会を開き、ゲーミングパソコン「GAMEMASTER」の2018年モデルを発表し、併せてeスポーツを軸とした新たな事業戦略を説明しました。
2018年モデルの特徴は最新パーツの採用と新発想のエアフロー「圧力冷却」です。エアフローを見直すことで従来と同等の冷却性能を、静音構造で実現したとのことでした。
システム構成はBTOなので変更が可能ですが標準構成が4種類用意されています。ケースはミドルタワーとミニタワーの2種類なので合計8モデル構成となっています。
事業戦略に関してはサードウェーブの常務取締役・榎本一郎氏が説明しました。世界のeスポーツ業界は右肩上がりであるとしている一方、複数の調査会社によれば、その数字には調査によって大きな差があると述べ、「eスポーツ業界と一言で言っても、いろいろな側面がある」と指摘しました。これはすなわち、単なるゲーミングパソコンや周辺機器、ゲームソフトといったeスポーツに直接関わるものだけではなく、プレイヤーのコーチングや映像配信、マーケティングというエコシステム全体を考えるとさらに規模が大きくなるということを意味していると言えます。
日本に目を向けると、2月に3つのeスポーツ団体が合併しバリューチェーンが広がっただけでなく、Jリーグや吉本興業といったリアルスポーツや異業種からの参入もあり、今後は様々な大会が開かれると予想されています。
eスポーツを足場にいろいろな形で新しいプレーヤーが市場に参入し、新しい事業、投資とチャンスが芽生えてきたのが最近の動きです。このように大きなバリューチェーンの市場が生まれたのが面白いと榎本氏は語りました。
野球やサッカー同様にゲームでプロが生活できる環境が生まれるようなエコシステムを醸成し、サードウェーブとして今後3年間に20億円を投資することで、その発展に貢献したいと語気を強めます。
榎本氏は長年外資系パソコン業界に在籍していたこともあり「彼らにはできないような事をしたい」と語りました。来週池袋にオープンするeスポーツ施設「LFS(ルフス)」もその施策の一つであり、ゲーマーがいつでも来て練習をしたり、イベントを開催するような場が榎本氏の考えるeスポーツエコシステムのある種の形なのでしょう。
安定、安心、快適をキーワードに「PCゲームを遊ぶためのゲーム機」に
引き続きサードウェーブのゲーミング部・瀧吉祐介氏が、新製品の概要を紹介しました。「PCゲームを遊ぶためのゲーム機」をコンセプトにしており、GAMEMASTERさえ買えば動作確認のとれたゲームタイトルを40種類以上楽しめます。
製品ミッションとして安心、安定、快適をキーワードにしており、特に安定面に注力しています。その安定面を支える機能として電源とエアフローの2つを挙げました。電源は公式大会でも使われる実績がある製品を使用し、冷却に関しては今回「圧力冷却」を採用しました。
従来のPCケースは開口部を増やすことで冷却効率を上げていましたが、他方、音が漏れやすいという欠点がありました。新ケースでは、吸気と排気のエリアを分けることでケース内の圧力で熱気を追い出す設計になっています。エアフローを上げるために電源をチャンバー構造にしているだけでなく、エアフローを阻害する要因となるワイヤーを裏に回しています。そしてドライブベイも意図的に減らすことでエアフローの障害を削減しているのです。
また、いかにもゲーミングPCというデザインではなく、万人ウケしそうなシックなデザインを採用しました。とはいえ、左サイドには、全面ガラスパネルを配して、ある程度の目立ち要素も取り入れています。
パーツは最新製品を使用し、CPUはIntelの第8世代Core iシリーズを、発表されたばかりのH370チップセットを使用したASUS製マザーボードに搭載しています。グラフィックカードはNVIDIAのGeForce GTX10シリーズを装備したPalit製品を採用しています。
Q&Aではミドルタワーとミニタワーの差についての質問が投げかけられました。これに榎本氏は「性能差はなく、マザーボードとケースだけ異なる。自室プレーの場合ミドルタワーは大きいと思っている」と回答し、日本の住宅事情を考えるとミニタワーを勧めたいというスタンスがうかがえました。また、昨年高額賞金で話題となったGAMEMASTER CUPもタイトル等を含めて練り直している最中という回答もありました。