ANAは2018平昌冬季五輪でフィギュアスケート男子2連覇を達成した羽生結弦選手(ANA)の偉業を祝し、2月27日、ANA本社にて祝勝会を実施した。羽生選手は「ただいま」という言葉とともに、ANAのひとりとして感じる「当たり前の成功」の重み・大切さを語った。

  • ANAの社員と一緒に羽生結弦選手の偉業を祝福

    ANAの社員と一緒に羽生結弦選手の偉業を祝福

ANA社員の"願掛け"タオルも

日本勢は平昌冬季五輪にて、1998長野冬季五輪の10個を上回る史上最多となる13個のメダル(金4、銀5、銅4)を獲得した。その中で、フィギュアスケート男子の五輪連覇は66年ぶり、通算4人目という偉業となった。

羽生選手がANAと所属契約を提携したのは2013年7月のこと。その後、CM出演や広告露出、キャンペーン等への協力をしている。その羽生選手を祝勝会の会場に迎え、まず「ものすごく今、緊張しています」という言葉とともに、ANA代表取締役社長の平子裕志氏から羽生選手へお祝いが贈られた。

  • ANA代表取締役社長の平子裕志氏から羽生選手へ

    ANA代表取締役社長の平子裕志氏から羽生選手へ

「羽生結弦さんの名字には"羽"という字があり、そして、飛行機にも"羽"という字があります。今、羽生さんとANAのご縁をこれほど強く感じたことはありません。羽生結弦さん、この度の平昌オリンピックの金メダル、そして大会2連覇、本当におめでとうございました」(平子氏)。

  • 平子氏からの祝辞に照れ笑いと万遍の笑みで応える

    平子氏からの祝辞に照れ笑いと万遍の笑みで応える

羽生選手は2017年11月に右足首を負傷し、その復活をかけた大勝負が今回の平昌冬季五輪だった。平子氏からは「本当に素晴らしいカムバックだったと思います」という言葉がかけられたが、それ以上に、演技後に羽生選手が見せた、自分の足に感謝し、リンクの氷に感謝し、周りの人々にも感謝するという、感謝の気持ちを忘れない姿に感銘を受けたと語り、「弱冠23歳ですが、素晴らしい青年です。本当に頭が下がる思いです」と述べた。

  • 「本当に頭が下がる思いです」という言葉に対し、逆に頭を下げる羽生選手

    「本当に頭が下がる思いです」という言葉に対し、逆に頭を下げる羽生選手

ANAは大会中も、ANA本社と羽田空港でパブリックビューイングでの応援を実施。その際、ANAグループの社員に募集をかけたところ、あまりに多くの応募があったため、抽選をして実施したという。今回の祝勝会にも社員60人が集まっていたが、この参加にも抽選が必要になるほど、希望者が殺到したという。

  • 祝勝会には、応援にも使用した「FLY YUZU」タオルを持参。また、ANAグループの有志による演奏も

社員が手にしていた特製のタオルは、応援時にも使用したもの。タオルには「FLY YUZU」と記されており、元々は前回の2014ソチ冬季五輪の際にデザインしたものだ。今回の参加者の中には、4年前に応援で使用したタオルを持参している人もいたようで、羽生選手の2連覇には、こうしたANA社員の"願掛け"もひとつの力になっていたのかもしれない。

当たり前のような成功の難しさ

平子氏からの祝辞と社員の歓迎を受け、羽生選手はまず、「所属先なので、『ただいま』と言ってもいいんでしょうか」と笑顔を見せた。

  • ANA社員を前にして、まずは「ただいま」

    ANA社員を前にして、まずは「ただいま」

「金メダルという一番重いものを持って帰れて良かったです。『とってきたんだな』という実感を、ここに来てまたさらに感じています。壁にたくさんのメッセージが書かれていて。たくさんの方々が応援してくださっていることを、またまざまざと感じています」(羽生選手)。

  • 改めて金メダルの重みを感じる

    改めて金メダルの重みを感じる

羽生選手はANAのCMにも出演しており、そのCMでは何度も練習している様子を通じて、諦めないことの大切さを伝えてくれる。そのCMにかけて、「成功することって1回調整したからできることではなくて、失敗があって、裏づけがあって。当たり前のような成功をつかみ取ることがどれだけ難しいということを、ここに帰ってきて感じています。

飛行機は普通に離陸して、普通に着陸することが当たり前ですが、当たり前の成功の中には、たくさんたくさんの方が当たり前のために働いて、当たり前をすごくサポートしていて、そうした当たり前の成功のために全力を尽くしている方々がいます。そうした会社の人間のひとりとして、こうして成功を持って帰られた。本当に喜ばしいことです。

本当にみなさん、支援をありがとうございました。これからさらに難しいことや大変なことに挑戦して、もちろん、バッシングとかもあるかもしれませんが、でも、こうして毎日毎日成功している数、毎日人を喜ばしている数を、絶対僕は忘れない」とコメントした。

  • 当たり前のような成功をつかみ取ることがどれだけ難しいことか

    当たり前のような成功をつかみ取ることがどれだけ難しいことか

  • これからさらに難しいことや大変なことに挑戦

    これからさらに難しいことや大変なことに挑戦

2日間で集まった1,500ものおめでとう

会場の壁には、ANAグループの社員から寄せられた1,500ものメッセージカードが貼られていた。これは、羽生選手の金メダルを祝したもので、2日間という短い期間での募集にも関わらず、羽生選手の地元・仙台を含めた全国各地、さらに、韓国など海外の社員からも、祝福のメッセージが寄せられたという。

  • 国内外のANA社員から寄せられた羽生選手へのメッセージたち。その数、1,500

このメッセージを目にした羽生選手は、「イラストを書いている方もいる。プーさんとかもいる」とうれしそうに眺めながら、「文字とか言葉って伝えられることは少ないと思うんですが、でも、そこから伝えられることや伝えたいことって分かるし、数の力ってすごいなって。本当にありがとうございます」と感謝を述べた。

  • 目を細めながら壁に貼られたメッセージを読む。「プーさんとかもいる」とうれしそうな様子だった

ANAからのプレゼントとして、66年ぶりの2連覇にちなみ、66本のバラの花束が贈られた。さらにサプライズとして、ANAホールディングス代表取締役社長の片野坂真哉氏から、家族全員が対象のファーストクラス往復航空券がプレゼントされた。前回のソチ冬季五輪では全世界どこでも家族旅行がプレゼントされたが、今回は"アップグレード"したサプライズとなった。

  • 66年ぶりの2連覇にちなみ、66本のバラの花束を

    66年ぶりの2連覇にちなみ、66本のバラの花束を

羽生選手自身は過去に2度、ファーストクラスを体験したことがあるとのこと。今回、家族でどこに行きたいかという質問に対し羽生選手は、「本当に広々として。あの特別な空間を家族全員で味わえるということは本当にうれしいです。いろいろ検討します。なるべく高いところに」と言って笑いを誘った。

  • 家族全員が対象のファーストクラス往復航空券で「なるべく高いところに」と笑いを誘った

祝勝会の最後には、ANAグループ社員との記念撮影が行われた。カメラのシャッターが眩しかったのか、おどけながらメダルで目隠しをするというシーンもありながら、社員から「おめでとう」と声をかけられると、羽生選手から「ありがとう」という言葉が最高の笑顔とともに返された。

  • 羽生選手からの「ありがとう」

    羽生選手からの「ありがとう」