ニコンが2017年9月に発売したフルサイズデジタル一眼レフカメラ「D850」が異例のヒットを続けています。ボディー単体の実売価格は約400,000円(税込)と高価ながら、多くの販売店では長く入荷待ちが続いて入手できない状況となりました。これほどのヒットを遂げた要因はどこにあるのでしょうか。ニコンイメージングジャパン マーケティング本部長の上村公人氏に取材しました。
D850は細く長く売るタイプのカメラだと考えていた
――発売から半年近くが経過した現在でも、D850はまだ品薄の状況が続いています。ものすごい人気ぶりに改めて驚かされました。
上村氏:まずは、購入を検討していただいた多くのみなさまに対し、大変お待たせしてしまったことをお詫びさせてください。日本のみならず、世界的に見ても強い品薄の状況になりました。しかし、昨年末からより多くの台数を出荷できるよう増産体制を整えましたので、ほどなく品薄は解消できると見込んでいます。
当初、D850は製品の魅力をしっかり伝え、丁寧に細く長く売っていくカメラだと位置づけていました。しかし、ファンのみなさんにD850の魅力をいち早く把握していただいたようで、発表直後から一気にご注文をいただくことになりました。発表してからのレスポンスは、日本が特に速かったと感じています。
FacebookなどのSNS経由で若い人にもアプローチできた
――発売開始からの販売台数はどれぐらいなのでしょうか。
上村氏:具体的な販売台数は公表していませんが、日本では当初想定していた販売計画の2倍近い売れ行きになっています。
――2倍はすごいですね。これほどのヒットになるとは予想していましたか?
上村氏:D850の発表直後の2017年8月26日と27日、東京で開催したニコンファンミーティングには想定を超える多くの方にご来場いただき、D850に対するみなさんの興味の強さはすぐに感じ取れました。ただ、暑いなか長時間お待たせする事態になってしまい、大変なご迷惑をおかけしてしまったことはお詫びしなければなりません。こんなに多くの方に来ていただけると想定できなかったことは、私にとってこの数年来で最大の失敗だと反省しています。
とはいえ、狙い通りにいった部分もあります。多くの若い方がファンミーティングにお越しいただいたのです。ニコンは2010年からTwitter、2013年からFacebook、2017年からはInstagramでの情報発信を行っており、これらのプラットフォームを積極的に活用している20~40代の若い世代の方にD850の魅力がしっかり伝わったと手応えを感じました。