産休・育休を経て退社した女性は即戦力

人手不足が社会問題になる昨今、欲しい人材が見つからないと頭を悩ませている人事担当者は日本中にたくさんいる。特に中小企業は適切な能力を持った人物を探し出すのに四苦八苦している状況だ。また、新しい人材を発掘したとしても、離職率の高い状態が続くなど、人事担当者の苦労は絶えない。しかし、働きたいと考える人は決して減っていない。つまり、就職の需要と供給がうまくいっていないのだ。そんな時は、これまで雇用したことがない「新たな人材」を探してみてはどうだろうか。

安倍内閣は女性の社会進出を政策の重要項目に掲げ、待機児童の解消、職場復帰、再就職支援、女性管理職の増加などを後押しする政策を進めている。しかし、企業側ではこうした状況に対応しきれていない。出産や育児が離職につながり、女性が職場復帰や再就職が困難な状況を生んでいる。もちろん、制度をきちんと運用している企業もあるだろうが、すべての企業が成功しているわけではない。

ここで、企業側は考え方を変えてみてはどうだろう。以前は働いていたが、今は働いていない育児中の女性の中には、状況が整えば再び仕事をしたいと考える人は多い。こういう人々はやる気があり、前職で仕事の経験もあり、さらに人生経験も豊富だ。円滑にコミュニケーションが取れ、ある程度社会の仕組みも知っている人材は即戦力になりやすい。こうした人材を活用できれば、人材確保の幅が広がることは間違いないだろう。

「時短就労」は企業も従業員もお得な関係

出産を経て復職するとなると、出産前とは就労時間に対する考え方を変える必要が出てくる。保育園や幼稚園に子供を預けることができたとしても、子供の送り迎えなどを考えると、就労時間は長くても午前9時や午前10時から、遅くても午後4時までといった限られた時間になる。また、緊急のトラブル対応などが求められる職種においては、出産前と同等の責任が伴う業務を任せてもらうことは難しいだろう。

しかし、こうした限られた状況においても、自分の能力を活かした仕事をしたいという要望を持つ女性はたくさんいる。

一方、フルタイムで業務に従事する技術職を1人新しく雇用するとなると、厚生年金や社会保険、年間の給与や賞与などを加味すると相応の経費が発生する。その上、雇用した従業員が希望に添うような能力を持っていなかったとすれば、企業としては頭の痛い話だ。

就労時間が午前10時から午後4時まで、週に3日~5日といった就労の場合、企業としては支払う給料をフルタイムの従業員よりも抑えることができる。雇用者と被雇用者の双方が限られた時間を効果的に利用できれば、職場復帰や再就職したい人は育児と並行して働くことできる職を手にでき、企業は時間内に効率よく仕事を進めてくれる有能な人材がリーズナブルに手に入ることになる。どちらにとっても好状況というわけだ。

時短就労と相性のよい仕事、そうではない仕事

もちろん、時短就労と相性のよい業務とそうでない業務がある。例えば、WebデザインやWebページ作成は時短就労と相性のよい業務だ。製作物の納期は決まっているが、ある程度、自分で時間を調整して仕事ができ、自宅でもできる。また、毎日出社する必要もない。簡単な連絡であれば、メールやチャットなどで対応できるし、Skypeが使えるなら、リモートでの打ち合わせも可能だ。

企業にとってWebは情報発信のための必須のメディアだが、すべての企業が、フルタイムで専属のWebエンジニアを雇用できるわけではない。大抵の場合、必要に応じてWebページ制作を外注しているはずだ。しかし、外注では円滑な意思疎通が難しいケースも多く、費用の割には満足なものができないこともある。

意思疎通を図りたいがフルタイムでの雇用は費用の面で難しい。そんな時は時短就労だ。毎日出社しなくてもよいが、コミュニケーションは取りたいので週に2、3回は会議には出てほしいし、定期的に制作状況を報告してほしい。こうした業務は、時短就労やリモート就労の双方とかなり相性がよく、出産後に復帰を希望する女性にうってつけの業務となりうる。