4つのトランスフォーメーションに向けたエンドツーエンドの製品の提供
平手氏は、戦略テーマとして掲げる4つのトランスフォーメーションについて説明した。同氏はDXに関して、ITそのものが競争力であることや、企業のIT予算の拡大、ソフトウェアのDNAが重要であることを前提に「クラウドネイティブなソフトウェアアーキテクチャ」「クラウドネイティブなビジネスプロセス変革とアプリケーションプラットフォーム」「分散型コアアーキテクチャ」が重要だとしている。
クラウドネイティブなソフトウェアアーキテクチャについては、アジャイルであることが求められるためアーキテクチャは最小機能単位のブロックを使い、確認・改善するマイクロサービスがベースとなる。従来のライブラリと違う点は独立稼働しているブロックのため、APIでの連携による活用が必須だという。
クラウドネイティブなビジネスプロセス変革とアプリケーションプラットフォームに関しては、同社のPivotal Labsを活用し、アプリのプラットフォームを構築する。
また、Javaや.NET、Node.jsなどで定義されているものや、オンプレミス、マルチクラウドおよびコンテナ技術との連携をはじめ、すべて網羅されている必要がある。そのため、Cloud Foundry Foundationにより開発されているOSS「Cloud Foundry」をベースに製品化したPaaSソフトウェア「Pivotal Cloud Foundry」を利用する。
そして、分散型コアアーキテクチャについては特に注力する方針を示しており、デル 最高技術責任者(CTO)の黒田晴彦氏が詳細を語った。
従来、IoTなどはエッジとクラウドの2層と捉えられていたものを、同社は3層と定義している。2層の場合、生成された大量のデータをクラウドに転送する際にレイテンシなどが課題となる。
そのため、同社ではエッジとクラウド間に分散型コアを配置することで、データ処理をクラウドよりもエッジに近い場所で行う「マシンインテリジェンス」を可能にするという。
従来のように生データをクラウドに転送するのではなく、無数のエッジと分散コアから分析された結果を転送するため、ディープラーニングで作り出した知見をエッジ側に転送することで、インテリジェンスが付加されていくというものだ。
黒田氏は「キーポイントはAI/機械学習となる。これまでは自身で要件定義、基本設計、詳細設計を経てダイヤグラム、プログラムを書くという手法だった。現在ではデータを与えて機械学習を行うが、機械学習の入門用データとして有名なMNISTは、やってみるまで結果が分からないことがある。そのためデータの加速度的な増大に対し、どの程度学習済みの仕組みが出てくるのか判別できない懸念がある」と指摘。
このような状況を踏まえ、AI(人工知能)ではデータ、研究開発では小さく何度も試すチューニングが重要となり、現在は文章、画像、ログ、ERPなどが多く取り込まれている。同氏は「データ量の増大に対して、IoTやAIを使い、会社の事業を根本的に見直す場合にはIoT/AI時代の新しいアーキテクチャが必要となる。それが分散型コアアーキテクチャだ」と、説く。
IoTやAIに対応するためには、エッジはオープン、エコシステム、運用管理、セキュリティの担保、分散型コアの要件はソフトウェアディファインド、クラウド対応、アジャイル、クラウドにおいてはスケールアウト、ハイブリッドクラウド、データレイク、HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)に対応することが重要だという。
そして、平手氏は「クラウドネイティブなアプリを構築し、データを収集した後に分析を行い、さらに機能追加などを行うサイクルを迅速に進めていくことが重要だ」と、述べた。
DCのモダナイズ、プロセス自動化、オペレーションの変革
ITトランスフォーメーションについて平手氏は「データセンター(DC)のモダナイズ(近代化)、プロセスの自動化、オペレーションのトランスフォームが必要となる」と説く。
従来型のインフラはハイブリッド型に移行していく必要があるが、同社が定義するハイブリッドクラウドは、サーバ、ストレージ、ネットワークなどを仮想化し、オンプレミスとクラウド間を無変換かつシームレスに連携することだという。
モダンDCは、すなわちモダンアーキテクチャであり、これを構築する技術的な要件としてはフラッシュ、スケールアウト、ソフトウェアディファインド、クラウド対応、信頼性が必要になると指摘。モダナイズの最短距離としてはVMwareで最適化したCI/HCIの採用に加え、自前で組み立てている顧客に対してはサーバ、ストレージ、ネットワーク、データ保護製品で補う。
プロセスの自動化では、日々複雑化していることを踏まえ、自動化の質を担保しなければ成り立たないことから、VMwareとPivotal Cloud Foundryで対応していく。そしてオペーションのトランスフォームは、自社要員の再教育とアウトソーシングの2択に対して、コンサルティングサービス、もしくはマネージドサービスを提供する。
働き方改革とセキュリティへの対応
ワークフォーストランスフォーメーションは、日本では働き方改革とも言える。昨今では働き方の変化が顕著になっていることに加え、人材の安定的な確保を図るため、自社のテクノロジーやツール、デバイスなどに注意を払うことは重要であるとの認識を平手氏は示す。
同社では、ワークスタイルとして社内移動型社員、デスク型社員、外勤型社員、在宅型社員、クリエイティブ型社員、エンジニア型社員、現場作業型社員の7つに大別している。
タイプ別にエンドデバイスのセキュリティやVDI、集中バックアップなど、新しいものがさまざま必要になる。また、柔軟なシステム構成でなければエンドユーザーのリクエストに対応が難しくなるため、遠隔アップデート・サポートなどが実装されることが望ましいことから、適材適所のデバイスを提供する。
セキュリティトランスフォーメーションに関しては、インフラにセキュリティを組み込むソリューションをクライアント/デバイス、ネットワーク、サーバ、ストレージそれぞれに提供している。また、自社独自のセキュリティオペレーションセンターを構築することをRSA、Security Operations As-A Service(サービスとしてのセキュリティオペレーション)をSecureworksが提供する。
最後に平手氏は「これら4つのトランスフォーメーションに対し、われわれはエンドツーエンドのソリューションを備えており、顧客を支援・サポートしていく」と、強調した。