2018年2月18日に、世界最大級のガレージキットイベント「ワンダーフェスティバル2018[冬]」が千葉県・幕張メッセで開催された。
「ワンダーフェスティバル」(通称:ワンフェス)は、フィギュアなどを含む造形物である「ガレージキット」を製作したものを展示・販売するイベント。このワンフェスでは毎年最先端のデジタル原型シーンがわかる講演が開催されおり、ここでは「ホビージャパン本誌連動企画 模型+フィギュア作例について」ステージの模様をお届けする。
ケモノ耳・着物風コスプレで美環氏が登場!
ステージには、コスプレ衣装のデジタル原型師見習い・美環(みかん)氏と、「月刊ホビージャパン」編集部の伊藤大介氏が登壇。今回は「月刊ホビージャパン」3月号に掲載されたデジタルモデリング作例「1/12 女性ライダー」の製作内容を中心にトークを展開した。
伊藤氏はまず本誌の企画コーナーで、バイクのフィギュアを製作するところから始まり、その後ドラマ性を求めてバイク専用の人物フィギュアを作ることになったと、「1/12 女性ライダー」製作の経緯を説明。人物フィギュアは、どんなバイクにも合う汎用性の高いものにすることになり、今回はイラストレーター・新井テル子氏に描いてもらったイラストを元に、美環氏が女性ライダーのフィギュアを完成させたという。
もちろん、フィギュア製作には苦労もあったようで、美環氏は他の仕事が忙しかった上、本誌の締め切りは3週間という短い期間。ホビージャパン編集部の一室で、軟禁状態での製作になったと当時を振り返った。
女性スケールモデルは「等身のバランス」が重要
フィギュア製作に用いたのは、原型製作向けの3Dモデリングツール「ZBrush」(ズィーブラシ)のみ。最初にキャラクターの基礎となる大まかな素体を作り、肉付けし、ズボンや靴など細かなパーツを作り込むという製作工程だった。
「1/12 女性ライダー」は実物を縮小して再現するスケールモデル。美環氏はイラストのデザインを参考にしつつ、1/12バイクの座るシートに合うよう、実際の人間の等身(足の長さなど)に近づける工夫をすることが大変だったとのこと。伊藤氏は、二次元のイラストを3D化する際には、いろいろな部分が破綻することもあるので、等身のバランスを考えるのも作り手の技だと、製作上のポイントを挙げていた。
製作した3DデータはFormLabs社の光造形3Dプリンタ「Form2」で出力し、フィギュアが完成。美環氏は当初カラー出力を考えていたが、今回は通常のフィギュアと同じようにホワイト一色で分割パーツを出力し、その後パーツに色づけする作業を行うことになった。
さらに2月25日発売の「月刊ホビージャパン」4月号では美少女ライダー製作の第2弾が登場予定で、このステージでは第2弾のベースとなった、イラストレーター・さくら小春氏が描いたイラストが公開された。美環氏は「今回は、助けてあげたい感じる女の子を描いてもらい、かぼちゃパンツなども依頼しちゃいました。私の趣味全開。かわいい。サイコー!」と趣味を爆発させたイラストを前に笑顔を見せていた。
第2弾のフィギュアでは、「Form2」のカラー出力に挑戦したいと語る美環氏。1年前に比べて格段にデジタルモデリングのスキルが向上しており、今後もスキルの成長、進化に注目していきたい。