今週一杯で2018年3月が終わる。4月には「Spring Creators Update(仮称)」と言われる機能更新プログラムが提供される予定だ。本稿を執筆している3月23日時点で、RS(Redstone)4となる予定のWindows 10 Insider Previewはビルド17127、「Skip ahead to the next Windows release」を選択したRS5はビルド17627と開発が進む。今回は"予習"として執筆時点のChangelogを紹介する。
Fluent Designの導入
エクスプローラーを含むシェル周りは、Fluent Designの導入が1つのポイントとなる。バージョン1709まではマウスオーバーしたタイルに枠線が付くだけだが、RS4はFluent Designの効果が加わり、選択した際のタイルがかすかに変化する。
具体的には濃淡や透明度を変更するAcrylic(アクリル)と、選択した要素を照明効果で強調するReveal(リビール)を使っているのだろう。Fluent Designの効果は「設定」や「アクションセンター」など各所に加わったが、面白いのはバッテリー節約モードでFluent Design効果が無効になる点。これは各種効果がCPUやGPUを利用するため、バッテリー駆動時間を延ばすために加えているのだろう。
いよいよ「タイムライン」が実装
RS4で加わる新機能の1つが、PC上の活動を収集し、同じMicrosoftアカウントやAzure ADアカウントで利用するPC間で共有する「タイムライン」だ。例えばデスクトップPCで編集していたOneDrive上のファイルを外出先で編集する際は、タイムラインを開いてタイルをタップするだけで再編集が可能になる。
使うPCが1台の場合、タイムラインは無用の長物となってしまうが、前述したようなシナリオでは有用な機能だ。ただ、ビルド17127まで使ってきたが、アプリケーションやファイルのサムネイルを表示する条件が不明確。Microsoftのデモンストレーションでは、編集中のファイルがひと目で分かる内容だったが、筆者の環境におけるサムネイルを作成しないアプリケーションはWordやExcelも含まれる。
アプリケーションがタイムラインに対応するには、UserActivitiesをコードに組み込まなければならないが、WordやExcelはすでに対応済みのはず。このあたりは今後調査した上で改めて報告したい。
作業という意味では従来の「非通知モード」を「集中モード」に変更したのも注目点の1つ。以前は指定した時間帯やプレゼンテーション中など利用環境に応じて、通知を抑止する機能だったが、よりコンセプトを先に進めて、"作業に集中する"という意味から改称に至った。
基本的な機能に変化はないものの、「優先順位のみ」「アラームのみ」と2段階の切り替えが可能。前者は特定のアプリケーションや送信者、VoIPやSMSメッセージなど指定した送信方法の通知だけを受け取り、後者はアラーム以外の通知をすべて非表示にする。
Edgeは足りなかった部分を補うような変更
Microsoft Edgeも着々と進化を続けているが、目を見張るような新機能というよりも、これまで足りなかった部分を補うような変更が多数加わっている。タブのサウンドミュートや、フリーEPUBファイルの保存やダークモードなどのサポート、住所などの自動入力や、InPrivateブラウズ時の拡張機能有効化など変更範囲は広い。
個人的にはService Workerをサポートすることで、Edgeを閉じた状態でもWebサイトの更新をバックグラウンドで受信可能になる点に注目している。バージョン1709では実験的機能にとどまるService Workerだが、RS4では標準機能に昇格するため、PWA(Progressive Web Apps)の普及も進むのではないだろうか。
この他にもHEIFファイル形式のサポートやフォントのダウンロード、ホームグループ機能の削除、Microsoft Store経由の言語パックダウンロードなど変更点は多い。RS4のリリース日は執筆時点で不明だが、一歩ずつWindows 10は使いやすくなっている。
阿久津良和(Cactus)