最新のガジェット、さらに大容量、高速になるネットワーク――。スペイン・バルセロナで開催された「Mobile World Congress 2018」は、5Gの商用化を目前に楽観的な空気に包まれていました。ですが、モバイルが便利にしてくれるデジタルライフを安心して楽しむには「セキュリティに注意して」と警告を出していたのがMcAfeeです。

  • Alexaスキルの提供により、Alexaに話しかけてデバイスをスキャンすることができます

スマホは意外と危険なデバイス

モバイルを狙うマルウェアは増えています。McAfeeがMWC会期中に発表した「Mobile Threat Report」によると、2017年第3四半期に250万件以上の新しいマルウェアのサンプルを確認したとのこと。これは1年前の200万から増加しています。感染した端末の数は160万、これは1年前のほぼ2倍とのことです。単にマルウェアの数が増えただけでなく、攻撃の内容も「プレミアムSMSからランサムウェア、標的型などに変わってきている」とMcAfeeでチーフコンシューマ・セキュリティ・エヴァンジェリストのGary Davis氏は言います。

チーフサイエンティストのRaj Samani氏も、「スマートフォンにはユーザー名とパスワードがあり、ユーザーはこれを利用してオンラインバンキングしたり、ショッピングしたりしている。位置情報もあり、場所へのコンタクトもある。誰と話したか、何を話したかを攻撃者は理解できる。だがユーザーは通話できる端末としか思っていない」と付け加えます。

セキュリティのトレンドとして、仮想通貨マイニングに関連した攻撃があります。ユーザーの端末に入り込んで知らぬ間にマイニングを行うもので、マイニングで得られた利益はもちろん犯罪者のものになります。ユーザーが気がつかないことが多いことから「要注意」とDavis氏。少し前まで感染するとすぐにわかるランサムウェアが流行したのに対し、「ひっそり潜伏してマイニングするなど、ユーザーから気づかれない方法にシフトしている」とのことです。

「Alexa、デバイスをスキャンして」

このように脅威は高度化していますが、McAfeeのアプローチは保護する技術を開発して提供すること。それだけではなく、提携戦略、容易さやシンプルさがキーワードとなります。

容易さやシンプルさでは、MWCでWiFiルーター向けのセキュリティ製品「McAfee Secure Home Platform」でAmazonのAlexaスキルを提供することを発表しました。これにより、「Alexa、デバイスをスキャンして」「Alexa、子供のインターネットアクセスをオフにして」などと話しかけることでセキュリティ管理や制御ができるようになります。

Samani氏は「セキュリティの課題の1つが『管理』。様々な端末がインターネットに接続しており、ユーザーにとってますます複雑になっている。Alexaスキルはこれをシンプルにする」と意図を説明します。

McAfee Secure Home PlatformはOEMがWi-Fiルーターに搭載して出荷するという形態をとっており、D-Link、ARRISなどから登場しています。サーモスタットなど家庭向けのIoTが進んでおり需要が高い北米などの市場で提供されており、日本では未発売。日本でもAmazonやGoogleのAIスピーカーが発売されており、今後ホームIoTが充実してくると登場するかもしれません。

  • Secure Homeを搭載したARRIS。北米などで発売されています

  • Alexaにデバイススキャンしてと指示すると、ネットワークにつながっている端末をスキャンしてくれました

「サイバーセキュリティはコンピューターの問題と思われがちだが、そうではない。経済、雇用、ヘルスケアにインパクトを与える」とSamani氏、「サイバー犯罪がグローバル経済に及ぼす損失は控えめに見て年間6,000億ドル」とのことです。Davis氏も「世界全体で安全性にフォーカスしなければならない」と言います。

無料Wi-Fiをセキュアに使えるVPNサービス

MWC 2018のMcAfeeブースでは、Secure Home Platformのほか、PC、タブレット、スマートフォン(iOS、Android)で利用できるVPNサービス「McAfee Safe Connect」、子供のモバイル端末を管理できるペアレンタルコントロール「Safe Family」も展示していました。

無料でWi-Fiが使えるWi-Fiアクセスポイントは、カフェや商業施設、交通機関などあちこちにあり便利ですが、世界ではその2割以上が暗号化されておらず、悪意あるハッカーが簡単に傍受できる状態にあるそうです。Wi-Fi接続したタブレットで、オンラインバンキングにログイン(ユーザー名とパスワードを入力)すると、ハッカー側にはユーザー名はもちろんパスワードも丸見えになる恐れがあるといいます。

  • ユーザー名「Yoko」、パスワード「sueoka」 でログインしてみたところ、ハッカー側のコンピューターにusrname=Yoko、password=sueokaと表示されました

McAfeeのVPNサービス「McAfee Safe Connect」を使ったところ、Wi-Fiがジャックされていてもハッカー側のコンピューターには「no log found」と表示され、IPアドレスやユーザー名、パスワードなどは非表示となりました。Safe Connectは日本でも有料(毎月900円または年5,400円)で提供されています(7日間の無料トライアルあり)。

Safe Familyは、ペアレンタルコントロール。親はPCやスマートフォンで子供の端末を管理できます。設定、ルール変更などが容易にできるよう使いやすさに配慮しているとのこと。こちらも月額550円で国内提供されています。

  • 親のデバイスで、子供のデバイス上のアプリとWebの活動、位置情報などを管理できます。どんなアプリをインストールしているのか、どんなサイトをブラウジングしているのかなどがすぐにわかります

  • Angry Birdsをやりたいと思った子供が、親に「Can I Play(ゲームしてもいい?)」とメッセージ、親は拒否か許可か、許可の場合は15分/30分/60分/無制限から選択できます。親子が近くにいなくても安心です

  • ジオフェンシングを使って、子供の端末が特定の地域から出ると親側にアラートを出すなどの設定もできます