目の前に広がる皇居に加え、ビジネス街の大手町・丸の内からも徒歩圏内。そんな東京メトロ東西線竹橋駅から3分の場所に、カプセルホテル「ナインアワーズ竹橋」が3月30日に開業する。同ブランドの6号店となる竹橋店だが、ここだけのサービスなのが+ランニングステーションというサービスだ。
ビルの中に差し込む大量の日の光
雑居ビルが立ち並ぶエリアにおいて、頭ひとつ抜けた白いビルが見えたら、それが「ナインアワーズ竹橋」だ。中に入ると、外観から感じた空間認識よりも随分広いように感じられた。これは、8階建てのビルの全フロアが吹き抜けになった構造によってもたらされる上空の開放感ゆえだろう。
建築・設計は平田晃久氏が担当しており、吹抜け空間を持つCの字型の構造は、皇居のお堀からインスピレーションを得ている。中央の吹抜けには階段が設けられている。階段を上からと下からで眺めていたら、空間的な広がりはもちろん、二重螺旋がもたらす造形美でなんだかワクワクしてきた。
屋上には小さな植栽空間を持つテラスを設置している。そこからの景色はビルが立ち並ぶザ・オフィスではあるものの、風を感じ日に照らされていると、少し気持ちが安らいでくる。
「ナインアワーズ」では宿泊に限らず、自分のスタイルにあわせて、睡眠や仮眠、シャワーなどと、24時間自由に活用できるトランジットサービスを提案している。特に竹橋店は交通の要衝である東京駅に近いため、出張や旅行の際のトランジットサービスとして様々な需要に対応する。さらに大手町・丸の内のビジネスパーソンにとってはリフレッシュの拠点に、さらに皇居ランナーにとってはランニングの拠点となる。
ウォームピラーとミントでリフレッシュ
まず、ランナー利用の観点からサービスを紹介したい。ランニングステーションは利用料金500円であり、その中には、ロッカーとシャワー利用が含まれている。事前予約もできるため、団体で利用する予定がある時は予約をしておくと便利だ。また、「仕事上がりにランニングを」という人にとって、24時間利用可能はうれしいサービスだろう。ロッカーはQRコードで管理するというシステムになっている。
ランナー向けのサービスとして、レンタルサービスも用意している。タオルセット(バスタオルとフェイスタオル)が200円、ランニングウェア(Tシャツ/ハーフパンツ)が各100円、シューズロッカーが1,000円/月となる。さらに、ナイキの最新シューズを男女ともに2種類(「ナイキ ズーム フライ」「ナイキ エア ズーム ペガサス 34」)をそろえており、無料でレンタルができる。急に思い立っても手ぶらでランニングができるというわけだ。
シャワーブースでは、通常のシャワーに加えてTOTOのウォームピラーを採用。特別に制御した身体に沿って流れる水流による高い温浴効果でランニングの疲れを癒やしてリフレッシュできる。
さらに、ナインアワーズが2017年12月に立ち上げた新ブランド「ドシー(℃) 恵比寿」で提供されている、玉の肌石鹸特製ミントタイプのアメニティ(ボディソープ・シャンプー・コンディショナー)は、この「ナインアワーズ竹橋」にも備えている。汗をかいた後のミントで、さらに爽快になれそうだ。
眠りへのこだわりは枕にも
ランニング利用のほかにも、宿泊と仮眠、シャワー利用者に向けたサービスを提供する。宿泊は4,900円から(チェックイン13:00~、チェックアウト翌日10:00)、仮眠は1,000円から(最初の1時間は1,000円、以降は1時間毎に500円、利用可能時間は13:00~21:00)、シャワーは700円(チェックインから1時間以内に要チェックアウト、24時間利用可能)となる。
カプセルの客室数は男性76室/女性53室の全129室となる。宿泊利用者には他のナインアワーズ同様、館内着やタオル、歯ブラシ、スリッパのセットが提供される。男性は2~4階・女性は6~8階と、男女は階によって分かれており、男性・女性の専用エレベーターでそれぞれの階に向かう。
形状のスリーピングポッドは十分に奥行きがあり、自由に調整できる灯りの温かさも相まって、包まれているような感覚が味わえる。体圧を分散する高弾発性のマットとともに、自然な寝返りを助ける枕を用意。この枕、4つの異なる素材を6つの区分に分けて配置されているようで、実際に頭を載せてみると素材の違いを体感できる。もちろん、スリーピングポッド内にはコンセントとUSB差し込み口も供えている。
館内は無料Wi-Fi対応で、受付前には広がるラウンジには、ワークスペースも設置。このラウンジはランナーも自由に憩える空間になっている。
空間そのものを楽しめる造形美
ナインアワーズは今後も新店開業を予定しており、5月10日には東京・赤坂に「ナインアワーズ 赤坂」が誕生する。カプセル数168室(男性80室/女性88室)を備える赤坂店の新しい取り組みは、スペシャリティコーヒーを提供する「GLITCH COFFEE & ROA STERS」を併設すること。バリスタ・鈴木清和氏が2015年4月に神保町に設立した同店では、焙煎や抽出だけではなく、産地や農園、精製方法、品種にまで及ぶ全プロセスにこだわり、豆の個性がダイレクトに伝わるハンドドリップコーヒーを提供している。ビジネスパーソンの新たな癒やしの拠点となりそうだ。
さらに、2018年夏には東京・蒲田に「ナインアワーズ 蒲田」(カプセル数147室(男性84室/女性63室)、9・10月には東京・浅草と新大阪に新しいナインアワーズを予定している。また、ロウリュウを備えた「ドシー」の2号店として、4月20日には「ドシー 五反田」(男性専用/カプセル数164室)を開業する。
ナインアワーズの魅力はそこで提供されているサービスだけではない。赤坂店は竹橋店に続いて平田晃久氏が建築・設計を担い、カプセルを変幻自在な細胞や粘菌になぞらえた生物学的な視点で空間化している。続く蒲田店は芹沢啓治氏が建築・設計を担うことで、また違った味わいのある空間が生まれる。そうした空間全体を楽しむという意味でも、いろいろなシーンで活用できる拠点と言えるだろう。
●information
「ナインアワーズ竹橋」
住所: 東京都千代田区神田錦町3-11-17
アクセス: 東京メトロ東西線竹橋駅より徒歩約3分
営業: 24時間、年中無休
延床面積: 829.82m
敷地面積: 166.39m
※価格は全て税込