Western Digital(WD)は、Mobile World Congress 2018会場ブースにおいて、未来へ向けたデモとして、PCIeインターフェイスを備える超高速SDカードを披露しました。microSDカードやPC向けSSDの新製品などの展示も交えて紹介します。
リード888MB/sを記録! PCIe接続の超高速SDカード
WDがブースで展示した、PCIeインターフェイスを備えるSDカードは、未来へ向けた技術デモとして展示したものです。
PCのマザーボード上にあるM.2スロットに、変換カードを利用して装着されたそのSDカードは、外観こそ確認できませんでしたが、SanDiskのロゴやExtreme Proといった文字が見え、一般的なSDカードと同じ形をしているものと思われます。
そのPCで実際にベンチマークソフト(CrystalDiskMark 5.2.2)を実行し、アクセス速度が計測されましたが、シーケンシャルリードは888.8MB/s、シーケンシャルライトは429.7MB/sと、SDカードとは思えないほどの速さを記録。また、ランダムアクセス速度も非常に高速で、SDカードと言うよりはSSDと行った方がいいような速さを実現しています。
SDカードにここまでの速度が必要かはわかりませんが、今後4Kや8K動画の映像機器が普及し始めると、おそらくこれぐらいのアクセス速度が必要になってくるでしょう。大容量データを高速に転送できるという意味でも、この速度は大いに役立ちそうです。
このSDカードについて、現時点では製品化のスケジュールなど、何も決まっていないそうです。展示されたSDカードでは、PCIeインターフェイスのみを備えているそうですが、製品化には現在のSDカードのインターフェイスでも利用できるように、後方互換性を確保する必要があります。そのあたりも含めて、現在は製品化に向けた研究と検討を行っている段階だそうです。とはいえ、この速度は非常に魅力があります。早い段階での製品化を期待したいところです。
世界初「A2」対応の400GB microSDカード
MWC 2018に合わせて発表された新製品となるのが、容量400GBのmicroSDカード「SanDisk 400GB Extreme microSD UHS-I Card with A2」です。WDは、2017年8月に容量400GBのmicroSDカードを発表し、すでに日本でも発売されています。今回の新製品は、世界初となる「Application Performance Class 2(A2)」に対応する点が大きな特徴となっています。
従来のApplication Performance Class 1(A1)では、ランダムリード1,500IOPS以上、ランダムライト500IOPS以上というランダムアクセス性能が定義されていますが、A2ではそれよりもさらに高速となる、ランダムリード4,000IOPS以上、ランダムライト2,000IOPS以上の性能が求められます。これにより、スマートフォンといったデバイスに装着した場合に、アプリケーションの起動などがより高速化されることになります。
加えて、シーケンシャルリードも160MB/sと、UHS-I対応のmicroSDカードとして世界最速となっています。こちらもPCに取り付けてベンチマークテストが行われていましたが、シーケンシャルリードは167.8MB/s、シーケンシャルライトは93.96MB/sを記録していました。
接続インターフェイスはUHS-Iで、UHSスピードクラスはU3に対応。さらに、ビデオスピードクラスはV30に対応しています。こちらは、3月よりアメリカや欧州で販売が開始されるとのことで、アメリカでの販売価格は299ドルを予定しています。日本での発売時期は未定ですが、将来の日本での発売も計画しているとのことです。
PC向けのNVMe PCIe SSD新製品も展示
最後に、PC向けSSDの新製品も展示されていましたので、そちらも紹介します。こちらはNVMe PCIe対応SSD「PC SN720」と「PC SN520」の2製品で、いずれもOEM向けの製品となっています。
いずれも、WD独自のコントローラと3D NANDを利用し、ファームウェアも自社で開発したものを採用します。PC SN720は、ハイエンドPC向けとして位置付けられ、シーケンシャルアクセス速度はリード最大3,400MB/s、ライト最大2,800MB/s、ランダムアクセス速度はリード最大500,000IOPS、ライト最大400,000IOPSとなります。
一方のPC SN520は、薄型ノートPCやタブレットなどに最適な、省電力性を高めたモデルとなります。シーケンシャルアクセス速度はリード最大1,700MB/s、ライト最大1,400MB/s、ランダムアクセス速度はリード最大270,000IOPS、ライト最大280,000IOPSと、PC SN720に比べるとやや遅いですが、それでも十分に高速と言えます。
フォームファクタはM.2 2280だけでなく、M.2 2242やM.2 2230など、小型のものもラインナップされます。これらSSD新製品は、すでにOEM向けの出荷が開始されています。また、今後これらをベースとした、一般消費者向けのSSD製品の販売も計画しているそうです。