個性差が大きく、絶対的な解決策はないと言われるイヤイヤ期の対処法だが、できれば親子で毎日気分良く生活したいもの。"魔の2歳児"とも言われるイヤイヤ期を楽しく乗り切るためのコツを、イヤイヤ期専門家として活躍する西村史子先生に教えてもらった。
子どもにも親にも分かりやすいルールづくり
「イヤイヤ期には、アレもコレもと子どもの行動に制限をかけすぎるとイヤイヤが大きくなってしまうので、逆にやりたいことはやらせてあげるとうまくいく場合が多いです」と西村先生。この時期は絶対に守るべき事柄を決め、それ以外は多少のいたずらにも目をつぶるという姿勢の方が、親子ともにストレスがかかりにくいそうだ。
具体的には「命に関わること」「他人に迷惑をかけること」「家族で決めたルール」以外は何でもやってOKと決めて、子どもにもそう伝える。家族のルールはパパ・ママの価値観によって各家庭のカラーが出るだろうが、うまくいくコツは「NG事項を多くしすぎないこと」だそう。
やって良いこと、悪いことが分かりやすく、子どもにとって有効なのはもちろん、親も毎回「これは怒って良かったのかな……」と後悔したり、気落ちしたりせずに済むという効果もある。場当たり的な対応では、子どもも親を見透かしたり、混乱したりもする。ルール以外は何をやっても良いが、逆に決めたルールは必ずいつ何時でも守ることを徹底しよう。
目線を変えれば、イヤイヤも楽しめる?!
あれもイヤ、これもイヤという毎日は大変だが、少し見方を変えることで気分が和らぎ、笑顔になれることも。以下、西村先生オススメの5つの方法をご紹介。
1.「イヤコレ」で記念に残す
「イヤイヤ期コレクション」を略して「イヤコレ」。路上に寝転がるなどのイヤイヤ行動を写真に収め、コレクションするというもの。実際に行っているママたちからは「写真に撮ることで子どもを客観視でき、イライラせずに子どもの気持ちが落ち着くのを待てるようになった」との声が多い。SNSでシェアすることで「我が家もこうだった」との共感が得られ、「自分だけじゃない」とママの気持ちが紛れ、落ち着く効果もあるようだ。
筆者はイヤイヤ期が落ち着いた子どもに「こんなことしてたんだよ」と写真を見せたところ、子どもが大笑いしていた。イヤイヤ期はいつか終わり、良くも悪くも戻ってこない。困った癇癪も「記念に残せる!」と思えると、心に余裕が生まれそう。
2.一過性であることを理解する
イヤイヤ期の子育てが終わったママが「ふと気付いたら、イヤイヤがなくなっていた」と話すのを耳にしたことがあるかもしれない。「イヤイヤにはブーム性があって、個人差はあるものの、いつかは必ずなくなります。一過性のものだと理解しておくことが、親の心理状態においてもとても大切です」と西村先生。
例えば、毎日玄関で靴を履いて出かけるまでに「自分で履く」「履きたくない」「こっちの靴がいい」など、何十分も時間がかかっていたものが、感情の抑止力を学んだり、手先が器用になって自分でできるようになったり、この方法ではママの愛情をもらえないと理解したりすることで、徐々にその時間が減ってゆく。
イヤイヤがなくなる理由は複合的なので、「これが理由でイヤイヤが終わった」という解決策は得られないながらも、ママたちが気付くと落ち着いているという場合が多い。
3.「ママ休日」を設ける
イヤイヤ期は長く、子どもと多くの時間を過ごすママはストレスや疲労が溜まりがち。「ママは毎日24時間子どもと一緒にいなければならないと思い込む必要はないんです」と西村先生。
「親族や保育施設などに預けられる人はそれが一番ですが、私自身はそういう環境にありません。でも、時には『今日は、ママもお休みするね』と大々的に宣言し、おもちゃや食べ物を用意して、ある程度子どもの自主性に任せて、自分も自分の時間を取っています。ただ、子どもには必ず『今日は特別ね』と必ず言って聞かせますが」と自身の経験も踏まえ話す。
4.気分転換のアイテムを準備する
「子育てでイライラしても、自分の心がフラットな状態に戻れる、気分転換のアイテムをひとつ見つけておくことがオススメです」と西村先生。日記を書くのが好きな人は携帯にでもいいから日記を書く、お風呂が好きな人ならいろいろな入浴剤を揃える、スイーツ好きならお取り寄せをしてみるなど。
筆者も授乳中に片手で小説を読んでいた。現実とは離れた世界をつかの間でも味わうことで気分をリフレッシュでき、授乳の時間が待ち遠しくさえなったことを覚えている。ママがストレスを溜めないことも、イヤイヤ期を乗り切る重要なポイント。
5.「誰でも必ず振り回される!」と割り切る
「全身全霊で『イヤだー!』と発する子どものパワーは強烈で、どんな親でも例外なく振り回されるもの。イヤイヤ期専門家の私でも、我が子のイヤイヤには振り回されました」と西村先生。
イヤイヤに対して感情的になったり、大声を上げてしまったりしても、「みんなと同じように、私も振り回されてしまったんだな」と思って、必要以上に落ち込まないこと。そして、もし仮に怒りすぎたと思ったら、素直に子どもにそれを伝えることが大切だという。
渦中のママにとっては永遠と思えるイヤイヤ期も、子どもの成長と共にいつかは必ず終わるもの。振り返ると大変だった分、思い出がギュッと詰まった時期でもある。周りに頼ったり、気分を紛らわせたりしながら、親も子も気分良く毎日を乗り切ろう。
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