KAAT神奈川芸術劇場と世田谷パブリックシアターの共同制作作品となる舞台『バリーターク』の製作発表記者会見が7日、KAAT神奈川芸術劇場で行われ、主演の草なぎ剛、松尾 諭、小林勝也をはじめ、KAAT芸術監督・演出の白井晃が出席。実に3年ぶりに板を踏むことになる草なぎは「舞台に立つことはいつも怖い」と身を引きしめ同記者会見に参加した。
『バリーターク』は、映画『ONCE ダブリンの街角で』などで知られるアイルランド出身の作家・戯曲家エンダ・ウォルシュによるストレートプレイで、日本では初演。ある部屋で日常生活を繰り返し、バリータークという村の話を語り続けるふたりの男たちと、その奇妙なふたりの生活に影響を与える第3の男たちのドラマを、草なぎ、松尾、小林の布陣で描く。
ジャニーズ事務所から独立後、初舞台で初主演となる草なぎは「僕自身、久しぶりの舞台となります。今回、新しい自分を表現して発見する、自分の成長につながるかもしれません。未知なる自分を追い求めて、今回の舞台に立ちたいと思います」と意気込みを静かに熱く語った。
物語については「脚本は難しかったけれど、普遍的な生や死が描かれていると思いました。自分がやったことないようなタイプの芝居、感覚にとらわれたので、とても興味が尽きない内容だなと思いました」と説明した。
そして、松尾とふたりで遠くを見つめて座っている本作の印象的なポスターの撮影を振り返り、「その時すでに白井さんが目の前にいて、そこから演出が始まっていると思いました。遠い目線で、もしかしたらこの世にいないところで座っているかもしれないなど、いろいろと試行錯誤しました。やっている僕自身はさっぱりでしたが、もしかしたら役作りが始まったいたのかもしれない。いろいろな意味があり、そこが面白いところ。あの衣装を選んだ時から舞台稽古は始まっていたと思います」と述懐した。
また、白井演出の舞台では『No.9―不滅の旋律―』で稲垣吾郎が天才音楽家として主演を2年前に務めており、「稲垣君の舞台も素晴らしかったので、あとでアドバイスをもらおうと思っています」と告白。日頃、ふたりで舞台の話をすることも多いそうで、「昔、つかこうへいさんの舞台に出させていただいた時にいろいろとほめていただいて、皆さんが注目していただけるきっかけになりました。稲垣君もつかさんのお芝居を経験していて、だから僕らは舞台の話をすることが多いんです。稲垣君はすごくほめてくれるので、それを励みに頑張りたいです」とお互いの関係を説明。ところが、「稲垣君は、たぶん僕がこの舞台に出ることをまだ知らないので、後でツイートするのでそれで知ると思います」と笑いを誘っていた。
『バリーターク』は、KAAT芸術監督・演出を務める白井にとっては2018年最初の演出作品でもあり、白井は「今回最初に頭の中にイメージした、理想のキャストが実現しました。我々はなぜ生きているのか、生まれた生はどこにいくのか。滑稽でもあり、詩情あふれる作品になると思っています」と初演に向けての熱い想いを吐露。なお、登壇の予定だった世田谷パブリックシアター芸術監督の野村萬斎は、体調不良で同会見を欠席した。