トヨタ自動車は「いいクルマづくり」の構造改革「Toyota New Global Architecture(TNGA)」により、優れた走行性能と高い環境性能の両立を追求した、新しい無段変速機(CVT)・6速マニュアルトランスミッション・2.0Lエンジン・2.0Lハイブリッドシステム・4WDシステムを開発したと発表した。

  • 新型無段変速機「Direct Shift-CVT」

  • 新型直列4気筒2.0L直噴エンジン「Dynamic Force Engine(2.0L)」

新型無段変速機(CVT)「Direct Shift-CVT」は、新たに発進用ギヤを採用することで、従来のCVTに対して低速域の伝達効率を大幅に改善。トランスミッションの基本性能である「伝達効率の向上」「エンジン高効率領域の活用」「高応答変速」を強化するため、「機械損失低減」「ワイドレンジ化」「変速追従性向上」に取り組み、ダイレクトでスムースな走りと現行比+6%の優れた燃費性能を実現した。

新型6速マニュアルトランスミッション(6MT)は、欧州をはじめとするグローバルなニーズに応えるために新規開発したもの。従来型に比べて質量を7kg低減するとともに全長を24mm短縮し、世界トップレベルのコンパクトなサイズにすることで車両の燃費性能向上に貢献する。伝達効率も世界トップを実現しており、シフトチェンジ時に自動でエンジン回転を合わせるiMT制御を採用することで、ドライバーに不快なショックを感じさせないスムースな変速操作をサポートする。

新型直列4気筒2.0L直噴エンジン「Dynamic Force Engine(2.0L)」は、高速燃焼技術や可変制御システムを採用したほか、排気・冷却・機械作動時などさまざまなエネルギーロスを少なくして熱効率を向上させるとともに高出力を実現した。その結果、新開発の2.0Lガソリン車用エンジン・ハイブリッド車(HV)用エンジンはそれぞれ、世界トップレベルの熱効率40%・41%を達成。従来型エンジンに比べて、低回転から高回転まで全域でトルクアップを実現すると同時に、各国の排気規制にも先行して対応している。

新開発された2.0Lトヨタハイブリッドシステム(THS II)は、4代目「プリウス」に採用された小型・軽量・低損失化技術を継承し、高い燃費性能はキープしたまま、より走行性能を向上させた2.0Lエンジン用ハイブリッドシステム。加速時にはエンジンの回転数を下げると同時に電池からの電力を高め、リニアで伸びのある加速感を実現した。

エンジン車に採用する新型4WDシステム「ダイナミックトルクベクタリングAWD」は、走行状況に応じてリヤのトルクを左右独立で制御する「トルクベクタリング機構」を採用することで、ドライバーの思い通りの旋回性能と高い悪路走破性を実現。前後輪の車輪軸に世界初の「ラチェット式ドグクラッチ」を備えることで、2WD走行時には後輪に動力を伝達させる駆動系の回転を停止させて損失を大幅に低減し、燃費向上をはかる「ディスコネクト機構」を採用している。

ハイブリッド車に採用する新型4WDシステム「新型E-Four」は、電気で駆動する後輪の全体トルクを従来型の1.3倍に増加させた上で、走行状態に応じて適切に後輪にトルクを配分する新制御を採り入れ、高い走破性と優れた操縦安定性を実現した。双方の新型4WDシステムに、エンジン・トランスミッション・ブレーキ・4WDを統合して制御する「AWD Integrated Management(AIM)」も採用し、路面を問わない高い操縦安定性を確保する。

今回発表した新しいパワートレーンは、2018春以降、搭載車種をグローバルで拡大していく。TNGAによって開発したパワートレーンについては、2021年までにエンジンは9機種・17バリエーション、トランスミッションは4機種・10バリエーション、ハイブリッドシステムは6機種・10バリエーションの投入を予定しており、今回発表されたのはその中の4機種となる。当面は5年後の2023年に、これらTNGAによって開発したパワートレーンの搭載車をトヨタ単独の年間販売台数(日本・米国・欧州・中国)の約80%にすることをめざすという。これによるCO2排出量の削減効果は、TNGAによるパワートレーンの燃費向上寄与分だけでも18%以上を見込んでいる。