エンジニアとしての過去1年を振り返ってみて、あなたの役割はどのように変わったでしょうか。過去5年間ではどうでしょう。テクノロジが変化する速度が速くなるにつれ、職場のあらゆる面において、より効率的に適応し、生産性を高めることが必要になっています。
2015年にAspencore(旧UBM)が実施したテストと計測に関する研究によると、半導体、自動車、航空宇宙、防衛といった複数の業界のエンジニアが、テスト開発の進化に関する最も重要な課題として以下のような点を挙げました。
- めまぐるしいテクノロジの変化に適応して、エンドユーザにテスト機能と価値を提供すること
- より複雑な製品を設計し、より短い期間で市場投入すること
- 最新の規格に基づいてテストできる装置を調達すること
- 高速通信とネットワーク帯域幅(100GE、400GEなど)で後れを取らないこと
- すぐに陳腐化する専門性の高い計測器に多額の資金を投入することなく、最新世代の製品をテストする能力を維持すること
自分と自分のチームを省みた場合、最も苦労しているのはどの点になるでしょうか。このように製品仕様が急速に変更される状況においては、同じ、あるいはより少ない予算でテストベンチや製造ラインを拡張することが切実な問題となります。この新しいエンジニアリングの世界で変化に後れを取ることなく、さらに飛躍を遂げるには、ソフトウェアの存在が大変重要になってきます。
本稿では、LabVIEW NXGの最新版を使用して、以下の4つの組織レベルの課題に対処し、次の目標に速やかに取り掛かれる方法について説明します。
- テストシステムのセットアップと構成にかかる時間を短縮する
- 次の計測に取り掛かるまでの時間を最低限に抑える
- テストソフトウェアの相互運用性を強化する
- 適切なテストデータを適切なユーザに提供する
1. システムのセットアップと構成にかかる時間を短縮して、よりスマートにテストを行う
エンジニアリングの作業を行う際、マニュアルやピン配列、正しいハードウェアのドライバ、適切なユーティリティなどを探すのにどれだけの時間を費やしているでしょうか。複数の業界にまたがる400人以上のエンジニアを対象とした最近のNIの調査によると、テストエンジニアにとって最も重要かつ頻繁に経験する苦労の1つは、複数のベンダの計測器が含まれることの多い、さまざまなコンポーネント同士の接続や統合が必要な環境で、短時間で計測を完了することでした。
LabVIEW NXGには、テストをスマート化するために、適切な情報を適切なタイミングで参照できるよう、追加コンテキストや支援機能を提供するワークフローが搭載されています。たとえば、複数の計測器をセットアップして検証するという一般的な作業を取り上げてみましょう。LabVIEW NXGにはシングルビューが組み込まれているため、計測器の検出、視覚化、構成、およびドキュメント化を速やかに行うことができます。また、適切なドライバがまだマシンにインストールされていない場合、LabVIEW NXGは、この環境を離れずにドライバを検索してインストールできるようにガイドしてくれます。ドライバがインストールされると、ドキュメント、サンプル、NIのソフトフロントパネルが表示されるため、セットアップを確認して、すぐに最初の計測を開始できます。
まだ計測器をお持ちでない場合は、ハードウェアのカタログからオフラインでシステムを構成できます。ビジュアルキャンバスが、要件を満たす有効なシステムの構築に使用できるモジュール式計測器を提示してくれます。より規模の大きいシステムに拡張するには、テーブルビューでシステムを構成して、複数の計測器の構成を効率よく一括編集することもできます。
こうした新機能の目的は、一般的なセットアップタスクに費やす時間を削減することにあります。そうすることで、テスト結果の収集や、個々のニーズに合わせたシステムのカスタマイズなど、本来最も時間を費やすべきところに十分時間を費やせるようにしようというわけです。
2. 次の計測に取り掛かるまでの時間を最低限に抑えて、よりスマートにテストを行う
最初に計測をセットアップするときは確かに十分な配慮が必要ですが、懸念すべき事項はこればかりではありません。要件が新しくなれば、テストシステムを繰り返し使用する必要が出てきます。そのため、初回のテストだけでなく、将来発生するテストや計測に取り掛かるまでの時間も最小限に抑えられるような柔軟性が必要です。従来、エンジニアは、このレベルのカスタマイズを実現するために、汎用ツールを使用して独自のシステムソフトウェアの開発および保守を行ってきました。しかし、そのやり方では、初回テストとその後のテストの両方で手間が増えてしまいます。
過去30年にわたり、何十万人ものエンジニアがLabVIEWを使用して、計測タスクの抽象化を通じて生産性を向上させ、グラフィカルプログラミングによる直感的な機能の視覚化の恩恵を受けてきました。ローレンス・リバモア国立研究所のエンジニアであるGlenn Larkin氏は、自動保守システムを開発するために、従来型のアプローチの代わりにLabVIEWを採用し、3人のチームで「約15ヶ月間で最終バージョンのアプリケーションを試作、開発、デプロイしました。これはJavaやC++を使用したアプリケーション開発にかかる時間の約3分の1です」と述べています。
LabVIEW NXGは、このようなグラフィカルアプローチを基に、ハードウェアのセットアップ、初回計測、解析から効率的な開発環境への移行を支援するエンジニアリングワークフローを提供します。カスタマイズへと移行していく過程において、エンジニアリング的インサイト、構成、解析ルーチンは維持されます。LabVIEW NXGを使用すると、より高いレベルから作業を開始できます。より高度な解析、ロジック、自動化が必要な場合は、すでに行った作業を土台として、その上に速やかに構築することが可能です。