手のひらがサイフに! 複数の生体認証で右手にチャージ
「もうレジ待ちなんてあり得ない」というテーマでは、さまざまな決済ソリューションを展示していた。
まず、IDレス生体認証技術の「顔認証」と「手のひら静脈認証」を組み合わせたソリューションの参考出展をのぞいてみた。ここで実施されていたデモは、なんと、手のひらを電子マネーのように使うことができるというもの。手のひらをかざすだけで決済が完了するというのだ。暗証番号と組み合わせた手のひら静脈認証は、大垣共立銀行のATMなどで実用化されているが、今回の展示では暗証番号の入力すら不要だという。
現状、手のひら静脈認証だけでは、認証精度の観点から大規模な集団から個人を特定することが難しい。そこで、複数の認証を組み合わせることで、ある程度母集団の絞り込みをかけてから、静脈認証で本人を特定するのが一般的だ。今回のシステムでは、端末操作時などに顔認証による絞り込みを行うため、利用者が実際に行う作業としては手のひらをかざすだけ。ID入力などの手間を省くことで、手軽に認証できるというわけだ。
この組み合わせであれば、30万人規模の集団まで認証を行うことが可能だという。さらにほかの認証と組み合わせれば、いつの日か日本全国規模まで対象が広がり、ゆくゆくはプリペイド式だけではなく、手のひらをかざすだけで口座から直接引き落とすといった決済が可能になるかもしれない。
立ち止まらずに3秒で会計できるペイメントゲート
生体認証と同じエリアに展示されていた「ゲート型チェックアウトシステム」は、RFIDタグを活用することで、買い物かごに商品を入れたまま、ゲートを通るだけで精算できるというレジシステム。ゲートに入ると商品に貼り付けられたタグの情報を一瞬で読み取り、購入アイテム一覧をディスプレイに表示。内容に間違いなければ清算ボタンをタッチする。さらに、ゲートには手のひら静脈の認証システムが搭載されているため、読み取り位置に手をかざすだけで決済まで行うことができる。
決済が完了したらゲートが開くので、そのまま外へ出ていくわけだが、ゲートへ移動を始めてから商品を読み取り、決済が完了するまでおよそ3秒。まさに流れるような買い物を実現する次世代のゲートといえよう。
店舗状況を細かくチェックする"頼れる相棒"
「人に溶け込む頼れる相棒」をテーマにしたスペースでは、新型MATEY(仮称)が商品棚のチェックをしていた。
MATEYは自律型の店舗ロボットで、商品陳列の状態を棚画像として定期的に読み取り、POSデータや棚割りデータなどと組み合わせて分析。個々の店舗にあったレイアウトや品出しのタイミングを提案してくれる。陳列の乱れや品切れ、来店客の滞留、属性などを取得することも可能だ。
また、画像認識でPOPに書かれている金額を理解してレジを通過する商品の金額情報と一致しているか判断したり、イベントが過ぎたあとに対象商品が残っていないか確認したりすることもできるという。
ちなみに、昨年公開されていた旧型のMATEYは細長い円錐台の形をしており、サイズが大きく圧迫感もあったが、新型のフォルムは非常にスマート。前面に表示される表情(目)も変わるので、なんだか親近感も沸きそうだ。