「CFO」の意味と役割とは - 最高財務責任者って何する人?

10年ぶりの同窓会でお互いの仕事の話になった時、学級委員長をやっていた男子が「今、○○社のCFOやってます」って。周りから「すごい!」って言われていたけど、CFOっていったいどんな仕事? そこで本稿では、今さら聞けないビジネス用語「CFO」の意味と役割について紹介します。

■CFOの意味とは

「CFO」とはアメリカの組織で使われる役職名で、「Chief Financial Officer」の略語です。財務に関する業務執行を統括する「最高財務責任者」のことを指します。日本の企業でいう「財務部長」が、ほぼ同じ役割を担当しています。

■CFOの役割

財務と言えば、主に資金の調達や運用、予算管理などになりますが、CFOの役割はそれだけではありません。

近年、経済のグローバル化が進むにつれ、国際競争の激化、景気の変動、流行、顧客のニーズ、技術革新、雇用形態の多様化など、企業を取り巻く環境は日々変化し、かつ複雑化しています。CFOは、このような変化に迅速に反応しつつ、会社全体および個々の事業における戦略プランや意思決定を支援する立場にあります。そのため、CFOには、経理や財務のみならず、経営や事業に関する知識も兼ね備えた人材こそが、適任とされています。

グローバル化に伴って、財務管理は、連結決算(子会社を含めたグループ単位での会計処理)や時価会計(資産と負債を時価で評価する手法)、キャッシュフロー会計(現金の流れを一会計期間で計算すること)など、IFRS(国際財務報告基準)の導入を余儀なくされ、より一層の透明化を求められるようになりました。また、経営指標の導入に際しては、欧米機関の投資家を中心とした株主の意見を重視する必要があり、日本企業は、さらなる企業価値の向上にも努めなければなりません。

CFOは、このような課題を踏まえた上で、経営戦略に沿った財務戦略を立案し、CEOの右腕として、企業活動を数字でマネジメントしていくという重要な役割を担っているのです。

また、個々の事業に対しては、事業と経営の視点に基づいて、現状分析や設備投資、経営戦略および事業計画の策定など、それぞれの意思決定のアドバイスをする、言わば、各事業のコンサルタント的な立場でもあります。

■CFOに求められる知識と能力

前述のCFOの役割からしても、CFOに求められる知識と能力は、多岐にわたることは明らかです。 まず、当然のことながら、経理や財務に関する知識は必須で、海外企業のCFOの半数以上は、会計士資格取得者であるようです。また、経営陣の一角を担う立場にあることから、事業のプロジェクトリーダーとしての能力や、経営判断を瞬時に行う能力、組織全体の意思決定のための判断力など、経営者としての能力も求められます。

CEOをはじめとする経営陣に対し資金面から提言するほか、各事業の相談役も兼ねており、時には計画の甘さを指摘することも必要とされます。また、株主から説明を求められることもあるなど、社内外問わず多くの人に対して、企業の経営理念や方針などを説明し、理解を得なければなりません。ゆえに、高いコミュニケーション能力も不可欠と言えます。

さらに、日々の環境の変化に留意し、スピーディかつ適切に対応する力、物事を見極める力、先見性、営業部門との連携能力など、CFOは、ファイナンシャル・リテラシー以外にも、さまざまな分野に精通している必要があると言えます。

■「CFO」と「CEO」「COO」「CMO」の違い

「CFO」「CEO」「COO」はいずれも、組織において特に重要なポジションであるとされています。

「CEO」は、会社の最高経営責任者(Chief Executive Officer)です。企業のトップであり、企業経営全体に関して最終的な責任を負う立場にあります。「CEO」が経営に関する責任を負うのに対し、その方針に従って実際に実務を執行するのが「COO(最高執行責任者、chief operating officer 又はchief operations officer)」です。

三者の関係性は、最高財務責任者である「CFO」は、「CEO」とともに戦略を立て、「COO」がその戦略に基づいて業務を執行していくことになります。端的に言えば、CEOがトップ、COOがナンバー2ということになりますが、CFOもその役割の重要性から、COOと並ぶほどの地位を確立しつつあります。

また、CFOとともにマーケティング面で経営をサポートする「CMO」という役職も存在します。CMOは「Chief Marketing Officer」の略語で、企業におけるマーケティングに関して責任を負う「最高マーケティング責任者」や「最高顧客市場分析調査責任者」のことを指します。


今回は「CFO」について紹介しましたが、その役割は単なる財務業務だけでなく、多岐にわたります。そのため、財務・経理に関するエキスパートであることは勿論のこと、経営に深く携わる者として、優れたリーダーシップとコミュニケーション能力も必要なようです。

実際に欧米では、営業や管理、システムなどの他分野で働いていたビジネスマンが、CEOへの足掛かりとしてCFOで力を発揮するケースが多く見られるようです。将来CFOを目指すのであれば、さまざまな業務を経験し、幅広いスキルを身に付けておくといいかもしれません。