iPhone/iPadでは、メールやカレンダーなどの情報を「プッシュ」か「フェッチ」のどちらかで入手します。前者はクラウド(インターネット上のサーバ)側の判断によりユーザへ情報を送りつけること、後者はユーザ側が指定したタイミングで情報を取りにいくことを意味し、アプリによって使い分けられています。
プッシュの利点は、クラウド上の情報をほぼリアルタイムに入手できることです。たとえば、メールが到着するやいなやユーザに通知できますから、タイムラグがほとんど生じません。30分や1時間など一定間隔で情報を取りに行くフェッチの場合、その間隔に応じたタイムラグが避けられないため、即応性という点でプッシュに見劣りしてしまいます。
しかし、プッシュ通知をリアルタイムに受けるためには、iPhone側で対応プログラムをつねに稼働させておかなければならず、そのぶんバッテリー消費量が嵩みます。省エネという観点では、フェッチのほうが有利です。
そのように性格の異なるプッシュとフェッチですが、iOS 11ではフェッチに新しいオプションが追加されました。従来はフェッチの間隔を「15分」や「30分」といった具体的な時間で指定していましたが、iOS 11では「自動」という選択肢が追加されています。
フェッチで「自動」を選択すると、iPhone/iPadが電源とWi-Fiの両方に接続されているときに限り、バックグラウンドで新規データを取得できます。つまり、電源が接続されWi-Fiを使える状態であれば、フェッチを選択していてもプッシュに近い運用が可能になるのです。自宅や会社では情報をリアルタイムで入手したいが外出先では省エネを優先したい、そんな使いかたを目指す場合にはおすすめの設定です。