はじめて東京の満員電車に乗り込んだ時は、押されるがまま乗り込んで、香水のきつい女性の隣で気分が悪くなるのをじっとこらえるという強烈な洗礼を受けた。そこで今回は、日本で働く外国人に、「日本の通勤ラッシュ」に対する意見と解決策を聞いてみた。
Q.日本の通勤ラッシュについてどう思いますか? またあなたが考える「通勤ラッシュの解決法」があれば教えてください。
■時差出勤・フレックスの導入
- 「初めての時はかなり嫌でしたが、慣れてくると特に抵抗がないです。ラッシュ時の前に通勤すること、まさに通勤BIZですね」(カンボジア・20代前半・男性)
- 「通勤ラッシュ時でも順番を守って乗車しているのですごい。フレックス出社ができる会社が増えるといいと思う」(インド・30代前半・男性)
- 「酸素が足りない時があって、Personal Spaceがなくて、ヒールに刺されたり重たい男性に踏まれたりして、いいこと一切ないですね。解決法はあまりないと思います。時差BIZは効果的かもしれないので、それを進めてみたいです」(イタリア・20代前半・女性)
- 「大変だと思います。時差出勤がよいのではないかと思います」(パラグアイ・50代・女性)
- 「大変だと思います。時差bizを進めたほうがいいと思います」(ペルー・40代前半・女性)
- 「通勤時間をずらすか、交通手段を増やすかしかないと思います」(中国・20代前半・女性)
- 「とても嫌で苦痛です。会社行くのに朝から苦労していれば仕事の質が落ちるんじゃないかなと。電車の本数をその時間帯増やしたり、フレックスタイム制度をもっと広めたりしてほしい」(ハンガリー・30代後半・女性)
- 「通勤ラッシュはどこでも一緒ですが、日本人はマナー的に優秀です(ホーンをならしたりしません)。時差Bizで緩和されると思います」(スペイン・40代前半・女性)
■在宅業務を増やす
- 「通勤ラッシュは好きではないです。解決法としては、自宅で出来る仕事なら自宅で仕事をする」(タイ・40代前半・男性)
- 「通勤ラッシュはひどくて、在宅勤務をもっと有効に利用したい」(マレーシア・40代前半・男性)
- 「嫌い。フレクシブルや仕事の近くに住むことが解決法」(ポーランド・30代前半・男性)
- 「インターネットを使った在宅業務を増やす。ラッシュの問題の解決になると思います。また、在宅業務であれば小さな子を抱えた女性にも職を提供し、待機児童の問題も緩和されると思います」(エジプト・30代前半・女性)
- 「日本の通勤ラッシュはすごく大変だと思います。だけど、みんながちゃんと時間通りに通えるのでフィリピンのカオスよりいいと思います。解決法なら、ネットを通じて自宅でできる仕事をできる限り同じ日に集中させて、自宅からの仕事を増やせるのはどうです? 集中したい人は地域内のワークルームか、同じように仕事のために集中したい人が集められるところがあればいいかな」(フィリピン・30代後半・女性)
■人口密度の問題
- 「いや、仕方がないです。人が多いので。解決法は、電車の本数を増やすくらい…かな?」(アメリカ・30代前半・女性)
- 「労働と資本の大半は東京・大阪など、大都会に集中されていることが通勤ラッシュの第一の原因だと思います。大都会優先主義をやめて地域に仕事とお金をもっと平等に配られたら通勤ラッシュも終わります」(ドイツ・30代前半・男性)
- 「通勤ラッシュが好きじゃないのは言うまでもないことです。ですが、日本のような人口密度の国なら解決法がないかもしれません」(スペイン・30代前半・男性)
- 「市民の人数が多かったら、それを回避できないと思う」(ロシア・20代前半・男性)
■その他
- 「ずっと北海道なので、本物の通勤ラッシュを体験したことがないですが、話を聞く分にはいろいろ大変だと思います」(シリア・30代後半・男性)
- 「激しすぎて耐えられないです。フレックスなどもいいですが、会社が通勤のお金をカバーする事によって、遠くに住んでもいいという事でさらにラッシュが激しくなっている一つの理由だと思います」(オーストラリア・30代後半・女性)
- 「実感したことがありませんが、簡単に解決できないと思います。都市計画から取り込めばいいと思います」(香港・20代後半・男性)
総評
日本の通勤ラッシュについて聞いたところ、「すごく大変」「ひどい」「とても嫌で苦痛」「激しすぎて耐えられない」など、悲鳴にも似た声が多数寄せられた。日本の満員電車を知る人ならば、共感できるのではないだろうか。中には、「酸素も足りず、ヒールに刺されたり、重たい男性に踏まれたりしていいこと一切ない」と散々な目にあった人も。一日の始まりがこれでは、働く気力も萎えて当然。「仕事の質が落ちるんじゃないか」と指摘の声も挙がっていた。
解決方法としては、「フレックス制の導入」や「電車の本数を増やす」、「職場の近くに住む」、「都市部への人口集中の緩和」などが挙がったが、圧倒的に「在宅勤務」を押す声が多かった。エジプトの女性は、在宅勤務の導入が上手くいけば、「小さな子を抱えた女性にも職を提供し、待機児童の問題も緩和される」という。まさに、今の日本が抱える問題をも一掃できる提案と言えそうだ。在宅勤務にもさまざまな問題点があるのはわかるが、「在宅勤務」の普及を切に願う母親や介護者が相当数いるだろうし、無視していい問題ではない。通勤ラッシュ問題も含め、社会が抱える諸問題の解決に向け、今の日本政府や企業には、思い切った改革を期待したいと思う。
ひどい通勤ラッシュでも、「順番を守っているのがすごい」「日本人はマナー的に優秀です」などの褒め言葉も並んだ今回のアンケート。ただでさえイライラしてしまう環境の中、マナー違反は更なるイライラを生むだけ。「通勤ラッシュなんてこういうものでしょ」と割り切って、少しでも気持ちよく通勤できるよう、マナーはきちんと守りましょう。