あなたは「貯金」と聞くと、どんなやり方を思い浮かべるだろうか? 貯金の王道といえば、収入から前もって貯蓄分を分けておく「先取り貯蓄」だが、小銭をコツコツ貯めるのも楽しいもの。
最近ではフィンテックを活用したサービスも登場しており、クレジットカードで買い物をすると、指定額との差額をおつりとして自動的に貯められる「おつり貯金アプリ」なんてハイテクなものまである。
一方、貯金箱の重みや小銭の音で達成感を味わえるアナログな貯め方も人気だ。例えば、500円玉だけを貯める「500円玉貯金」や、1~365までの数字が書かれたシートを用意し、選んだ数字の金額分のお金を貯金箱に入れる「365日貯金」などがある。
ぎゅうぎゅうのイラストをぬっていく「ぬりえ貯金」
そんな中、2017年からInstagram経由でじわじわとブームになっているのが、小銭を貯金箱に入れたらシートのイラストをひとつぬる「ぬりえ貯金」だ。
ぬりえ貯金シート作家の一人であるもぐさん(ID:mog0330)は、2016年の1月からオリジナルイラストでシートを作成し、Instagramで公開。どれもお菓子や文房具のイラストがみっちりぎゅうぎゅう描かれていて、何とも楽しげだ。これを一つ一つぬっていくのだが、カラフルなシートが完成したときにはまとまったお金が貯まっており、達成感はひとしおだろう。
「#ぬりえ貯金」で検索すると、ぬりえ貯金に挑戦してる人がぬり途中のシートを載せていたり、ユーザー同士が励まし合っている様子がうかがえる。
「サラサクリップ」のゼブラとコラボ
文房具メーカーのゼブラは、「ジェルボールペン『サラサクリップ』が、細かいイラストをムラなくキレイにぬるのにぴったり」(同社広報)ということで、ぬりえ貯金シートとコラボレーション。
365日貯金とぬりえ貯金を合体させた「365日貯金シート」と、100円玉か500円玉を貯める「200日貯金シート」の2パターン(いずれももぐさん作)を自社サイトに公開した。365日貯金シートは完成させると6万6,795円、「200日貯金シート」は100円玉なら2万円、500円玉なら10万円が貯まる。
ゼブラのオリジナルぬりえ貯金シートは、1年足らずで5万回以上のダウンロードを達成。人気ぶりを受けて、2018年2月に『貯めグセがつく! ぬりえ貯金シート』(扶桑社)が発売され、早々に重版となっているそうだ。
「カラフルな色でぬりえを埋めていきながらお金が貯まっていくので、楽しみながら長く続けられます。 また、ぬりえの途中経過を写真に撮ってSNSにアップすることで励みになります。ぬりえが完成すると 同時にお金が貯まっているので、2倍の楽しみを味わえます」(ゼブラ広報)
実際にぬりえ貯金に挑戦! 無我の境地に
3月中旬には、ゼブラが東急ハンズ新宿店でぬりえ貯金ワークショップを実施。書籍を監修した節約アドバイザーの丸山晴美さんが登場し、参加者に貯金の重要性から楽しさを紹介した。
ワークショップでは入門編として10日間で達成できるぬりえ貯金シートが配布された。参加者はまず貯金の目的を書き出し、1日に貯めたい金額を決める。
筆者は何となく中央アジアに行ってみたかったので、貯金の目的を「中央アジアに行く!!」と設定。1日の貯金額を500円とし、5,000円貯まったらそれを旅費の足しにすることにした。
目標を決めたら小銭を貯金箱に入れ、ぬりえ貯金シートの絵柄をひとつぬる。作業デスクには46色のサラサクリップが並べられており、好きな色を自由にぬることができる。
ぬりえ貯金シートはイラストがとにかくかわいいので、センスに自信がなくてもある程度見られる形になる。筆者もぬりえなんて十数年ぶりだったが、意外にもこのちまちました作業に熱中してしまい、無心に。気づいたら6カ所もぬっていた。「全部埋めたい!」という気持ちがお金を貯める原動力となるのも理解できる。
「貯金の目的は夢のため。夢は楽しみです。その夢を叶えるためのお金を貯める作業自体も楽しめるのがぬりえ貯金のいいところですね」(丸山晴美さん)
貯金は孤独な作業で、ある程度の額を手にするには継続力も必要だ。そのことにストレスを感じる人も多いだろうが、ぬりえ貯金はInstagramにあげれば仲間と励ましあえ、貯める過程もご褒美になる。今まで貯金が続いたことがない、という人はこんなやり方に挑戦してみてはいかがだろうか。