初のChrome OSタブレット「Acer Chromebook Tab 10」が登場する。9.7インチの高精細なディスプレイを装備、デジタルペンが付属して、価格は普及帯に入る329USドル。Chormebookが躍進する教育市場向けにデザインした新しいChrome OSデバイスであり、一般向けにも販売する。4月に北米で発売、5月にEMEA (欧州/中東/アフリカ)に拡大する予定だ。
Tab 10は、タッチディスプレイが9.7インチ (2,048 x 1,536、264ppi)のQXGAのIPSパネル。プロセッサは、デュアルコアのCortex-A72とクアッドコアのCortex-A53を統合した「OP1」。大きな作業には高パフォーマンスに最適化されたCortex-A72を活用し、小さな作業には省電力性に優れたCortex-A53を使う。メモリーは4GB LPDDR3、ストレージは32GB。カメラは、Google Hangoutsなどに用いる前面カメラが2MP、主にビデオや写真の撮影に使う背面カメラが5MP。ワイヤレス機能はWi-Fi (802.11 a/b/g/n/ac)とBluetooth 4.1。ポート類は、USB-C 3.1 (Gen1)、microSDカード・スロット、ヘッドフォン/マイクなど。
WacomのEMR (電磁共鳴)テクノロジーをサポートし、本体には付属のデジタルペンを収納するスロットが用意されている。Wacom EMRはバッテリーの充電が不要なデジタルペンでありながら、高精度のセンサーと高度なアルゴリズム、高速なデータ転送性能による自然な書き心地を実現している。
Chromebookは、軽快な動作、クラウドベースの手軽な管理、堅牢なセキュリティ、300ドル以下の低価格機種もあるデバイスの幅広い選択肢などから、米国のK-12 (幼稚園〜高校)市場において採用を広げている。ノートPCスタイルから始まったChromebookには、タブレットとしても使える2-in-1デバイスは存在するが、そうしたデバイスは価格が高くなる。教育市場では手頃な価格のノートPC型が採用されてきた。そうした中、教師や生徒の間から手書きが可能なタブレット型デバイスを求める声が挙がっていたという。
Tab 10は329ドルと、公立学校の予算に収まりやすい1台300ドルを超えるが、デジタルペンが付属し、また教育向けのGoogleのクラウドサービスを利用できる。Google Playには、「Google Keep」や「Squid」などデジタルペン対応のノート・アプリ、「Adobe Illustrator Draw」や「Texthelp EquatIO」「Book Creator」といったクリエイティブ・アプリなど、ラーニング向けアプリが豊富に揃っている。また、Google Expeditionsを使って、海底、南極、国際宇宙ステーションなど、実際には行けない場所をVR (仮想現実)を使って探検するバーチャルな校外学習も可能になる。
教育市場は次代のユーザーにつながる重要な市場であり、Chrome OS/AndroidのGoogle、iOSのApple、WindowsのMicrosoft、全てのプラットフォーム企業が学校のニーズに応える製品やプログラムを用意して積極的に採用を働きかけている。3月27日にはAppleが米シカゴで教育市場をテーマにしたスペシャルイベントを開催する予定で、iPadのアップデートや新しいラーニング向けプログラムが発表される可能性が報じられている。