「2017年は、製品、技術という点で、『これこそがアクロニス』だと誇れるものを投入できた1年だった。だが、成長はここで止まらない。2018年以降はさらなる成長を遂げる」……と、アクロニスのセルゲイ・ベロウゾフCEOは切り出す。ランサムウェアが猛威をふるうなど、データを取り巻く環境は厳しいものになっているが、今後、AIやブロックチェーンの技術を活用することで、アクロニスの製品はさらに進化する。
2018年の春以降には、Acronis Total Protectionを国内に投入し、すべてのユーザー、すべてのデバイスのデータを保護するという目標に向かって、歩みを加速する考えだ。ベロウゾフCEOに、アクロニスのこれまでの取り組みと、今後の方向性について聞いた。
―― 2017年は、アクロニスにとってどんな1年でしたか。
ベロウゾフ氏:2017年は、非常に重要な1年だったと考えています。私がアクロニスの経営を担うようになったのは2013年からで、そこから企業再建に向けた取り組みを開始しました。経営チームやエンジニアリングチームを一新し、ビジネスのやり方も一新し、そして、製品ラインアップも大きく変化させました。4年間をかけた取り組みの成果が表面化してきたのが、2017年だったといえます。
たとえば、ビジネス向け製品では、アーキテクチャーを新たにし、ユーザー体験や機能を新たなものとして市場に投入しました。ランサムウェア対策となるAcronis Active Protection(現Acronis Ransomware Protection)の提供を開始するとともに、ハイパーコンバージドストレージも提供しています。
Acronis Cloudストレージでは、バックアップだけでなく、ディザスタリカバリーとしての活用やシンク、シェアも可能になります。こうした「クラシカルビジネス」と呼ぶ事業領域は、長年、業績は横ばいで推移していたのですが、これが成長軌道へと転換し、我々が投入してきた製品に対する市場での評価も高まってきました。その点ではまずまず満足しています。
さらに、クラウドビジネスが急成長しています。長年望まれていたものを、短期間に提供できたことが評価され、顧客やパートナーからも、我々のクラウド製品やサポートに対する満足度が高まっています。
2017年の実績を振り返りますと、エンタープライズビジネスは前年比25%増となり、1500社の顧客が利用し、中堅・中小企業向けビジネスでは10%増となり、50万社が利用。サービスプロバイダービジネスは100%増の成長となり、2600社以上のサービスプロバイダーが利用しています。
日本でのビジネスも大きく成長しており、それに伴い、日本での体制を拡張し、オフィスも六本木ヒルズに移転しました。2018年は、2017年の成長をベースに、グローバルのビジネス、そして、日本でのビジネスをさらに成長させていきたいと考えています。
―― 4年前に描いた姿にはなっていますか。
ベロウゾフ氏:実際には、考えていたよりも時間はかかっていますし、まだまだやらなくてはならないことはありますが、全体的にはよくできたと考えています。技術、製品、さらに組織についても、「これこそがアクロニス」だと誇れるものができあがっていますし、市場をリードすることができるポジションにもあります。当初描いたものを達成するには、あと2年ぐらいはかかるでしょう。アクロニスは、もっと成長できると考えています。