アサインはビジネスシーンで非常によく使われる言葉。意味を知らないままでいると指示を理解できず、業務に支障をきたすこともあるでしょう。
言われてから意味を調べるのではなく、あらかじめ知っておくと「今度うちの部署に新人が2人アサインされるから、いろいろと教えてやってと課長に言われたけど、アサインされるってどういうこと?」というように焦ることもありません。
そこで本稿では、カタカナビジネス用語「アサイン」の意味や使い方について解説していきます。また、業界別のアサインの意味や、ジョインやアサインメントとの違いについても紹介します。
アサインとは「任命する」「あてがう」を意味する
アサインとは「任命する」「あてがう」「割り当てる」といった意味を持つ言葉で、英語のassignからきたカタカナ用語です。
日本においても多くの企業で日常的に使われるビジネス用語なので、社会人なら必ず覚えておきたい言葉のうちの一つと言えます。
アサインの使い方・例文
最も一般的な使い方が「アサインする」「アサインした」という表現です。主にビジネスシーンで「仕事を割り当てる」や「役職に任命する」「配属する」という意味で用いられます。アサインするのは基本的に上席の人になります。そのため上司に対しては「上司をアサインした」という表現は利用しないほうが無難です。
「割り当てる」という意味
- 私の後任には、きみをアサインするよう部長に打診しておいたから。
- 客室がアサインされた
- 仕事をアサインする
「配属する」という意味
- このたび、営業部にアサインされた○○です。
- 新規事業チームにアサインされた
「任命する」という意味
- 彼を新しいリーダーにアサインします。
- 新規プロジェクトに開発室から3名アサインしましょう。
他に「割り当て」や「任命」といった意味合いの使い方もあります。
「割り当て」や「任命」という意味
- アサインを見直した方が良いのでは?
- このアサインメントは適切ですか?
「承諾・了承」という意味
アサインは、「承諾」「了承」といった意味で用いられるケースもあります。特に業務委託の場面で使用されます。
- A:弊社の取り引き条件はこちらです。いかがでしょうか。
- B:アサインします。よろしくお願い致します。
業界ごとに異なるアサインの意味
一般的なビジネスシーンでは、主に「割り当てる」「任命する」という意味でしたが、業界によっては、特定の意味で使われているケースがあります。
- 今年度から新規事業のプロジェクトチームにアサインされた。
- 今回のプロジェクトには、田中さんをアサインしたらどうでしょうか。
- このたび営業本部長にアサインされました、渡辺と申します。
- こちらの案件は、私にアサインしていただけないでしょうか。
IT業界
IT業界では、アサインを「仕事を割り当てる」「役職に任命する」といった一般的なビジネスシーンにおける使い方と合わせて、業界特有の専門用語としても使っている点が特徴的です。 例えば、キーボードのキーに特定の機能を割り当てるという意味で、「キーアサイン」という言葉を使います。
代表的な例を挙げると、「Ctrl キー」+「C」にはコピー機能が、「Ctrl キー」+「X」には切り取り機能が、「Ctrl キー」+「V」には貼り付け機能がそれぞれ配置されています。
いちいちマウスに持ちかえる手間が省けるキーアサインは、デスクワークに従事する人にとって大変便利な機能と言えます。自分好みにカスタマイズして、効率アップに役立ててみてはいかがでしょうか。
- キーボードに好みの機能をアサインすれば、効率が上がりますよ。
- F3に印刷機能をアサインしておきました。
ホテル業界・旅行業界
ホテル業界や旅行業界では、お客様に部屋や座席(シート)を割り当てることをアサインといいます。客室を割り当てることを「ルームアサイン」、飛行機の座席を割り当てることを「シートアサイン」といいます。
- 赤ちゃん連れのお客様を、一番前のシートにアサインしましょう。
- エコノミークラスを予約しましたが、ビジネスクラスの座席にアサインされました。
- 海側の部屋をアサインしてほしいとのことです。
- あちらのお客様に、最上階の部屋をアサインしてください。
転職業界
転職業界では、アサインを「採用」や「選出」という意味で使います。人事部や、転職エージェント・派遣会社などとやりとりする機会がある方は覚えておきましょう。
- プロジェクトマネージャーの経験を持つ人材をアサインしてください
- 新商品開発部に2名ほどアサインする予定です
このほか、教育関連では「課題」のことを意味し、特に、アメリカの大学でアサインメントと言えば「宿題」のことを指すそうです。また、法律関連では「譲渡」という意味で用いられます。
アサインの類語・対義語
類語
アサインは比較的多くの類語を持っている一方で、それぞれ微妙にニュアンスが異なるため、正しく使い分けることが重要です。 類語の例としては、「抜擢する」「選定する」「予約する」「あてがう」「配属する」などがあります。
対義語
アサインの反対語は、「解雇」や「異動」、任命・配属の「取り下げ」といった日本語に置き換えることができるほか、カタカナビジネス用語の「リリース【release】」もアサインの対義語にあたります。
リリースには、「離す」「解放する」という意味があり、プロジェクトやチームを抜けて離れる場合や、クビになったと言いづらい場合に、ぼかして「リリースされてしまった」などと表現します。
アサインと類似用語
ジョインとの違い
アサインは任命する、割り当てるのように、上席から任命されるものなので受動的な意味合いになります。 それに対して、ジョインは仕事やその仕組みに自分自身から能動的な意味合いになるなど、受動的と能動的の違いがあります。
アサインメントとの違い
アサインと同様の言葉にアサインメント(assignment)があります。アサイン(assign)の名詞形になり、「割り当て」「課題」「業務」といった意味を持ちます。
アサインするという表現は動詞+動詞となるため、英語の文法としては不自然であり、正しくは「アサインメントする」になります。 ただし、実際のビジネスシーンでは「アサインする」と省略して使われることが多いという点も覚えておきましょう。
アサイン(assign)を使った英語表現
英語では、【assign + 人+ 仕事】あるいは【assign + 仕事 + to + 人】という文法で、「仕事を人に割り当てる」という表現が可能です。
I assign him to a new leader.
彼を新しいリーダーに任命します。
I assign the reception work to you.
受付業務をあなたに割り当てます。
I was assigned to the sales division.
私は営業部に配属された。
He was assigned to the New York branch.
彼はニューヨーク支店へ配属されました。
Please assign a room on the top floor to those customers.
あちらのお客様に、最上階の部屋を割り当ててください。
I want to assign a room on the sea side.
海側の部屋にしてほしいです。
アサインを使う際の注意点
最後に、アサインという言葉を使う際の注意点をご紹介します。
使う相手に気を付ける
アサインはビジネスシーンでよく使われる言葉ですが、新社会人にとってはあまり馴染みのない言葉です。入社したての新人に対して、いきなりアサインという言葉を使って何か指示を出すのは避けた方がいいでしょう。
意味がよくわからなくてもその場で聞き返しづらいと感じる新人もいます。業務をスムーズに進めるためにも、使う相手を選ぶよう心掛けてみてください。
日本語に言い換える
新人だけでなく、学生や年配の方などビジネス用語に触れる機会が少ない相手に対してアサインという言葉を使う必要がある場合は、なるべく日本語に置き換えましょう。
「任命する」「あてがう」「割り当てる」「配属する」など、さまざまな言い換えができるので、シーンにあわせて適切な表現を使い分けてみてください。
アサインの意味を覚えてビジネスに役立てよう
ビジネスシーンでよく使われる「アサイン」の意味や使い方をご紹介しました。
近年では当たり前のように使われるビジネス用語となっているので、意味を知らなかったという方はこれを機にしっかりと覚えておきましょう。また、業界によっては異なる意味で使う場合もあるので、IT業界、ホテル業界・旅行業界、転職業界に勤める方やこれらの業界の人たちと接する機会がある方は、業界別の使い方についても覚えてみてください。
アサインの意味を正しく意味を理解して、ぜひビジネスシーンに役立てましょう。