一方で、DataRobotを導入している大阪ガスの事例を紹介した。
データサイエンティスト・オブ・ザ・ イヤーの初代受賞者である大阪ガス 情報通信部 ビジネスアナリシスセンター所長の河本薫氏は、「2016年にDataRobotに出会ってから導入を即決した。その理由は、ユーザーインターフェースが優れており、マニュアルがなくても利用できるという点。予測精度を究極まであげることができ、不必要に高度な分析手法や大量データを使うことを避けることもできる。また、ボタンひとつで実行できるため、コーディングなどの手間がなく、とりあえずやってみようということができる。データ分析の機会損失がなくなるともいえる」としたほか、「これによって、データサイエンティストの仕事がなくなるのでなく、より高度な仕事に取り組むことができ、むしろ忙しくなるだろう」とした。
大阪ガスでは、製造設備や供給設備のほか、工場に設置している機器や消費者が所有するエネファームなどの家庭用機器などから収集するデータをもとに、異常検知や故障診断、故障予知、異常監視を行っており、そこに、DataRobotを活用している。
「その機器の故障予測が60%の的中率では、予測する理由を明確にしないと現場は動いてくれない。だが、80%の的中率であれば、理由がなくても動いてくれる。DataRobotでは、トップレベルのデータ分析者のノウハウを活用して、シンプルな手法で、説明が容易になるのが特徴である。分析結果に対する理由を説明しやすく、現場に説明責任を果たせる。これによって、機械学習が導入しやすくなった」とした。
また、大阪ガスでは、マーケティング領域や新たなサービスの提供にもDataRobotを活用しているという。
大阪ガスでは、2017年4月から、燃料電池のエネファームをネットワークに接続したのに続き、2017年10月からは、ガス給湯器「エコジョーズ」もネットワークに接続した。
「これによって、遠隔地からの操作が可能になるほか、入浴すると、水位が上昇したことを感知し、入浴時間が長い場合には家族に知らせたり、脱衣所がヒートショックを起こす温度状況ではないかということもわかる。また、水位の変化から、身体の体積がわかり、さらに体脂肪率を計測することができる」とし、「新たなサービスを創出したり、新たな価値を探るという場合にも、とりあえずやってみようということができる」などとした。