JR東海は17日、次期新幹線車両N700S(確認試験車)の先頭車両搬出作業を報道公開した。「デュアル スプリーム ウィング形」の先頭車がお披露目され、クレーンで吊り上げ、トレーラーへ積み込む作業なども公開された。

  • N700S確認試験車の先頭車両(16号車)を報道公開

N700S確認試験車は2018年3月に完成予定と発表されており、今回は製造を担当する日本車輌製造(日本車両)豊川製作所にて、台車取付け前の先頭車(16号車)が公開された。外観は東海道新幹線の象徴である白地に青帯を踏襲しつつ、先頭部の青帯でN700Sの「S」(スプリーム)を表現している。

左右両サイドにエッジを立てた「デュアル スプリーム ウィング形」の先頭形状は、小牧研究施設における技術開発成果を反映したもので、走行風を整流し、微気圧波・車外騒音・走行抵抗・最後尾動揺を低減するという。前照灯は窓開口拡大とレンズ形状最適化で視認性を向上させ、新幹線初となるLEDライトの採用で省エネルギー化も図る。

  • N700S確認試験車を吊り上げ、トレーラーに積み込む様子を公開

  • N700Sに搭載される主変換装置・主変圧器・主電動機の展示も

報道公開では、技術開発成果物として展示されたN700Sの主変換装置・主変圧器・主電動機なども紹介された。

N700Sでは他にも新型台車・新型パンタグラフをはじめ、新技術を多く採用している。冬季期間の着雪防止対策として、台車下部の開口面積を最大限縮小するように台車カバー形状を改良するほか、独自に開発した高出力かつ着脱可能な融雪ヒーター付フサギ板も採用予定だという。

N700S確認試験車の吊上げとトレーラーへの積込みは強風の中での作業となったが、20分ほどで無事に終了。その後、取材に応じたJR東海 新幹線鉄道事業本部の古屋将嗣氏は、N700S確認試験車について「多くのメーカーに協力いただき、最新の技術を搭載した車両となりました。本日、16号車を浜松工場へ搬入し、その後は16両につなぐ作業、試験機を積み込む作業など進め、3月20日から走行試験を開始する予定です」と説明した。

3月から始まる走行試験では、2020年度に投入予定の次期営業車両(量産車)にも反映される新技術の最終確認などを進めていく。「このN700S車両で、さらなる安全性・信頼性・快適性向上を図り、皆様にお届けできるようにしたい」と古屋氏は述べた。

  • N700S確認試験車の先頭車両(16号車)の外観など