「CMO」という言葉をご存知ですか? 役職を表すビジネス用語のひとつなのですが、日本ではまだ、この肩書きを使用している企業は少ないとか。今回は、「CMO」の意味や役割についてご紹介します。ビジネスシーンで困らぬよう、しっかりと覚えておきましょう。
■CMOの意味とは
「CMO」とはアメリカの組織で使われる役職名で、「Chief Marketing Officer」の略語です。企業におけるマーケティングに関して責任を負う「最高マーケティング責任者」や「最高顧客市場分析調査責任者」のことを指します。
■CMOの役割
現場主義が強い日本企業では、マーケティングに関してもそれぞれの現場が独自に判断してしまう傾向があります。このように、これまで部門で分かれていたマーケティング業務を機能的に統合させるのが、CMOの重要な役割です。
また、マーケティング部門は、企業のブランドを扱う部門でもあります。企業が重要課題のひとつとしているブランド力だけに、CMOにとっても、マネジメントすべき最も重要な課題とも言えるでしょう。
さらに、マーケティングは市場や業界、競合他社、事業提携先、消費者などと密接に関わっているため、CMOは、どのように会社をプロデュースするかが問われると言います。市場調査や競合調査などを指揮し、その結果を基に「誰に」「何を」「どのように」提供していくのかを考え、最終的に企業の経営戦略を反映したマーケティング戦略を立案し、実行する役割を担っています。
■CMOの立ち位置
最高経営責任者であるCEOの考えに基づいて、COO(最高執行責任者)が動きます。このCOOをサポートするのが、CFO(最高財務責任者)とCMOになります。それぞれ資金面とマーケティング面でサポートします。
アメリカでは当然のように存在するCMOですが、日本企業ではCMOの設置がなかなか進まないと聞きます。なぜ、日本に定着しないのか。日本企業は、製品の性能にばかりに目を向け、いい物が完成した時点で満足し、「いい物は売れる」と安心してしまう傾向があるように思われます。しかし、実際に売れなければ利益にはなりません。完成した商品をどう世の中に送り出すか、どう広めていくのか。ここに、CMOが存在するひとつの価値があるように思います。