小田急電鉄は東京都と進めてきた「小田急小田原線(代々木上原駅~梅ヶ丘駅間)連続立体交差事業および複々線化事業」において、2日深夜に複々線への切替工事を行い、3日から複々線での営業運転を開始した。下北沢駅で複々線開通式も行われた。
「小田急小田原線(代々木上原駅~梅ヶ丘駅間)連続立体交差事業および複々線化事業」では、東京都を事業主体とする連続立体交差事業、小田急電鉄を事業主体とする複々線化事業が一体的に進められてきた。代々木上原~梅ヶ丘間は2013年3月に地下化され、その後は複々線化に向けた緩行線トンネル工事や各駅の本設駅舎工事などを実施。ダイヤ改正に先立ち、3月2日の終電後に複々線への切替工事が行われることになった。
梅ヶ丘駅で複々線切替工事の報道公開も行われた。下り終電の発車後、1時10分頃から工事を開始。下り緩行線のレール切断と軌道移設、2番線ホームに設置されていた信号機の撤去作業など、約2時間かけて切替工事が進められた。事業区間の他の駅でも工事が行われ、東北沢駅では仮設ホームを撤去。世田谷代田駅も仮設ホームを廃止し、新設のホームを使用開始している。
下北沢駅では、すでに使用されている地下2階の1・2番線ホームに加え、地下1階に3・4番線ホームが新設された。複々線開通式は下北沢駅の地下1階ホームにて、同駅4時55分発の上り初電(各駅停車新宿行)に合わせて開催。小田急電鉄取締役社長の星野晃司氏、同社取締役会長の山木利満氏らが登壇してテープカットを行い、成城学園前管区長の出発指示合図とともに上り初電が下北沢駅を発車した。
開通式の後、取材に応じた星野氏は、「(狛江地区の工事着手から)30年かかった大工事が今日やっと完成し、感無量です。これからが新しい小田急のスタート。社員一丸となり、日本一暮らしやすい沿線をめざし、頑張っていきます」「いままでの小田急線は『混んでいて遅い』と言われたこともありました。複々線の完成をもって『安全・安心・安定』という基盤に『快適でスピーディ』を加え、お客様に喜んでいただける、選んでいただける沿線をめざします」とコメント。完成までに困難もあったとのことだが、「輸送需要が伸びる中、『複々線しかない』という強い思い、大きな決断が当時あったと思います。国や東京都の後押しや協力もあり、今日に至りました。小田急のOBも含め、大勢の思いや努力が詰まっています。今日も大規模な切替作業でしたので、本当にほっとしています」と話していた。
この日は登戸駅でも駅構内の4線化工事が完成し、新たに1番線ホーム(下り)の使用を開始している。これにより、代々木上原駅から登戸駅まで複々線での運行が可能となった。小田急電鉄はこの複々線を活用したダイヤ改正を3月17日に実施し、ラッシュ時間帯における混雑緩和や所要時間短縮など抜本的な輸送改善を図るとしている。
下北沢駅ではダイヤ改正前日の3月16日まで、地下1階ホームを各駅停車用、地下2階ホームを快速急行・急行などの優等列車用として使用する。3月17日以降、地下1階の4番線ホームには千代田線直通の上り急行・準急・各駅停車(平日朝方は千代田線直通の通勤準急)と新宿行の上り各駅停車、3番線ホームには下り準急・各駅停車が停車。地下2階の2番線ホームには新宿行の上り快速急行・急行(平日朝方は通勤急行)、1番線ホームには下り快速急行・急行が停車するとのことだった。