3月13日、レノボ・ジャパンはグーグルのChrome OSを搭載したノートPC「Chromebook」2機種を、国内の教育市場向けに発表した。レノボとしてChromebook製品の投入は国内初になる。
その背景としてレノボは、小・中学校や高校におけるITインフラの整備の遅れを指摘する。米国では大きな成功を収めているChromebookだが、果たして日本の教育現場に普及する可能性はあるのだろうか。
学校へのITインフラの整備に遅れ、その理由とは
日本の教育現場のIT化はどうなっているのだろうか。文部科学省の基本計画によれば、3.6人に1台のPCが普及しているはずが、現実には5.9人に1台にとどまっているという。理想的には1人1台の普及が望ましいことは言うまでもないが、それを大きく下回っているのが現状だ。
その背景には予算の不足、教員のICTスキルの低さ、多忙な教員によるメンテナンスの困難さがあるとレノボは指摘する。そこでレノボが国内に向けて初めて投入するのが、Chrome OSを搭載したChromebookだ。
Chromebookは米国での普及が知られている。米FutureSourceの調査では小・中学校、高校を含む「K-12」市場において、2017年にChromebookは60%近いシェアがあり、Windowsの約25%を大きく上回っている。
一方、日本では学校向けの電子教材にWindows用が多く、現場の教員もPowerPointなどを駆使して教材を作り込むなど、Windowsに依存してきた。だが文部科学省は「クラウド活用」の指針を打ち出しており、レノボとしてもChromebookを投入する好機と判断したという。
具体的にクラウド活用とは、学校内へのサーバーの設置やPCへのソフトウェアのインストールをやめ、クラウドを利用しようという動きだ。たとえばグーグルが提供する「G Suite」は企業での採用が進んでいるが、教育機関向けにも提供されている。
クラウドの活用を前提とすることで、Chromebookでは管理や運用を含めたトータルのコストを下げられるという。本体に余計なソフトウェアを入れないため、高いスペックを要求せず、セキュリティにも優れている。IT機器の管理に手間をかけられない教育現場には、打って付けのプラットフォームといえる。