名門私立大学のひとつ、早稲田大学。名前は知っていても入ったことはない、という人がほとんどではないだろうか。実は早大は、気軽に入れる上に見どころも多く、その歴史あるキャンパスの周辺は学生価格の店が豊富にある。「今日は早稲田大学に行ってみよう」と思い立てば、日がな一日、のんびりできる大学&街なのだ。

  • レトロな建築が美しい「早稲田大学」

    レトロな建築が美しい「早稲田大学」

周りはレトロな大学街

早稲田大学(東京都新宿区)と言えば大隈記念講堂。まるで中世ヨーロッパの教会のような建築で、それだけを見ても「きっと歴史の深い大学に違いない」と思うだろう。早稲田大学の元となった東京専門学校は明治15(1882)年に創設されたため、その想像は間違いではない。そしてキャンパスには、大隈講堂以外にも数々の歴史的建築物があり、いまだ現役として使われている。

  • 大隈講堂は昭和2(1927)年竣工。国の重要文化財に指定されている

    大隈講堂は昭和2(1927)年竣工。国の重要文化財に指定されている

早稲田大学(早稲田キャンパス)の最寄り駅は、東京メトロ東西線「早稲田」駅。大学に近付くにつれ、街の雰囲気は不思議なほどにのどかになっていく。小路は、キャンパスに沿うようにして緩やかにカーブを描き、いかにも大学を中心として街が出来上がっていったように思える。「本当に新宿区?」という気がしてくるだけでなく、広々として緑に囲まれた大隈講堂付近は、もはや日本とすら思えない。

  • 歴史ある建築と木々と空の風景はとても清々しい。右の銅像は、早稲田大学の創立者である「大隈重信像」

    歴史ある建築と木々と空の風景はとても清々しい。右の銅像は、早稲田大学の創立者である「大隈重信像」

とはいえ、やはり日本だと思うのは、非常に昭和チックなお店や建物がところどころにある点だ。おそらく数十年前の卒業生も「ここでランチを食べていた」と思い出深く語ることができるに違いない。

当時と金額は変わっているかもしれないが、今も多くのお店において「安っ!!」と叫びたくなるような価格だ。「学生はいっぱい食べて、しっかり勉強してね!」という街の心意気が感じられる。ただし、土日祝は休みのところも多いため、目当てのお店があったらチェックしてから出かけよう。

勉強が楽しくなりそうな歴史空間

先日訪れた東京大学もそうだったが、歴史ある大学は、その構内を歩くだけでムクムクとやる気が出てくる。「環境って大事なんだな」と、つぶやかずにはいられない。

大隈講堂のほか、早稲田大学で特に注目したいのが「大隈重信の銅像」「會津八一記念博物館」「坪内博士記念演劇博物館」「大隈庭園」だ。いずれも誰でも自由に見学することができる(坪内博士記念演劇博物館は2018年3月22日まで休館)。

大正14(1925)年に建てられた「會津八一記念博物館」には、現在、考古学的な資料が展示されているのだが、もともとは図書館として使われていたという。重厚な建築からは、今なお大正ロマンが漂い、「ここで勉強したらどれだけはかどるやら」と、またもつぶやきを重ねてしまう。

  • 「會津八一記念博物館」は入場無料

    「會津八一記念博物館」は入場無料

  • 「坪内博士記念演劇博物館」は昭和3(1928)年に建てられたもの。ワークショップや上映会など、様々なイベントが行われる

    「坪内博士記念演劇博物館」は昭和3(1928)年に建てられたもの。ワークショップや上映会など、様々なイベントが行われる

  • 「大隈庭園」は大隈重信の別邸跡。芝生に座り、読書にいそしむ一日なんていかがだろう

    「大隈庭園」は大隈重信の別邸跡。芝生に座り、読書にいそしむ一日なんていかがだろう

  • 大隈庭園の一角にどっしりと置かれた2体の獅子「中華民国獅子像」。早稲田大学創立100周年を記念して、台湾から寄贈されたものだ。

    大隈庭園の一角にどっしりと置かれた2体の獅子「中華民国獅子像」。早稲田大学創立100周年を記念して、台湾から寄贈されたものだ。獅子の間を通ってたどり着くのは、なぜか学生食堂!!(一般人も利用可能)

詳しく見てまわりたい場合は、無料ガイドツアーに参加してみてはいかがだろう(要予約)。早大生が歴史を語りながらキャンパスを案内してくれるそうだ。

キャンパスカフェでベーグルサンド!

キャンパスには学生食堂のほか、ハイセンスなカフェ「Uni. shop & Cafe125」もある。週末には観光客が多いが、勉強している学生もちらほら。気分によって勉強スポットが選べるのは楽しい限りだろう。ここではフード、スイーツ、ドリンクのほか、早稲田大学グッズも販売している。

  • 優雅なお勉強タイムを楽しめそうな「Uni. shop & Cafe125」

    優雅なお勉強タイムを楽しめそうな「Uni. shop & Cafe125」

  • ベーグルサンド「ローストビーフ&ポテトピューレー」(400円)をチョイス。そのほか、「サーモン&カッテージチーズ」「ブルーベリー&クリームチーズ」なども(いずれも400円)

    ベーグルサンド「ローストビーフ&ポテトピューレー」(400円)をチョイス。そのほか、「サーモン&カッテージチーズ」「ブルーベリー&クリームチーズ」なども(いずれも400円)

早稲田大学グッズをゲット!

東京大学同様に、早稲田大学オリジナルグッズも豊富に存在する。見てみたい場合は、キャンパスの西側にある「17号館トラベルセンター」を訪れよう。大学名の入ったボールペンなどの文房具や衣料品のほか、オリジナルのお菓子や紅茶も販売している。時折、「コレ何!?」と思うような、ある意味絶妙なセンスのグッズもあり、なかなかに見応えがある。今回は、まあまあ普通にお土産になりそうなものを選んでみた。

  • 「早稲田大学キャラメル」(550円)

    「早稲田大学キャラメル」(550円)

  • 中身はいたって普通のキャラメル

    中身はいたって普通のキャラメル

  • オリジナルの「一筆箋」(左・180円)と「ノート」(右・140円)。どちらも大隈講堂を象っている

    オリジナルの「一筆箋」(左・180円)と「ノート」(右・140円)。どちらも大隈講堂を象っている

  • 「WASEDA univ(早稲田大学)」×「DALMATIAN(ダルメシアン)」で、「WASEDALMATIAN(ワセダルメシアン)」! 犬と化した大隈講堂のピンクの水玉模様がポイント

    「WASEDA univ(早稲田大学)」×「DALMATIAN(ダルメシアン)」で、「WASEDALMATIAN(ワセダルメシアン)」! 犬と化した大隈講堂のピンクの水玉模様がポイント

ホッと一息、カモミール

7号館には、近隣の商店街連合会が大学構内に開いた店舗「Machi Area」がある。ちなみにこれは、「マチェリア」と読むらしい。ワセダルメシアンと似たものを感じる。

ランチタイムには商店街のオリジナル弁当が販売され、中には「ハラールフード」もあるという。留学生も多い国際色豊かな大学だけに、様々な心配りがされているようだ。

  • ドリンクは1杯100円! コーヒーやココアのほか、カモミールティーなどもある。ベンチで一休みしてみては?

    ドリンクは1杯100円! コーヒーやココアのほか、カモミールティーなどもある。ベンチで一休みしてみては?

ほっこりおにぎり屋にはなぜかパスタが

キャンパス周辺には無数に飲食店があるのだが、そのひとつ「おにぎり茶屋」を訪れてみると、なぜかパスタ料理が販売されていた。早稲田には、構内・構外ともに、ところどころにツッコミどころがある。

以前はここにパスタ屋があり、「パスタが食べたいというお客さんがいるもので、少しだけパスタを作っている」とのこと。しかしおにぎり屋なので、やはりおにぎりを食べてみたい。

  • 女子にうれしい「美肌結び」(左・180円)と、巨大な塩むすび(右・200円)

    女子にうれしい「美肌結び」(左・180円)と、巨大な塩むすび(右・200円)。巨大なおむすびに海苔1枚な理由は、「がっつり食べたい男子学生のため」と、「昔話に出てくるようなおむすびを作りたかったから」なのだそう。店内も昔ながらの茶屋の雰囲気がある

●information
おむすび茶屋
東京都新宿区西早稲田1-9-13-103

そのほか、近隣には200~300円のホットドック店「コッペ」などもある。「穴八幡宮」では、毎年10月に流鏑馬神事が行われるという(執行は戸山公園内馬場)。また、大学から北に出れば、都電荒川線「早稲田」駅もすぐそこにあるため、ここから都電に揺られてみるのも楽しそうだ。「名門校」という以上に面白みのある早稲田の街を歩いてみてはいかがだろうか。

  • 「穴八幡宮」の流鏑馬神事像

    「穴八幡宮」の流鏑馬神事像

※価格は全て税込

筆者プロフィール: 木口 マリ

執筆、編集、翻訳も手がけるフォトグラファー。旅に出る度になぜかいろいろな国の友人が増え、街を歩けばお年寄りが寄ってくる体質を持つ。現在は旅・街・いきものを中心として活動。自身のがん治療体験を時にマジメに、時にユーモラスに綴ったブログ「ハッピーな療養生活のススメ」も絶賛公開中。