Mozillaは4月3日 (米国時間)、単体で動作するVR (仮想現実)/AR (拡張現実)ヘッドセット向けに設計したWebブラウザ「Firefox Reality」を発表した。HTC Vive Focus、GearVR、Google Daydreamなどで動作する初期版のソースコードが公開されている。
今年はPCを必要としない独立型のVR/AR向けヘッドセットが多数登場する見通しだが、GoogleのChromeは同社のDaydream、MicrosoftのEdgeはWindows Mixed Realityというように、他のブラウザのVR/AR/ MR (複合現実)サポートの多くは特定のプラットフォームに制限されている。Firefox Realityは、デスクトップ版のFirefoxと同じようにクロスプラットフォームで使用できるオープンソースブラウザになる。
iOS版のFirefoxが長く実現しなかったように、MozillaがFirefox Realityをあらゆるヘッドセットに対応させようとしても、クローズドなプラットフォーム側の壁に阻まれる可能性がある。だが、特定のプラットフォームに縛られない独立したブラウザの存在が、オープンなWeb技術の普及を推進し、ユーザーのプライバシーを保護するネット環境を実現する力になるとMozillaは主張する。
Firefox Realityの開発はまだ初期段階であり、MozillaのSean White 氏は「エキサイティングな新プラットフォームで、全く新しい体験を提供する長期的な計画の第1歩である」と述べている。3日にHTC Vive Focusを用いたデモビデオが公開されたが、仮想環境に2Dブラウザのウィンドウが配置されているだけのシンプルなUIだ。
「複合現実はまだ荒野である。どのように文字を入力するか? 感情をどのように表現するか? 3Dコンテンツと共にどのように既存の数十億もの2D Webページを見られるようにするか? どのようにコミュニケーションを実現するか? 誰が世界をマッピングし、誰がユーザーが見ているものをコントロールするか? より良いブラウジング体験を作り出すために、これまで積み上げてきたことを音声認識やコネクテッドデバイスで実現できるか? そうした問題に取り組むことに心が躍る。全てが再び新しい」(White氏)
今後、継続的にFirefox Realityのアップデートを提供していく計画で、これから数週間の間に、Servo統合、WebAssemblyを用いた実験的なコンピュータビジョン・パイプライン、デバイス/ジェスチャー/音声インタラクションなどを組み込んでいく。