言わずと知れた国民的マンガ誌「週刊少年ジャンプ」(集英社)。同誌は1968(昭和43)年に創刊され、今年でなんと50周年を迎えるという。これを記念して全3期にわたり開催される企画展の第2弾、「創刊50周年記念 週刊少年ジャンプ展VOL.2 -1990年代、発行部数653万部の衝撃-」が、六本木ヒルズ森アーツセンターギャラリー(東京都港区)にて19日に開幕する。ひと足お先に体感した、その衝撃をお届けしよう。
貴重な原画たちは絶対生で見るべき!!
同展の第1弾では、創刊から1980年代にかけて連載された作品がフィーチャーされたが、今回は1990年代の作品がメインとなる。会場には、今なお読み継がれている47作品の貴重な原画が常時約300点も展示され、前後期で入れ替える展示物を含めると、約400点以上にも及ぶ原画を見ることができるのだ。
原画展示以外にも、同展のために編集されたスペシャルな映像や、さまざまな立体造形も多数登場。会場内の各所に設置されたモニターから流れてくるアニメの映像やそのテーマソングには、思わずノスタルジックな気分にさせられる人も多いに違いない。はっきり言って筆者は泣きかけた。
来場者を出迎えるオープニングシアターでは、1990年代のジャンプワールドを盛り上げた人気キャラクターたちが次々にスクリーンへ映し出される。最後には『DRAGON BALL』での悟空とフリーザの激闘シーンが流れ、その後に続く同作の展示スペースへの期待を53万倍に高めてくれる。
『DRAGON BALL』ゾーンには、鳥山明先生による珠玉の肉筆原画がズラリ。ベジータ編やフリーザ編などが時系列順に展示されており、当時の興奮が鮮明に蘇る。その後目に飛び込んでくるのは、見覚えのあるあの派出所だ。
クラフト感のある『こちら葛飾区亀有公園前派出所』ゾーンに近付くと、稀代の名曲『葛飾ラプソディー』が聴こえてくる。まだ入場してから10分と経っていないにも関わらず、花粉症という言い訳が通用しないレベルの涙目になりかけてしまう。大原部長の目を盗み派出所から抜け出した両さんは、後ほど現れる「Jump Time Cruising」コーナーにてナビゲーターとして登場する。
お次は『ジョジョの奇妙な冒険』ゾーン。展示の内容は、3~5部が中心となっている。スタンドが光をまとった演出のインパクトもさることながら、カラー原画の美しさはもはや芸術の領域。我々はこの原画に出逢うために1万数千年もさまよってたのかもしれぬ(2部・ワムウのセリフより)。
その後も『まじかる☆タルるートくん』や『花の慶次-雲のかなたに-』、『究極!! 変態仮面』など、懐かしの名作ラッシュが畳みかけてくる。
『DRAGON QUEST-ダイの大冒険-』からの『幽☆遊☆白書』、『ろくでなしBLUES』と、数々の必殺技を伝授してくれた作品たちも姿を現す。これらのマンガを読んでいなければケンカの戦績も大きく変わっていたことだろう。
スポーツに興味がない人でも楽しめるスポーツマンガ、『ROOKIES』と『SLAM DUNK』が満を持して登場。筆者も部活動を選択する際には、これらの作品から非常に大きな影響を受けた。髪形や制服の着こなし、靴のチョイスや言葉遣いに至るまで、ついつい真似したくなる個性を持った魅力的なキャラクターの面々は、今でも通用するカッコよさをまとっている。
漫☆画太郎先生による『珍遊記-太郎とゆかいな仲間たち-』、『まんゆうき~ばばあと あわれな げぼくたち~』の2作品は、参考展示として当時の「週刊少年ジャンプ」の切り抜きが飾られていた。なんと、画太郎先生が原画を紛失したというのだ。真偽のほどはさておき、そのぶれないスタンスはさすがのひと言。一生ついていくことを心に決めた。
展示が全体の中盤に差し掛かったところで、「ジャンプレコードゾーン」が現れる。このスペースの中央に設置されているのは、同誌の最大発行部数653万部を記録した1995年3・4合併号の表紙を使用した「Jump Tornade」。これまで積み上げてきた同誌の歴史や、空前絶後の部数に至る勢いを表現した巨大オブジェだ。周囲には、ジャンプが歩んできた軌跡をデータで見る展示物や、『こち亀』の両さんをナビゲーターに当時の流行を振り返るコーナーなども設けられている。
ここからも、展示の勢いはまだまだとどまる所を知らない。『地獄先生ぬ~べ~』や『るろうに剣心-明治剣客浪漫譚』、『遊☆戯☆王』に、『セクシーコマンドー外伝 すごいよ!! マサルさん』、『電影少女』など、世紀末感MAXな構成が続く。
ラストを飾るのは、2000年代の「週刊少年ジャンプ」を担う作家たちが若き日に描いた作品たち。現在、押しも押されぬ人気を誇るあの作家たちが手がけた、初連載作品や初掲載読切などの原画を見ることができる。次回のVOL.3は、2000年代以降の作品が主役。早くもその開催が待ちきれなくなる、素晴らしい着地だ。