訪日外国人旅行者の増加等に伴う宿泊施設不足から、注目を集める「民泊」。利用者の増加でトラブルも増えているようです。そんな「民泊」に対して、2018年6月に「住宅宿泊事業法(民泊新法)」が施行されます。これによりどんな変化があるのでしょうか。不動産・住生活ライターの高田七穂さんに教えてもらいました。
Q 民泊が合法化されるって聞いたけど、住んでいる環境に変化があるの?
A 現在、さまざまな民泊サイトが宿泊者を募っていますが、実は大部分が旅館業法などに違反しています。なかには、騒音やゴミ捨てなどを巡りトラブルも増加。一方で、来日する観光客は増え、ホテル不足が指摘される声もあります。このため、国は2018年6月1日から住宅宿泊事業法(民泊新法)という法律を整備して、健全な民泊の運営を後押しすることにしました。
民泊新法により、届け出をすれば誰でも民泊が行えるようになります。民泊を紹介する仲介サイトや管理会社にも登録が義務付けられます。
建物内の別の部屋が民泊として利用される可能性もあります。なかには、空室の期間だけ部屋が民泊として貸し出されるかもしれません。届け出がなされた民泊では、見えやすい場所に青い色の標識と、自治体に届け出た際の番号が明示されるように。宿泊者名簿の作成も義務付けられるので、泊まっている人も把握されるようになります。
さらに、民泊を行う事業者は、騒音などの苦情への対処が義務付けられます。また、民泊のコールセンターも開設。現在、コールセンターでは、民泊の内容や届け出制度など、事業を行いたい人向けに相談を受けていますが、2018年6月15日からはこれらに加えて、民泊にまつわる苦情相談も受け付ける予定です。
- コールセンター:電話0570-041-389(ヨイミンパク)
- ※全国共通ナビダイヤル(通話料は発信者負担)
大家さんが法を守って民泊を行う場合は、トラブルがないように運営されるはずなので、それほど心配はいらないでしょう。もし、騒音などの問題があれば、伝えるようにしましょう。
一方で、2018年6月15日以降、自分の住まいの周辺で標識がないのに、多くの人が連日泊まりにやってくる、騒音がうるさい、ゴミが散らかっているなどの迷惑行為があったら、大家さんや管理会社に連絡しましょう。また、上記のコールセンターにも電話をしてみましょう。
自分が部屋を借りている場合、大家さんの許可を受けずに、また自治体への届け出をせずに民泊を行うことは絶対にやめましょう。民泊新法の施行に合わせて、旅館業法が改正され、罰則が引き上げられます。無許可のまま民泊を行と100万円以下の罰金か6か月以下の懲役、あるいは両方を科せられる可能性があります。違法民泊は明らかに犯罪行為であり、過去には旅館業法違反で逮捕されている人がいることを知っておきたいものです。
高田七穂(たかだ なお):不動産・住生活ライター。住まいの選び方や管理、リフォームなどを専門に執筆。モットーは「住む側や消費者の視点」。書籍に『絶対にだまされない マンションの買い方』(共著)『マンションは消費税増税前に絶対買うべし!?』(いずれもエクスナレッジ)など。「夕刊フジ」にて『住まいの処方銭』連載中