5月病というのをご存じでしょうか? 一般的に4月に入社した新人たちが5月のゴールデンウィーク明けにうつ病に似た様々な症状を発することをさしますが、これは、新しい環境に適応するために肉体や精神に多大な負担がかかることが原因といわれています。そのような精神的に厳しいあなたに忍び寄るのが夏風邪です。

冬風邪は、低温乾燥を好むインフルエンザウイルスなどが原因となることが多いのに対して、夏風邪は高温多湿の環境を好むアデノウイルスやコクサッキーウイルス、エンテロウイルスなどが原因となること多く、抗生物質が効かず治るのに時間かかるといわれています。

長引く傾向のある夏風邪は厄介

夏風邪のウイルスは、5月頃から活発に活動し始め、一般的に夏ごろに流行期を迎えます。夏風邪の代表例には手足口病やヘルパンギーナ、プール熱があり、鼻水、くしゃみ、のどの痛み、咳などの上気道炎症状に加えて、発熱、皮膚の発疹や下痢・腹痛などの胃腸系に被害が出る症状が多く見られます。

夏風邪の原因となるウイルスは、体外に排出されるまで時間がかかり治りにくいといわれています。また、抗生物質が効かないため特効薬がないのも長引く原因となっています。

したがって、免疫力を上げて自然治癒させる対処療法が中心となります。

  • 「発汗による熱下げ療法」は、夏場は脱水症状を招く危険性あり

要注意! 夏風邪でやりがちな誤った療法とは?

上記の通り夏風邪にかかった場合の一番の対処法は十分な睡眠と栄養のある食事をとることで免疫力を高めることです。その場合注意が必要なのは、症状が似ているので冬風邪と同じ対処療法を行ってしまうことです。夏風邪は冬風邪と原因となるウイルスが別の物です。場合によっては症状を悪化させたり、治療期間を長引かせる原因になってしまうこともあります。

  • 「下痢止めの薬を服用」は、ウイルスの対外排出を妨げる

「発汗による熱下げ療法」は、夏場は脱水症状を招く危険性あり

一般的な風邪療法で多いのが大量の水分をとって体を温め、汗をかくことで熱を下げる効果を狙った療法です。体力の回復期には有効な方法ですが、夏風邪の場合、胃腸の状況が悪く下痢などが続き、気温も高く不快になる季節なので、初期の苦しい状況で無理に体を温めて発汗を促す方法は、逆に体力の消耗をもたらし、脱水症状を引き起こす恐れもあります。むしろ、エアコンを使って少し温度は高めにして快適な環境を保つことが大事です。また、こまめに水分をとって脱水症状にならないように注意しましょう。

「下痢止めの薬を服用」は、ウイルスの対外排出を妨げる

夏風邪は、ウイルスによる下痢の症状も見られます。これは原因のウイルスを腸内から排出しようとする働きによるものです。下痢止めを使ってしまえば、その働きを妨げ回復までの時間を長引かせてしまうことになります。ですが、症状があまりにもひどい場合は、無理をせず専門の医師に薬を処方してもらうのがよいでしょう。下痢による体力の消耗もまた病状を悪化させるもとになるからです。また、下痢による水分の排出は脱水症状につながり、夏場は特に要注意です。こまめに水分を摂取しましょう。

「夏風邪は薬が効かないのでひたすら耐える」では体力の消耗が心配

前述通り、夏風邪には特効薬といえる抗生物質が効きません。特効薬はありませんが、すべての薬が効かないわけではありません。症状がひどい場合、ただ耐えるだけでは体力を大きく消耗してしまいます。高熱や咳など症状を和らげるために総合感冒薬や解熱鎮痛剤などを服用して症状を抑えて回復力を高める必要があります。

  • 「夏風邪は薬が効かないのでひたすら耐える」では体力の消耗が心配

夏風邪は、上記の通りかかってしまうと回復に時間がかかります。治すにはひたすら体を安静にして、栄養を摂り免疫力を高めるしかありません。そんな夏風邪にかかってしまえば、あなたの日々の仕事に大きく影響を与えてしまいます。ですから、夏風邪には特に予防に力をいれてください。重要なポイントは、クーラーをかけすぎて体を冷やさない。冷たいビールや清涼飲料水、冷凍菓子などを取りすぎて体を冷やさない、休日にはしっかり休んで体力を回復させる、といったことです。風邪はよく身体の疲れのサインといわれます。鼻やのどの調子が悪いと感じたら、すぐに栄養ある食事と十分な睡眠をとって体の調子を整えましょう。