『仮面ライダーアマゾンズ完結編』藤田富独占インタビュー - 悠と仁がぶつかる理由

Amazonプライム・ビデオにて2016年にSeason1(全13話)、2017年にSeason2(全13話)を配信した連続ドラマシリーズ『仮面ライダーアマゾンズ』が、2018年春に新作映画『仮面ライダーアマゾンズ完結編(仮)』として全国公開される。

映画はSeason1、Season2を下敷きにした完全なる続編であり、『アマゾンズ』の中核を担う水澤悠と鷹山仁がお互いの存在をかけてぶつかり合う、2人のアマゾンにとっての「完結編」と呼ぶべきストーリーが描かれる。

今回は、2シーズンを通してヒーローとして目覚ましい成長を見せた水澤悠を演じた藤田富に独占インタビュー。前編では配信を含めた『仮面ライダーアマゾンズ』という作品についてあらためて振り返ってもらい、後編では映画の見どころについて語ってもらった。

水澤悠/仮面ライダーアマゾンオメガを演じる藤田富撮影:大塚素久(SYASYA)

――映画化が決まったと知ったのは、いつ、どの場所だったのですか？

最初は事務所で、僕のスケジュールが押さえられたってところからですね。そのときは『アマゾンズ』の映画なのか、配信(新シリーズ)なのか……何も知らなくて。その後、たまたま別のテレビのお仕事でメイクを担当してくださったのが、『アマゾンズ』でもお世話になった長野(一浩)さんだったんです。そのとき「なんか、『アマゾンズ』またやるみたいですね」って話をしたら「うん、映画だよ!」って。それを事務所に言ったら「えっ、本当に!!」という反応がかえってきました。事務所もその段階では知らなかったという(笑)。でも、映画化というのはすごいことですからね。東映さんから「本当です」と言われるまで、信じられなかったですよ。

成長した悠のモデルは仁

――Season1では未完成というか、純粋な部分の多かった悠が、Season2ではぐっと大人っぽく成長した状態で登場しました。藤田さんにとって、悠の演じ方で難しかった部分はありましたか。

Season1から2にいくまで5年の歳月が過ぎていましたから、その間、悠はどういう生き方をしていたのかが2に響いていると思いました。役作りがガラッと変わったので、そこが難しかったですね。イメージしていたのは、Season1での仁さんです。2での悠は、人知れずアマゾンを狩りながら何年も過ごしてきた。仁さんみたいな生活スタイルだと感じたんです。僕は悠を演じながら、仁さんの感じに近づけられたら……と思っていました。お手本があったから、そこは演じやすかったですね。

――悠はSeason1から2にかけて、たくましいヒーローとして成長していったと思います。映画ではそこからもう一歩踏み込んだ新しい悠像を演じられるのではないかと期待しています。台本を最初に読まれたときはどう思いましたか？

何人もの死に目に遭ってきただろうなということで、精神状態もおかしくなって、美月ともずっと離れて……と考えると、余裕がなくなっているんだろうなと思いましたね。

――これまでの悠は、駆除班の面々をはじめとする「大人」の集団にひとり混じっている「子ども」というポジションだったのが、今回の映画では自分よりも幼い子どもたちを導く「年長者」というポジションというのも大きな特徴になりますね。

そうですね。年齢の高い人と芝居するほうが楽だな、ということに気づきました。僕自身、相手の芝居に「引っ張られる」ということを、谷口さんと一緒に演技をしていて感じているので、僕も若い彼らを引っ張っていかなければと思いました。

美月を演じる武田玲奈との関係の変化

――「人間を捕食するアマゾン」という設定に揺さぶりをかけるかのような映画のストーリー展開ですが、その根底には「生きることとは何か」という『アマゾンズ』全体を貫くテーマがあるように思えますね。

アマゾンとして悠と仁が争うというのは、まさに生身の人間同士が戦うのと変わらないんだなと考えるようになりました。食べられる者と、食べる者との関係など、まさに『アマゾンズ』は現代の人間社会とリンクしている部分が多いと思います。

――映画の中で、悠の支えとなって気丈にふるまう美月の存在も非常に印象的できた。美月を演じられた武田玲奈さんの印象も、Season1、2と変わったのではないですか？

Season1のときは、お互いの役柄的に、ほとんど話すことがなかったですし、おそらくお互いに何を考えているのかわからなかったと思います。悠は美月のことをシャットダウンしようとしていましたしね。Season2でようやく、少し会話をするようになり、最後のほうで「ちょっと笑った……かな？」くらい(笑)。今回の映画では悠と美月が一緒にいる場面が多くて、よく話をしましたね。ロケ先の待機場所では、駆除班のみなさんと武田さんと僕とで休憩中も和気あいあいで。コミュニケーションがよく取れて、演技がしやすかったですね。

仁のような生き方をする悠。だからこそぶつかってしまう

――藤田さんにとって、悠というキャラクターで大事にされている部分はどんなところでしょうか。

芯が強い、というところですかね。自分が思ったこと、信じたことに向かって突き進んでいく。悠はそんな人物だと思います。ただ、けっこう柔軟に考えを変える部分も持ち合わせているんですよ。演技するにあたっては、ガンコに「自分は悠だ」と決めて作るんじゃなくて、迷いながら作り上げていくという感じですね。2種類の演技プランがある場合は、監督にどちらかを選んでいただいて、そこで迷いなく演じる、という風にしていました。

――あらためて悠と仁の関係性について、藤田さんに分析していただきたいです。

悠は仁さんのような生き方を歩んでいる、と先ほど言いましたが、だからこそ、両者はぶつかってしまうんでしょうね。でも、お互いにひっかけるとかだまし合うとかはしないで、あくまでも「真っ向」から戦う、というのが、2人の関係性なのではないでしょうか。

――振り返ってみて、藤田さんにとって『仮面ライダーアマゾンズ』とはどういう存在なのかを聞かせてください。

本当に「幸せすぎる現場だった」というひと言に尽きます。演技をするということ、役者さんとの出会い、そして悠という役柄との出会いなど、自分の今までの考え方が変わるほど、影響を受けました。おそらくこれからの自分の芝居にも、影響を与えるのではないでしょうか。心から、この作品に関わることができたことを幸せに思っています。

■プロフィール

藤田富(ふじたとむ)
1992年生まれ。大阪府出身。モデルとして雑誌などで活躍し、俳優としてはドラマNHK『精霊の守り人最終章』、舞台「B-PROJECTonSTAGE『OVER the WAVE』」ほか多数の作品に出演。『仮面ライダーアマゾンズ』では水澤悠/仮面ライダーアマゾンオメガ役として主演を務めた。