東京都大田区は2月8日、平成30年度予算(案)を公表した。世界と地域をつなぐ新産業創造・発信拠点の形成を目指した「羽田空港跡地における成長戦略拠点の形成」として4億6,313万3,000円を、「新空港線の整備促進事業」として11億9,607万5,000円を、それぞれ計上している。

  • 羽田空港跡地の整備イメージ

    羽田空港跡地の整備イメージ

第1ゾーンに東京2020開催年も含めた土地活用検討

大田区は、「子育て・教育の充実」「健康・福祉・医療の充実、スポーツ、環境対策」「安全・安心の確保、魅力あるまちづくり」「観光・産業振興、空港・交通機能向上」という4つの重点課題を掲げて予算を編成。「観光・産業振興、空港・交通機能向上」では16の取り組みを計画している。

そのひとつである「羽田空港跡地における成長戦略拠点の形成」では、 世界と地域をつなぐゲートウェイとして国内外のヒト・モノ・情報を呼び込むとともに、大田区のものづくり技術、優れた日本の文化などの魅力を発信する「新産業創造・発信拠点」の整備を進めていく。

「拠点形成に係る取り組み推進」(3,115万9,000円)として、引き続き様々な手法により、まちづくりの進捗状況などを発信するとともに、第一期事業にかかる各種のモニタリングを実施する。「基盤施設の整備推進」(3億2,797万6,000円)として、第1ゾーンの基盤施設整備を進めるとともに、第2ゾーンの既設防潮堤を活用した都市計画緑地整備工事などを実施する。

なお第1ゾーンには、文化産業事業(文化・クールジャパン発信の拠点)と先端産業事業(ビジネスの新たな拠点)を構想している。第2ゾーンにはホテル・複合業務施設エリアが設けられ、7万9,879平方メートルの延床面積内に、総客室数1,704室の宿泊施設や600人収容のバンケットルーム等の複合業務施設の他、飲食・物販等商業施設、バスターミナル等を設置し、2020年6月までに全施設を開業させる計画を構想している。

  • 羽田空港跡地第2ゾーンの整備イメージ

    羽田空港跡地第2ゾーンの整備イメージ

「『羽田空港跡地第1ゾーン』多目的広場等の土地活用のあり方検討」(3,456万円)は新産業創造・発信拠点の形成に資する取り組みとして、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会開催年も含めた都市計画公園整備予定地等の土地活用のあり方について検討する。

「産業交流施設に係る取り組み推進」(6,943万8,000円)として、ベンチャー企業など多様な主体が参画し、製品開発などを図る「協創プロジェクト」を推進するため、区内企業と海外の有望な技術系ベンチャー企業との連携創出を図る。また、国内外のニーズに応える新たな受発注機能の構築を検討していく。

新空港線にあわせたまちづくりを検討

また「新空港線の整備促進事業」では、都市鉄道等利便増進法を活用して整備することを検討。新空港線が整備されることにより蒲田駅と京急蒲田駅間の800mが鉄道で結ばれ、区内の利便性が向上するだけでなく、羽田空港と渋谷・新宿・池袋などの副都心や和光・所沢・川越などの埼玉方面がつながり、東京圏北西部に新たな広域交通ネットワークが構築される。具体的には、「新空港線の広報・啓発活動」「新空港線の整備主体設立のための出資金」「新空港線整備資金積立基金」「多摩川線沿線駅周辺地区のまちづくり」が主な取り組みとなる。

  • 新空港線によって、蒲田駅と京急蒲田駅間の800mが鉄道で結ばれる

    新空港線によって、蒲田駅と京急蒲田駅間の800mが鉄道で結ばれる

新空港線事業は、平成28年4月の国土交通省の交通政策審議会答申第198号において「進めるべき」と示された6路線のひとつとして位置付けられており、29年9月には、大田区長を始め18区市長連名で新空港線の早期整備着手が図られるように小池東京都知事に要望した。現在、関係者間で協議を進めており、区は合意形成が図られた後、速やかに事業化を進めるため整備主体設立に向け取り組んでいくとしている。

  • 新空港線の整備案

    新空港線の整備案

新空港線の工事準備資金として、30年度も引き続き10億円の積み立てを実施する。新空港線の整備に伴い、新空港線沿線の魅力あるまちづくりを進めるために、まちづくりの方向性やまちの将来像を考えるとともに、沿線各駅の駅前拠点や交通結節機能等の整備について検討していく。