歌手・宇多田ヒカルがプロデュースする男性新人アーティスト・小袋成彬(おぶくろ・なりあき)が24日、初めてファンを前にしたライブを都内で行い、終了後には報道陣の囲み取材に応じた。
4月25日リリースの1stアルバム『分離派の夏』でメジャーデビューする小袋。先行配信中の「Lonely One feat.宇多田ヒカル」が音楽配信サービス・Spotifyのバイラルランキングで初登場1位になったことを受け、抽選で選ばれた18組36人のファンに向けて記念ライブを実施した。
小袋は「Lonely One feat. 宇多田ヒカル」をはじめ、「Game」「Selfish」「Summer Reminds Me」「Daydreaming in Guam」「E. Primavesi」「愛の漸進」の全7曲を生歌で披露。約25分間にわたる濃密な一時を過ごしたファンは、「想像以上に凄く良かった。生で聴くと本当に綺麗な歌声で、アルバムが楽しみです」と感動のコメントを寄せた。
歌手・プロデューサーとしての宇多田ヒカル
ライブ終了後の囲み取材では、時折笑顔を見せてリラックスムード。「(ファンとの)距離や人数や規模は僕にとっては全く関係なくて。『緊張しない』のではなく、ライブそのものが『作ったものを自分の中で再解釈する作業』なので、何かメッセージがあるわけでもなくて、ただひたすら内省的なもの。あまり距離は感じなかったです」と振り返る。
「Lonely One feat. 宇多田ヒカル」は小袋一人での歌唱となったが、「いつか一緒にできればいいですね」と今後の共演に期待も。宇多田の歌手・プロデューサーとしての相違点については、「あまり変わらないと思います。テレビをあまり観てなかったんですが、初めて会った時もテレビと同じ印象」と語る一方、共通点を「彼女が歌詞で大事にしていることはもともと音楽として大事にしていること」「それは歌手としての彼女とプロデューサーとしての彼女は全く変わらないことなんだと。つまりは自分が関わる音楽に対してすごくこだわりがあって、譲れないものがある。そういう中でも自由にやらせてもらいました」と説明する。
さらに、自身の譲れないものを「阻害する人は避ける」と正直に打ち明けて笑いを誘い、「自分のやりたい環境を自分で作り上げることは、レーベルを立ち上げてからずっとやってきたのでそれはめちゃくちゃ大事にしています」「組織に所属している人間ではないので、そういうのは自由に、責任をもってやらせてもらっています」と補足した。
音楽ストリーミングサービスに期待することを聞かれると、「アーティストとしては、実はちょっと思い当たらない。「届けたい」という気持ちはもちろんあるんですけど、それ以上に音楽家として『作る』ことの方が重要で届けることが二の次になってしまうので。そこに関してはなかなか思いを馳せることはないんですよね」と返答。ユーザーとしては積極的に使っているそうで、「今回アルバムを出すにあたって『分離派の冬』というプレイリストを作りました。合法的なコンピを作ることはなかったので、すごく楽しい音楽体験ができているんじゃないかなと思います」と楽しげに語った。
歌唱力と美声の源
この日は応募者多数につき、SpotifyのTwitterアカウント(Periscope)、SpotifyのInstagramアカウント、SpotifyのFacebookアカウント、小袋のYouTubeチャンネルから同時多元生放送も行われ、総視聴数はすべてのプラットフォーム延べ1万人を突破。SNS上では「素晴らしかった」「鳥肌立った」「キレイな声」といった絶賛の声が多数書き込まれている。
記者からは歌唱力についての質問も飛び、「技術的にこれをずっとやっていたこともなくて、そういう意味ではすごく自然にできていったんですけど……もともとできていたんだと思います。むしろ前より全然出なくなっちゃって。お酒とかで(笑)」と場を和ませながら、「音楽経験としては本当に人の歌をただ楽しく歌っていただけなので、その積み重ねでした。自分で曲を作るようになってからは、僕の歌は身体性を伴っているものなので、声と自分の表現したいものが近づいてきたのはこのアルバムからだと思います。そういう意味ではそこでたどりついたのかなと」と分析していた。