東京メトロはこのほど、深川車両基地にて「東京メトロメディアツアー ~第2回 車両基地内の業務~」を実施した。東京メトロ東西線と東葉高速鉄道の車両保守を行う深川検車区・深川工場での業務の様子が報道公開された。

  • 東京メトロが深川車両基地内の業務を報道関係者らに公開

「東京メトロメディアツアー」は昨年9月に初開催され、第1回は「ホームドア設置工事」として、昼間のホームドア積込み作業と夜間の東西線九段下駅(西船橋方面ホーム)へのホームドア設置工事の様子を公開した。2回目の今回は「車両基地内の業務」として、深川検車区での車両洗浄や新ピット内での月検査、留置車両内での広告張替え作業、深川工場での「台抜き」作業や車内・周辺機器取外し作業などを公開した。

深川車両基地は車両の在姿状態で検査・修繕を行う深川検車区、車両を分解し、部品ごとに検査・修繕を行う深川工場、車両の検修計画や工程管理などを行う深川車両管理所からなり、東京メトロ東西線と東葉高速鉄道の車両保守を担う。敷地面積は8万6,860平方メートル、留置能力は300両(深川車両基地の他に妙典駅近くの行徳分室にも留置機能あり)とされている。

  • 深川検車区の洗浄線に入線した東京メトロ東西線15000系。車外を洗浄

  • 車内も隅々まで清掃される

  • 清掃作業で使用する用具の紹介も行われた

深川検車区では列車検査・月検査の他に車両清掃なども担当しており、今回の報道公開でも洗浄線に15000系を入線させ、車外・車内を清掃する様子を撮影できた。洗浄線は2線あり、1日あたり約4~5編成で車両洗浄を行うという。車内を清掃する際、ゴミが多い場所として「シートの下は結構入っていますね。ティッシュとかガムの食べかす、菓子の袋とか」とのコメントも。「昔はタバコの吸殻もよく溜まっていましたが、いまはほとんどないですね。あと、網棚の上に新聞・雑誌を捨てていく人も少なくなりました。皆さんスマホで見るからでしょうね」といった話も聞かれた。

続いて昨年5月に竣工した新ピットにて、月検査の様子を公開。新ピットは空調設備を完備して作業環境を改善し、本来は工場で行う台抜き作業もピット内で行えるようにするなど作業効率化を図っている。車両のメンテナンスに関して、経年の進んだ車両ほど作業が大変になるものの、東西線では新車の投入や既存車両のリニューアルが進んでいることもあり、メンテナンス性は向上しているとのことだった。

  • 深川検車区の新ピット内の様子。車体と台車を分離する作業も行える

  • 作業員が機器などをチェック

  • 車両内での広告張替え作業も公開された

全般検査・重要部検査を行う深川工場では、15000系の車体と台車を分離する「台抜き」作業を先頭車・中間車それぞれ公開。天井クレーン2基で車体を持ち上げ、車体を架台へ移動させた後、SIV装置や空気圧縮装置をはじめ床下機器を外す作業、中間車の台車から主電動機を外す作業も行われた。他にも15000系の車両内から座席シートを外す作業や、分解した機器を電気班・空制班・台車班が整備する様子、作業員が汚れを落とすために使用する浴室の内部などを見学できた。

「東京メトロメディアツアー」は、報道を通じて「毎日取り組んでいる業務、今まさに動いている業務」を伝え、東京メトロの取組みを「多くの方に知っていただきたい、ファンになっていただきたい」との思いから実施に至ったという。参加者へのアンケートも毎回実施しており、今後もアンケート結果を踏まえ、同社施設や施行中の工事現場などを公開予定としている。

  • 車両内から座席シートを外す作業

  • 車体と台車を分離する「台抜き」作業

  • 先頭車・中間車ともに「台抜き」作業の様子が公開された

  • 「台抜き」作業の後、床下機器を取り外す作業も

  • 中間車の台車に搭載された主電動機も取り外される

  • 分解した台車・床下機器などを整備する作業

  • 深川工場内にある浴室も公開された