トーンモバイルは、同社が展開するスマートフォンサービス「トーンモバイル」において、若年層のiPhone需要と、リユース携帯市場の活性化に伴う中古iPhoneの流通拡大に対応し、挿して簡単な設定をするだけで子供のiPhoneを見守ることができるようになる「TONE SIM (for iPhone)」を発表した。4月上旬の販売に向け、2月20日よりオンライン事前受付が始まっている。
「TONE SIM (for iPhone)」は、トーンモバイルが販売する専用Android端末「TONE」シリーズのみで提供していた家族向け見守りサービス「TONEファミリー」を、ユーザーからの要望に応える形で、iPhoneでも利用できるよう開発されたiPhone専用SIMである。
TONE SIM(for iPhone)の使い方 |
手持ちのiPhoneにSIMをセットして設定を行うことで、子供の居場所の見守り、アプリ利用などのコントロールが遠隔でできるようになる。子供の行動状況をリアルタイムで把握し、乗り物に乗ったり、あらかじめ設定した場所に出入りしたりした場合に、保護者のスマートフォンへプッシュ通知を送るといったことも可能。また、「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律」に基づき、フィッシングサイトなどの危険なサイトに対するフィルタリング機能「あんしんインターネットLite」や、詐欺やセールスの疑いのある電話に対し警告する「あんしん電話」などの機能も標準搭載となる。
対応モデルはiOS 10以降がインストールされたiPhone 5s/5c以降のSIMフリー版、docomo版。au版、ソフトバンク版はSIMロック解除が必要となる(ともにiPhone 6s/6s Plus以降に対応)。
料金は月額1,500円(税別、以下同)で、これは、月額1,000円の基本プランとTONEファミリー(for iPhone)のオプション料金500円がセットになった金額となっている(基本プランのみの契約はできない)。なお、保護者がトーンモバイルの端末を利用していない場合は「TONEファミリー」加入に別途200円かかるほか、契約時に契約事務手数料として3,000円が必要となる。
サービス提供の背景として、子供はiPhoneを使いたい、だが、親はiPhoneに限らずスマートフォンを使うのを心配しているという事情があったようだ。日本のスマートフォン市場では圧倒的にiPhoneが強く、シェアは7割に迫る勢いで、高校生が所有しているスマートフォンも実に65.4%がiPhoneという数字が出ている。子供にしてみれば、両親が使っているスマートフォンと、友達が使っているスマートフォンと「同じがいい」となって当然。しかし、親の立場では、iPhoneは高いし、子供を見守りたいとなるのが心情だ。そこで、親子にとってwin-winとなるiPhoneソリューションを目指したのだと、代表取締役社長の石田宏樹氏は説明する。
それを後押しする状況にもなっていた。iPhoneのリユース市場が大きくなり、中古市場での買い取り台数が過去最大になっているという。加えて、「おさがり」iPhoneの台数も増えている。トーンモバイルは、ここに目をつけたのだ。さらに、iOSの機能の進化、freebitで特許申請中という制御技術の開発が加わって、サービスインの条件が整った。
iOS自体にも「ペアレンタルコントロール」の機能は標準搭載されていて、例えば、アプリの利用制限で、標準Webブラウザ「Safari」をホーム画面から外すといったことができる。またApple純正アプリ「友達を探す」も、見守り機能の役割を担えるようになっている。しかし、今回、石田氏のデモを見て、子供に持たせるスマートフォンとは如何様なものか?ということを追及してきたトーンモバイルのほうが、機能面でもUIの洗練度も上かなという印象を受けた。
そこで再確認したのは、トーンモバイルが日本のスマートフォン市場とAppleのビジネスモデルの分析を徹底的に行っているということだった。トーンモバイルは多くのスマートフォンメーカーがターゲットとしている層ではなく、子供とシニアに向けたビジネスを展開していた。そこは殆どのメーカー、Appleですら取りこぼしている層にフォーカスしていたのだ。Appleでもリーチできていない、そこを狙い打ちにすることで、着実にマーケットでの存在感を示したのである。さらに、Appleが惹句とする「安心」「安全」を、それとは縁遠いと思われたAndroid端末と結びつけ、顧客の「信頼」を勝ち取ってきた。顧客の全体満足度は93%と、石田氏は鼻息を荒くしたが、このアプローチは本質的にはAppleが採ってきたものと同じだ。となれば、今回の施策はともに「安心」「安全」をアピールし、製品・サービスが人々の生活を変えるという信念を抱き続けるトーンモバイルとAppleとの相性の良さが鮮明になる、という展開が待っているのではないだろうか。